今年の3月に文部科学省が発表した実態調査によると、全国の公立高校が把握している生徒の妊娠の実例2098件、そのうち約3割の674件で自主退学していたとのこと。また、その中には学校から自主退学を勧めたケースが32件あったとのことです。
生徒側が休学等別の対処を望んでいたにもかかわらず、学校側が自主退学を強く勧め、事実上退学を強制したと評価される場合、学校の対応は違法となる可能性があります。仮に生徒を退学とさせたいのであれば、正式に退学処分という形で処分すべきです。
そういった手続きを経ずに生徒側に圧力を加え、退学を余儀なくさせるという行為は褒められたものではありません。退学処分は、学校における懲戒処分の中で最も重いもので、その判断は慎重に行うべきです。
退学処分が許されるケースは、学校教育法施行規則第26条3項に明記されています。そこには、
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とあります。
以上の要件を考慮すると、単に「妊娠した」という一事をもって生徒を退学とすることは許されないと考えられます。普段から学校生活上の態度も良く、成績も悪くない生徒であっても妊娠するということはあり得るからです。したがって、仮に「妊娠した者は退学とする」という校則を作っていたとしても、それを理由に生徒を退学処分とした場合、その校則は違法なため、退学処分自体が無効となることもありえます。
実際、私が知っている方にも、高校在学中に妊娠し、出産してから復学し、その後高校を卒業し、子育てをしながら大学にも通い、大手の企業に就職した人もいます。もちろん、その人の努力はもちろん、周りのサポートなど環境的な部分も多分に影響することかもしれませんが、「妊娠=悪」として生徒の可能性を摘むことが果たして教育機関として正しいのかと言われれば、それは疑問でしかありません。
妊娠した生徒に自主退学を勧め、事実上それを強制することで、子を産んだ生徒の学歴は、その後、高校等に通学し直さない限り「中卒」ということになり、就職活動にも影響することでしょう。高校生で出産した場合にシングルマザーとなる可能性は統計上どうしても高く、母親だけでなく、その子どもにも貧困の苦労は待ち受けていることにもなります。
学校としては、臭い物に蓋をするように退学を勧めるのではなく、妊娠した生徒がいた場合にはその生徒に寄り添って、将来のことを考えた対応をしていただきたいと思います。
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