ニコル・エングラー(38歳)は夫ピーターさんとの間に生まれた娘レミントンちゃん(1歳9か月)の子育てに奮闘する傍ら、小児科の診療看護師(ナース・プラクティショナー)として「Evergreen Family Medicine(エバーグリーン・ファミリー診療所)」で勤務していた。普段はEMT(救急救命士)のピーターさんがレミントンちゃんを保育園「Cobb Street Children’s Learning Center(コッブストリート児童学習センター)」へ送っていたが、21日の朝はピーターさんが夜勤で帰宅したばかりだったため、ニコルは出勤前にレミントンちゃんを保育園へ送っていくことにした。
午後4時半頃に仕事を終え駐車場へと戻ってきたニコルは、そこで初めて車内に乗せていた娘の存在に気付き、叫び声をあげた。この日の外気温はおよそ26度、朝から8時間以上車内に放置されていたレミントンちゃんは、皮膚が紫色に変わりすでに意識がなかった。自分がしたことに気付いたニコルはパニックになり、駐車場でつまずきながら娘を抱えて職場へと走った。事態を察した医療チームらがレミントンちゃんの蘇生を試みたが上手くいかず、レミントンちゃんは車で2分ほどの距離にある「Mercy Medical Center(マーシー医療センター)」に緊急搬送された。そこは奇しくも、レミントンちゃんの父ピーターさんが12時間ほど前まで夜勤をしていた病院だった。しかし残念ながら、レミントンちゃんは死亡してしまったのである。
「排泄物にまみれた汚れた独房に入れられたニコルは、髪を掻きむしりながら自分も死なせて欲しいと懇願していました。ニコルにとって、人生の光ともいうべき存在の娘が車中で絶命しているのを発見したのです。毎日のルーティンとは異なった行動が、このような悲劇を招いてしまったと言えるでしょう。私が連絡を聞いてMercy Medical Centerに駆けつけた時、女児はチューブを通されたまま息絶えてベッドに横たわっていました。父親は、娘に覆いかぶさってずっと号泣していました。私の40年のキャリアの中で、この件は最も悲しい事故のひとつです。」
画像は『OregonLive.com 2018年6月29日付「A hot car, a dead child: Oregon mom’s lawyer explains how it happened」(Courtesy of the Engler family)』のスクリーンショット (TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)