ポケモンGOは健康づくりに役立つ?東大生が調べてみた

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2018年07月31日 12:01  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

2016年7月リリースの以降、8億DLを記録した大人気ゲームアプリ


レイドバトルに参加するポケモンGOユーザー(編集部撮影)

 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病では、従来から定期的に運動をする運動療法が有効であることが知られています。しかし、多忙や面倒を理由に運動療法を実践できない人は少なくありません。

 ところが位置情報をもとにスマートフォンで遊ぶゲームで有名な「ポケモンGO」で頻繁にプレイを楽しんでいる人では、プレイ開始前に比べ、体重や血圧値、血糖値、血中コレステロール値、尿酸値などが改善し、健康状態に良好な影響を与えている可能性があることが、東京大学薬学部の名倉慎吾さんらの研究により明らかになりました。この結果は第21回日本医薬品情報学会総会・学術大会で発表されました。

 「ポケモンGO」はアメリカのナイアンティック社と(株)ポケモンが共同開発したスマートフォン位置情報ゲームアプリ。2016年7月のリリース以降、世界累計でおよそ8億ダウンロードを記録する大人気ゲームです。

 ゲーム内でプレイヤーは、世界中に生息する不思議な生き物(ポケモン)を研究するウィロー博士の研究の手伝いとして、ポケモンを捕獲する旅に出るという設定です。

 実際にプレイヤーはアプリを立ち上げながら街中を歩いて探索し、ポケモンが自分から遠くない位置に現れるとスマートフォンが振動して通知して知らせてくれます。マップ上に現れたポケモンをタップすると、ポケモンと遭遇。画面上のモンスターボールをポケモンに投げることで、捕獲することができます。モンスターボールなどゲーム内で使用するアイテムも街中にあるポケスポットで手に入れるためプレイヤーはとにかく歩き回ることになります。

体重や各種検査の数値で統計学的に明らかな差が

 名倉さんらは2017年7月、直近1か月以内にポケモンGOを週1回以上プレイしている20〜34歳、35〜49歳、50〜64歳、65歳以上の各200人、合計800人を対象にウェブアンケートを行いました。アンケートではプレイ時間、プレイ開始前後での生活習慣や臨床検査値、健康意識の変化を尋ねました。

 回答者800人の性別内訳は男性が526人、女性が274人。またプレイ頻度は「ほぼ毎日」が半数を超える406人、「週4〜5回」が127人、「週2〜3回」が139人、「週1回程度」が128人でした。

 1日平均プレイ時間は30分未満が48%、30分以上が52%で、この割合は年齢層別で大きな差は認められませんでした。

 プレイ開始前と比べた数値変化については、体重は、「減った」が19.4%、「変化なし」が63.5%、「増加した」が8.5%、「不明」が8.6%。血圧は「低下した」が8.1%、「変化なし」が68.9%、「上昇した」が1.3%、「不明」が21.7%。これを1日のプレイ時間30分未満と30分以上に分けて比較すると、体重が「減った」は30分以上の人で29.4%、30分未満の人では11.6%、「変化なし」はそれぞれ60.3%、80.3%、血圧値では「低下した」がそれぞれ14.2%、6.3%、「変化なし」がそれぞれ84.2%、92.1%でした。

 つまりプレイ時間が1日30分以上の人では、30分未満の人と比べ、体重が「減った」、血圧値が「低下した」人の割合は多く、「変化なし」の人の割合は低くなるという健康面から見ると望ましい結果となり、この差は統計学的な検討から偶然ではない明らかな差と認められました。

 また血圧値に関しては、プレイ開始前に高血圧との診断を受けていた207人で、プレイ時間が1日30分以上の106人と30分未満の101人で比較しましたが、「低下した」と回答した人の割合は、1日30分以上の人で34.9%、30分未満の人で15.8%で、これも統計学的な検討で明らかな差が出ました。また、プレイ開始前に高血圧治療薬を服用していた103人のうち5人がプレイ開始後に薬の量が減ったと回答しています。

 さらにプレイ時間が1日30分以上の人と30分未満の人で、その他の検査値の低下を尋ねたところ、血糖値が「低下した」人の割合は30分以上の人で10.5%、30分未満の人で2.8%、HbAlcは「低下した」がそれぞれ9.7%、3.0%、血中コレステロール値は「低下した」がそれぞれ15.5%、5.4%、血中尿酸値は「低下した」がそれぞれ7.3%、2.8%となりました。いずれもポケモンGOのプレイ時間が多い人ほど数値が低下したことになり、これについても統計学的に明らかな差と判定されました。

 名倉さんは「ポケモンGOで積極的にプレイしている人は運動量が増加し、その結果健康状態に肯定的な影響が生じたことが示唆される」と語り、ゲームを運動療法に取り入れるGamificationで人のモチベーション維持や健康状態や薬物治療に対して効果的な結果を得られる可能性があると結論付けています。(村上和巳)

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  • 近所の公園は、車で来て路駐して車の中でスマホぽちぽちしてつやつばっか見かけるなぁ
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