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暑い季節や緊張する場面で、気づくと身体が汗臭くなっていたという経験のある方は多いでしょう。汗自体が臭いものだと思っている方もいるかもしれませんが、実は汗自体はもともと無臭なのです。
では、なぜ独特のニオイを発するようになるのでしょうか。
汗のニオイの原因や対策方法について、美容外科医の樋口隆男先生にお伺いしました。汗のニオイが気になる方はもちろん、汗のニオイ対策に殺菌効果のある制汗剤を多く使う方も必見です。
■プロフィール美容外科医:樋口隆男先生医師+(いしぷらす)所属。美容外科医、美容デザイナー、コスメコンシェルジュ。1997年福岡大学医学部卒。福岡大学医学部第2外科に入局。以降18年間、呼吸器外科医として従事。留学経験あり、医学博士号取得。2015年美容外科医に転進。2016年院長に就任。2018年に独立し、L.O.V.E beauty clinicを立ち上げる。
意外と知らない?汗の役割や仕組み
汗臭くなる原因や対策法を知るために、まずは汗について基本を押さえましょう。
汗をかく理由は「暑いから」だけではない
人間は主に3つの理由で汗をかきます。
・温熱性発汗
体温の上昇を抑えるために汗をかくこと
・精神性発汗
緊張や動揺、恥ずかしいときなど精神的な影響で汗をかくこと
・味覚性発汗
辛い物や酸っぱい食べ物を食べたときに汗をかくこと
温熱性発汗は全身に汗をかきますが、精神性発汗は顔やわきの下、手のひら、足の裏、味覚性発汗は頭や顔に汗をかく傾向があります。
汗をかく理由はこのように複数ありますが、実は汗自体も分泌される汗腺の違いで2種類に分けられます。
汗腺の種類と汗のにおいの関係
汗を分泌する汗腺は以下の2種類があり、汗の成分が異なります。
・エクリン腺
エクリン汗腺は、ほぼ全身に分布する汗腺です。体温調節のために汗をかくほか、腎機能を補助したり、皮膚のうるおいを保つ役割も担っています。
エクリン汗腺から分泌される汗は99%が無色透明な水分で、分泌されたばかりのときはニオイもありません。残りの1%はほとんどが塩分ですが、そのほかのミネラルやアミノ酸、乳酸塩、尿素などもわずかに含まれています。
・アポクリン腺
アポクリン汗腺は思春期以降に活動する汗腺で、わきの下、乳輪、外陰部、肛門周囲と特定の部位にのみ分布しています。アポクリン汗腺から分泌される汗は粘り気があり、白く濁っています。タンパク質や脂質、アンモニア、糖質、鉄分など、ニオイの原因となる成分が多く含まれており、ワキガの臭いニオイの原因となります。
汗臭くなる原因
ここでは、具体的に汗をかくと臭くなる原因をみていきましょう。
(1)細菌の繁殖
汗のニオイの原因のひとつに、汗に含まれる成分をエサに細菌が繁殖することがあげられます。汗が皮膚表面の皮脂やタンパク質と混じると、それをエサに細菌が繁殖するのです。
アポクリン汗腺から分泌される汗は細菌のエサになる物質を多く含んでいるうえ、アポクリン汗腺自体が湿気のこもりやすく細菌が繁殖しやすい部位にあります。そのアポクリン汗腺から分泌される汗に含まれる尿素やアンモニアの成分が細菌に分解されると、特有のニオイ物質が発生します。これが不快なニオイにつながりやすい原因なのです。
(2)汗腺の機能低下
汗腺は、汗を分泌する前に身体に必要な栄養やミネラルを再吸収する機能を持っています。しかし、身体の冷やしすぎや精神的なストレス、運動不足などによってこの機能が低下すると、ミネラルや栄養を再吸収できなくなり、皮膚の表面に過剰にミネラルなどが排出されます。それが皮膚常在菌によって分解され、いやなニオイの原因となります。
(3)汗のニオイを悪化させる食べ物の摂取
