【コラム】　「万」は「千」を超えるか？　奈良キャラクター騒動

　奈良県で2010年に行われる、平城遷都1300年祭。そのマスコットキャラクターを巡って大騒動が起きたのは記憶に新しいところ。紆余曲折を経て生まれた二つのキャラ、「せんとくん」と「まんとくん」の生い立ちを振り返ってみました。 　年齢不詳のぽっちゃり体型、坊主頭からにょっきり伸びた角……見る者に強烈なインパクトを与える「せんとくん」は、発表されるや否や「かわいくない」「気持ち悪い」などの意見が続出。ネットではデザインを揶揄するような二次創作が跋扈（ばっこ）し、盛大な「才能の無駄遣い合戦」が繰り広げられました。

「痛いニュース」より　せんとくん工事中!

「痛いニュース」より　せんとくん涅槃状態!

　バッシングはここmixiにも飛び火し、「1300年祭マスコット白紙撤回」のコミュニティが発足したほどです。そんな中、民間団体「クリエイターズ会議・大和」が、「せんとくん」とは別に、新たなキャラクターを公募。「新しく、楽しく、愛する奈良と平城京1300年」というコンセプトのもと、世界中からアイディアを募ったところ、619点ものデザインが集まります。厳しい一次選考を生き残った30点が、ウェブと街頭で市民投票にかけられ、それぞれの一番人気を「大和」の会員が最終選考。そしてついに6月2日、新キャラクター発表とあいなりました。

一次選考を生き残った30のデザインたち

左：街頭で人気を集めたのは「しかぽん」　右：新キャラクター「まんとくん」

　満場一致で選ばれたのは、真っ白なマントを羽織った「まんとくん」。「せんとくん」と同じ鹿がモチーフになっています。頭に被っているのは、平城京のシンボル、朱雀門です。 「まんと」は漢字で「万人」と綴り、「万人（ばんにん）に愛されますように」という願いや、「千人（せんにん・せんと）を超える5万人に支持された」などの気概が込められているのだそう。「せんと」と「まんと」、何とも語呂がいいですね。 　さて、「まんとくん」に対する人々の反応は、と言うと、これまた賛否両論の様子です。「かわいい！」「グッズが出たら欲しい」と歓迎する人もいれば、「かわいいだけでインパクトに欠ける」「今となってはせんとさんの方が良い」と否定的な意見も。漫画「ONE PIECE」のチョッパーや、NHKアニメ「おじゃる丸」の電ボに似てる、なんて声もありました。 　「せんと」か「まんと」か、世間では様々な意見が交わされていますが、主催者側は互いの正当性を主張してケンカをするつもりは毛頭ないらしく、「一緒に奈良を盛り上げられたら」と友好ムード。12日には、奈良市中心部にある商店街シャッターで初の共演を果たしています。

せんとくん12パターン

　現在、「せんとくん」側では平城遷都1300年祭の応援団を募集中です。応援団になって結団式へ参加すれば、せんとくんグッズがもらえるかも……？　募集人数は1300名を予定しているとのこと。興味のある人はサイトをチェックしてみてくださいね。 　ちなみに、「せんとくん」をデザインした籔内佐斗司さんには、著作権料などを含め500万円が、「まんとくん」をデザインしたクロガネジンザさんには基本賞金5万円と、カンパの6万4950円が支払われたそう。お値段では「千」と「万」が逆転ですね。果たして、世間の愛はどちらに多く注がれるのか？　今後の展開からも目が離せません！（さしみ／mixiニューススタッフ） 関連サイト： ・平城遷都1300年祭：http://www.1300.jp/index.html ・クリエイターズ会議・大和：http://creators-yamato.net/　

---

その他のよりミク記事： ・【コラム】　夏フェスに異変　ライジング・サンとロック・イン・ジャパンの確執 ・【コラム】　薬で治す? 話題のむし歯治療 ・【コラム】　精神的ブラクラ? 女装メイド喫茶「雲雀亭」に行ってきました。 【よりミクとは？】ちょっと気になるあの話題、巷でウワサのあの商品をニューススタッフが調査し、コラムにしてお届けします。「より道」感覚で、ニュースとはひと味違うコンテンツをお楽しみください。