■子どもがほしくない女性も世の中にはいる
「子どもはほしくない」というと、冷たい女性、人として何か欠陥がある女性と考えられがち。だが、内心はほしくないと思っている女性もいるのだ。
「私は仕事が好きなんです。だから一生、仕事に邁進したい。でもなかなかそれを公には言えないんですよね。ヘンな女だと思われるから」
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苦笑するのはミチコさん(33歳)。とある研究所に勤めている研究者だ。1年ほどつきあっている2歳年上の彼との間に、最近、結婚の話が出るようになった。
「同じ研究所の人です。仕事もわかりあえるし、彼のことも好きですけど、結婚となるとどうかなと二の足を踏んでしまう。彼は『僕も家事はできるし、きみが忙しいなら僕が全部やるよ』って。それなら結婚も悪くないなと思っていると、『子どもが生まれたら子どもの世話も僕がする』と。え、子ども?とちょっと引きました。子どものいる人生なんて考えたことがなかったから」
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自分は自分の人生を生きる。そこに子どもを産むという選択肢はなかったと彼女は言う。
■ほしくない理由は人それぞれ
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ミチコさんは結局、子どもはほしくないと彼に正直に話した。それでも今のところ、ふたりの恋人関係は続いている。
「仕事一筋の人生を生きたいからって言っていますが、私自身、親との関係がよくなくてすごくつらかったんです。仕事を始めて自立して、これから親との関係を考え直すチャンスもあるかもと思っているとき、両親が事故でいっぺんに亡くなって……。それ以来、親子という言葉は私の中でタブーになった。このことは彼にも話していません」
親子関係は、女性が自分で子どもをもちたいかどうかを考える上で重要なファクターだが、もちろん、他にも「ほしくない理由」を述べる女性たちはいる。
「性格的に子育てには向いてないと思う」(37歳)
「子育て中の女友だちの話を聞いていると、私にはできないと感じる。そもそも子どもが好きではない」(33歳)
それでも「子どもがいないと将来寂しいよ」「女は子どもを産んで一人前」などという周囲からの言葉に、産んだほうがいいのだろうか、産むべきなのだろうかと苦しんでいる女性たちもいる。「どんな女性も子どもをほしがっている」わけではないのだ。そういう認識も広まっていけばいいのにと感じている。