肉などの動物性タンパク質や、牛乳や乳製品などの動物性脂肪分が多く含まれた食べ物を大量に摂取すると、分解しきれなかったタンパク質が汗腺から分泌され、細菌の繁殖につながります。このほか、ニンニクやニラ、玉ねぎといったアリシンが含まれた食材、香辛料たっぷりの辛い料理、糖分やアルコールの過剰摂取もニオイの原因となります。
8つの汗のニオイ対策
では、様々な原因で発生する汗のニオイには、どのように対策すればよいのでしょうか。
汗のニオイ対策として、すぐにできる8つの方法をお伝えします。
(1)汗をかいたらこまめに拭く
細菌が汗の成分を分解してニオイの原因物質を作り出すまで、1時間かかるといわれています。そのため、汗をかいてもこまめに拭きとることでニオイの発生を防ぐことができます。
(2)普段から汗をかく習慣を身につける
汗腺の機能の低下は臭くなりやすい汗が出る原因となるため、普段から適度に汗をかくようにし、汗腺の機能を鍛えることが重要です。軽い有酸素運動やお風呂につかるなど、普段から汗をかく習慣を身につけましょう。毎日湯船につかるのが難しい場合は、足湯でも効果を期待できます。
(3)冷房で身体を冷やしすぎないようにする
冷房に当たりすぎたり、強すぎる冷房で身体を冷やし続けたりしてしまうと、汗腺の機能が停止して汗をかかない身体になってしまいます。冷房の温度設定を適切にし、冷やしすぎないようにしましょう。
(4)こまめな水分補給をする
臭くなりにくい汗をかくには、十分な水分補給が必要です。一日に必要な水分の量は、大人の場合は1.5〜2リットルといわれています。日ごろから「のどが渇いた」と感じる前に、こまめに水分補給することを心がけてみましょう。
(5)汗のニオイを抑える食べ物を摂取する
汗のニオイを抑えるには、腸内環境を整えることが有効といわれています。食物繊維や乳酸菌など、腸内環境の改善を期待できる食べ物をバランスよく摂取しましょう。なお、乳酸菌は毎日摂取することが大切ですが、難しい場合にはサプリメントなどを活用するのもよいでしょう。
このほか、ビタミンAやビタミンE、オリーブオイルやごま油などに含まれるオレイン酸やαリノレン酸には強い抗酸化作用があるため、体内でタンパク質や脂質の酸化を抑えて汗のニオイを軽減する効果が期待できます。
(6)規則正しい生活習慣を心がける
暴飲暴食や喫煙は体内の酸化が促進されて汗のニオイの原因になるので避けましょう。
また、ストレスや睡眠不足によって自律神経が乱れると、汗腺の機能が衰えて汗の中の乳酸やアンモニアといったニオイの原因となる成分が増えます。ストレスと睡眠不足を完全に避けるのは現代社会では難しいかもしれませんが、規則正しい生活を心がけ、できるだけストレスをため込まない生活を心がけましょう。
(7)洗いすぎや殺菌しすぎを避ける
汗のニオイが気になると、殺菌効果の高い薬用石けんや制汗剤を使用する方も多くいるでしょう。しかし、洗浄力の強い洗浄剤を頻繁に使うと皮脂腺が活発化して皮脂の分泌量が増え、細菌が繁殖しやすくなってしまいます。
また、殺菌効果の高い制汗剤は皮膚常在菌を死滅させ、本来は繁殖できないはずの雑菌が増殖しやすい環境を作ってしまう可能性があります。強い洗浄剤や皮膚を殺菌する薬剤は使用しすぎないことが大切です。
(8)衣服についた汗のニオイを落とす
アルカリ性の洗剤や漂白剤を使うと、衣類についた汗のニオイを落とすことができます。また、重曹は脂質やタンパク質を分解するため、ニオイ成分の分解に役立ちます。
まとめ
汗臭いニオイの原因には、細菌の繁殖や汗をかかない生活、食べ物など様々な原因が考えられます。また、汗のニオイ対策によいと思われがちな殺菌剤配合の制汗剤や殺菌効果の高い石けんも、ニオイやすい体質を作る可能性が。
外出先では、ニオイを発する前に汗をこまめに拭く習慣をつけましょう。また、汗をかく習慣を身につけ、食べ物も野菜や発酵食品中心を心がけて身体の内側から汗がニオいにくい体質を意識してみてください。
(LBR編集部)
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