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「一発屋」の称号は"恥の上塗り"!? 山田ルイ53世が明かす「一発屋」の呪縛

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2018年07月20日 12:12  BOOK STAND

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写真『一発屋芸人列伝』山田ルイ53世 新潮社
『一発屋芸人列伝』山田ルイ53世 新潮社
 かつて「ルネッサーンス!」のフレーズで売れっ子になった、お笑いコンビ「髭男爵」の山田ルイ53世さん。ここ数年、芥川賞作家となった「ピース」又吉直樹さんをはじめ、お笑い芸人出身で"書き手"としても高評価を得ている人々も珍しくなくなっていますが、山田ルイ53世さんも、そんな芸人作家の1人です。

 発売前から各所で話題沸騰となった新著『一発屋芸人列伝』は、月刊誌「新潮45」に連載中から耳目を集めていましたが、「第24回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」において、ノンフィクション作家・石井妙子さんの『小池百合子研究 父の業を背負って』(『新潮45』1月号掲載)という硬派な作品と並び、作品賞を受賞。

 レイザーラモンHG、コウメ太夫、テツandトモ、ジョイマン、一発屋ですらない"0.5発屋"ハローケイスケ、紅一点のキンタロー。本書で取り上げた一発屋は、キンタローをのぞけば男性芸人ばかり。もちろん一世を風靡した後にテレビから消えた女性芸人は存在するものの、一発屋をウリにはしておらず、本書でも「有り体に言えば、打診はしたが、全員に断られたのである」(本書より)と、取材拒否にあったことを明かしています。

 本書では、「男性学」が専門の社会学者・田中俊之さんに取材し、ジェンダーの見地から、女性芸人にとって一発屋を武器にするのは難しいのではないかと考察。

 田中さんからは「『皆と仲良く』という協調の空気の中で育てられる女性の場合、そもそも芸人になるという『逸脱』行為自体がかなりの勝負。"女らしさ"の証明とはならない上、更に『一発屋』のレッテルを貼られるのは、"恥の上塗り"みたいなものです。(中略)芸人もやりつつ、例えば企業のマナー講師など、全く異なる方向の仕事に活路を見出す方が『そんな特技があるんですね!』などと、(女性としての)体面が保てるのだと思います」との言葉を引き出しています。

 実は、そんな山田ルイ53世さん自身も、浮き沈みを繰り返す半生。関西の名門私立・六甲学院中学に進学した優等生でしたが、登校中に起こした"脱糞事件"を契機に不登校に。6年間ひきこもった後、独学で大検を取得し、愛媛大学に入学するも中退。お笑いの世界へ入った顛末は2015年刊行の前著『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス刊)でも描かれています。

 一発屋が一発屋にインタビューを重ねた、異色のノンフィクションである本書ですが、一発屋芸人達のルネッサンス(復活)ドラマとしても読める、稀有な1冊と言えるでしょう。


『一発屋芸人列伝』
著者:山田ルイ53世
出版社:新潮社
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