「幸せそうな奥さん、壊してやりたい」泥沼のW不倫に発展…慰謝料は免れない?

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2018年07月26日 09:52  弁護士ドットコム

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社内の既婚男性とダブル不倫をしているという女性。「奥さんからの慰謝料請求はどれくらいになるのでしょうか」と弁護士ドットコムに相談を寄せています。


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相談者の女性は、結婚式にも出席し、赤ちゃんを抱いたこともありました。「幸せそうな奥さんを壊してやりたいという思いも強かった」と言います。


ダブル不倫が双方の配偶者にバレてお互い離婚することになり、自分の配偶者と男性の妻からそれぞれ慰謝料請求を受けることになりました。


「減額になれば…と泣いて奥さんに謝罪の電話もしてみましたが、かえって奥さんの心象を悪くしたようです」と、電話作戦も功を奏さなかったようで「職場に不倫している事実をばらされ、自分も職を失うかもしれない状況なのでこわいです」と悩んでいます。


女性は、男性側の夫婦関係は不倫を始める前に「破綻していたと思う」と主張していますが、女性は2つの慰謝料請求を受けることを免れられないのでしょうか。また、謝罪の電話などで慰謝料の減額は認められないのでしょうか。森本明宏弁護士に聞きました。


●「夫婦関係が破綻していた」という立証は難しい

「結論から言えば、不倫をした相手男性の妻からの慰謝料請求と自身の夫からの慰謝料請求のいずれについても免れることができないと考えます」


森本弁護士はそう指摘します。なぜなのでしょうか。


「過去の裁判例によれば、不倫を始めた時点で、すでに相手男性の婚姻関係が破綻していたことを立証することができれば、相手男性の妻からの慰謝料請求を免れることができます。(最高裁判所平成8年3月26日判決)。しかし、その立証は容易ではありません」


●離婚の意思を告げただけでは「破綻の証明」にならない

今回の事例は、どうでしょうか。


「今回、相手男性が妻に離婚を切り出していたとのことですが、単に離婚の意思を告げた事実があっただけでは、破綻していたことの証明にはなりません。


婚姻関係が破綻していたかどうかの判断にあたっては、(1)夫婦に不和が生じた時期やその内容、(2)別居の有無やその期間、(3)夫婦関係修復に向けた働きかけの有無、(4)離婚に向けた協議の有無やその時期、(5)離婚調停の申立ての有無など様々な事情が判断材料とされます」


なるほど。そうすると女性の「夫婦関係が破綻していたと思う」というのは、通用しないということですね…。


「今回の事案で、相手男性が妻子と同居をしていたのであれば、特段の事情がない限り、夫婦関係破綻の証明はほぼ無理でしょう。


相手男性の妻から請求される慰謝料の額ですが、現実に離婚に至っていること、まだ幼年と思われる子どもがいること、結婚式にも出席していたという事実があることなどを考慮すれば、訴訟を起こされた場合、200万円を上回る額の慰謝料の認定は免れることができないと思います」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
森本 明宏(もりもと・あきひろ)弁護士
愛媛弁護士会所属(2002年弁護士登録)。2010〜2011年度、愛媛弁護士会副会長。
2017年度、愛媛弁護士会民事介入暴力対策委員会委員長。日本スポーツ法学会会員。http://www.facebook.com/lawyer.morimoto

事務所名:四季法律事務所
事務所URL:http://www.shiki-law.com/


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