<プーチンと2人きりになったトランプはどんな譲歩や約束をしたのか、明らかにしなければアメリカの安全保障に関わる>
ドナルド・トランプ米大統領は7月16日に行われたロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談で、約2時間にわたって密室会談を行った。その場に同席したのは双方の通訳のみ。トランプがプーチンに何らかの安請け合いをした可能性は否めず、米議会では民主党の有力議員らを中心に公聴会を開催し、通訳を呼んで会談の内容を確認すべきだとの声が上がっている。
ビル・パスクレル下院議員(ニュージャージー州選出・民主党)は18日、「会談の場にいた唯一のもう1人のアメリカ人」である通訳のマリーナ・グロスを議会に呼んで、密室での協議の中身を聞くべきだとして、下院監視・政府改革委員会のトレイ・ゴウディ委員長(サウスカロライナ州選出・共和党)宛の書簡で公聴会の開催を求めた。
ジョー・ケネディ下院議員(マサチューセッツ州選出・民主党)も、ツイッター上で大統領の通訳は「議会で証言すべきだ」と主張した。
「アメリカが自分たちの大統領を頼りにできないとは、悲しい事態だ。大統領はよりにもよって、今なお我が国を攻撃し、我々の価値観を傷つけようとする敵国ロシアに、アメリカの安全保障と民主主義と信用を売り渡した。テレビで見た会見だけでもそうなのだから、二人きりならどんな話をしたかわかったものではない。大統領の通訳を直ちに議会に呼んで明らかにする必要がある」
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通訳のメモも開示せよ
ジーン・シャヒーン上院議員(ニューハンプシャー州選出・民主党)も17日に同様のツイートをした。
「2人の間で何が話し合われたかを明らかにするために、会談に同席したアメリカ側の通訳を議会に喚問するよう求めている。トランプが私たちの代表としてプーチンに何を打ち明け、約束したかを知るには通訳の証言が必要だ」
ボブ・メネンデス上院議員(ニュージャージー州選出・民主党)は18日、MSNBCのインタビューで、通訳の証人喚問を含め、事実解明に「総力を挙げる」つもりだと述べた。「通訳を委員会に呼ぶ。通訳のメモも見たい」
メネンデスが懸念するのは、NATOの軍事同盟やロシアによるウクライナ侵攻問題などで、トランプがプーチンに何らかの譲歩をしたことだ。
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「(クリミア併合の罰として欧米が)ロシアに科している制裁について、トランプは何らかの譲歩をしなかったか。ウクライナ東部やシリアについてはどうか。この3つの問題で、アメリカは手を引くというような約束をしたのではないか」と、メネンデスは地元メディアに語った。
「これらはわが国の安全保障の中核に関わる事柄だが、大統領はアメリカの民主主義や安全保障を断固として守るどころか、プーチンのような独裁主義者におもねってばかりだ」
「トランプ狂人扱い病」
フィンランドの首都ヘルシンキでの会談後、トランプは共同記者会見で「ロシアが2016年の米大統領選に介入したと考えられる理由は見当たらない」として、米情報機関よりもロシアを信頼しているような発言をした。これには共和党内からも激しい批判の声が上がり、トランプは火消しに走らざるを得なくなった。
17日に共和党議員団と行った会合では、トランプは一転してロシアの選挙介入はあり得たと発言を訂正。「介入しなかった理由は見当たらない」と言おうとしてnotが抜けたのだと、苦しい言い訳をした。それでも強気の姿勢は崩さず、翌日のツイートではプーチンとの会談の成果に懐疑的な人々を罵倒した。
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「私がロシアのプーチン大統領と仲が良いことを憎悪する人たちがいる。彼らは(ロシアと付き合うより)戦争になったほうがいいと思っている。そういうのを『トランプ狂人扱い病』と言うんだ」
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