打撃絶好調の大谷、投手復帰時の起用法に一考の余地あり…?

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2018年08月08日 20:11  ベースボールキング

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ベースボールキング

投手としての練習も再開している大谷翔平
◆ 日本人1年目の本塁打記録も視界に

 現地時間7日(日本時間8日)に行われたエンゼルス−タイガースの一戦。「3番・指名打者」に戻った大谷翔平は初回の逆転弾を含む2安打、3打点に加えて1盗塁という活躍でチームを勝利に導いた。

 これが今月3本目、シーズン第12号の一発。投手を並行する“二刀流”でありながら、日本人選手によるメジャー1年目の本塁打記録更新が現実味を帯びてきた。

 メジャー1年目に最も多くの本塁打を放った日本人というと、2006年の城島健司(マリナーズ)が記録した18本。実は松井秀喜(ヤンキース)は1年目は16本に留まり、15本塁打以上を記録したのは井口資仁(ホワイトソックス/15本)を加えた3人しかいない。

 ちなみに、城島は542打席で18本塁打だったのに対し、大谷はここまで223打席で12本。日本人ルーキー初の20本塁打超えだって夢ではないペースだ。



 
◆ 「大谷翔平」というカードをフルで活かすために

 開幕前は「10勝&10本塁打」が大目標と言われた大谷。投手としては9試合に登板してスターターながら160キロ超えを連発。才能の片鱗を見せつけた一方、右肘の故障があってしばらくの間は打者に専念。ここまで4勝に留まっているだけに、今季の10勝は絶望的となっている。

 しかし、打者としては故障後も変わらぬ輝きを披露。打率こそ3割を切ってしまったものの、マイク・トラウトやアルバート・プホルスに負けないパワフルな打撃を見せつけ、打線に欠かせない存在となっているのだ。

 練習こそ再開しつつも、投手としての復帰時期は依然として不透明。スタートは良かったチームも徐々に苦戦を強いられ、オールスター後には主力選手を放出する“再建モード”へと移行。ここに来てマイク・ソーシア監督の退任報道(本人は否定したが)も持ち上がっているだけに、今後の大谷の起用法にも注目が集まる。


 そんな中、改めて期待したいのが大谷の「クローザー起用」である。

 先発では日本時代と同じ中6日で回るなど、チームの協力を得ながらの登板となったものの、やはり一度の登板で100球も投げるというのは肘への負担は大きい。また、先発では登板前後に休養日を設けるため、その分打者としての出場機会も少なくなってしまう。

 そのモヤモヤを解消するのが大谷のリリーフ起用だ。リリーフであれば休養なしで指名打者として出場できるうえ、もしもの時は指名打者を解除してマウンドに登ればいい。もちろん短いイニングには短いイニングの苦労というものが付き物ではあるが、そこは3連投は避ける、シーズン50試合〜60試合に限定...とするなどの一定の制限を設ければ、ケガへのリスクという点でも安心できるはずだ。

 これで打者・大谷の打席数が増えるだけでなく、投手・大谷を勝ちパターンの試合限定で使えるようになるというメリットも出てくる。日本ハム時代は立ち上がりに苦しむ面も見られたが、メジャー1年目の今季は9試合に先発して初回の失点はわずかに2回だけ。だいたい100球というところを意識しながらの立ち上がりでも結果が残せたのだから、最初から1イニング限定のクローザー起用でどんなピッチングを見せてくれるのかという楽しみもある。

 当然、指名打者として試合に出場しながら途中で肩を作らなければならないという点や、指名打者を解除してまで登板した大谷が打たれて延長戦に突入してしまった時には大きな不利を被ることにはなるが、大谷翔平という一人の選手の投打をフルで活用した時のメリットと比較すれば安いものと言えるのではないだろうか。

 もちろん、今は故障の不安を完全に取り除くのが最優先事項であるが、投手・大谷の復帰が目前となった時にエンゼルスはどのような起用法で大谷を使うのか。今から注目が集まる。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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