■結婚を考えなければラクな関係
不倫は結婚を望まない女性にとっては、気楽な側面もある。
「いいとこどりですよね。彼の世話は奥さんがするだろうから、私はできあがった男とつきあうだけでいい。気楽さと寂しさは表裏一体だけど、30代になって仕事が忙しくなったせいもあって、むしろ結婚を考えなくなってしまった。そうしたら職場の上司との不倫が始まって。いろいろ都合がよくてやめられないんです」
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ユカコさん(33歳)は、一回り上の上司とつきあって1年。30歳のころは早く結婚したいと焦っていたが、それは一時的なものだった。
「今は仕事が楽しい。上司がいるからなお楽しい。ただ、このまま40歳になったら後悔するような気もするんです」
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ただ、上司と別れても他の誰かと結婚できる保証はない。だから別れることもできず、「今のことしか考えられない」のだそう。上司とつきあいながら他の誰かを探すという手もあるが、そこまで結婚に固執しているわけでもないため、どうにも動きがとれない。
「こんな気楽で楽しい関係を続けていたら、動きたくなくなります。今はただ、誰にもバレないようにと願うだけ」
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■出産で葛藤はあるけれど……
今、彼と別れようかどうしようか悩んでいるというのは、ケイコさん(37歳)だ。30歳のときに知り合った既婚男性とは7年のつきあいになる。彼は40代前半になった。
「彼にはいつでも帰るところがある。でも私にはない。このままでいいのか。最近、そう思うようになったんですよね。それに出産はどうしてもリミットがあるでしょ。子どもがほしいなら、今すぐにでも彼と別れないといけないとは思うんですが……」
女と生まれたからには出産をしなければというプレッシャーがあると彼女は言う。だが、本当に自分が子どもを望んでいるのかというと素直に頷くことができない。
「でも産まないといけないとも思う。産まないと幸せになれないような強迫観念があります。いっそこのまま40歳になればあきらめがつくかなとも思うけど、そのとき後悔するのもいやだし」
いろいろ考えると先に進めないものだ。あらゆる既成概念を取り払って、本当に自分が望んでいることが見えてくればいいのだが、それもまた難しい。人間、選択しなかった道に必ず後悔は残るもの。どこで妥協していくかが大事でもある。