私立高校生が「TENGA」盗んで号泣、幼稚園児の犯行も頻発――Gメンが明かす少年万引きの実態

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2018年08月11日 20:03  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

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 みなさん、こんにちは。保安員の澄江です。夏休みに入ってから子どもたちの来店が増え、それに合わせて少年万引きを摘発する機会も多くなってまいりました。今回は、少年万引きにおける人気商品から、犯罪に走る少年の傾向と実態を探りたいと思います。

 私の経験から言うと、万引きの常習化は小学4年生くらいから始まるような気がしますが、最近は幼稚園児による犯行も頻発しています。間違えたとかそういうレベルではなく、明確な悪意を持って周囲を窺い、ポケモンカードのような商品をはじめ、スナック菓子などについたおまけのカードやミニフィギュアなどを盗んでいくのです。親御さんと来店しているにもかかわらず、離れている隙に万引きをしていく子も珍しくありません。おまけつきスナック菓子を1つ買ってもらっているにもかかわらず、その中にあるカードが気に入らず、開封したものと未開封の商品をすり替えていく子もいました。お目当てのレアカードを見つける度に興奮を抑えきれない様子で「ゲット」と叫び、小さくガッツポーズを取る小学2年生の2人組を捕まえたこともあります。そこまでカードに執着する理由はわかりませんが、きっと全てを揃えて自慢したいのでしょう。カードを買い与えるときは、ある程度の収集欲を満たすまで付き合ってあげてほしいなと思います。

 小学校高学年の子による犯行となると、お菓子やドリンクをはじめ、コミック、文具などのファンシーグッズ、コスメ、人気玩具などの商品を狙うようになります。中には、大きな玩具を盗み出す小学生も存在しており、仮面ライダーのベルトをトイレに持ち込み、変身して出てきたところで声をかけたこともありました。前にお話ししたネグレクト被害を受けているような子どもたちは、おまけや玩具などには目もくれず、腹にたまる炭水化物ばかりを持ち出します。これは成人の万引きにも言えることですが、万引きの中にも格差のようなものがあって、さほどお金に困っていない被疑者と、食うに困って犯行に及ぶ被疑者の盗むモノでは、狙う商品が違うのです。

 中学生万引きにおける定番の被害品といえば、化粧品や菓子、ペットボトルが代表格といえますが、昨今ではスマホグッズの被害が目立ちます。例外もあるでしょうが、彼らの小遣いではどれもがちょっと高くてなかなか買えないものだし、魅力的な商品がたくさんあるので狙われてしまうのでしょう。カバーや保護フィルム、携帯バッテリー、イヤホンなどを狙う子たちが多いのです。彼氏や彼女、友人らとカバーをお揃いのモノにしたくて、同じものを複数ずつ盗む子もいました。高校生も同様ですが、年齢相応なモノも狙うようになっていきます。意外と多いのがコンドームや妊娠検査薬ですね。昔は不良っぽい子たちが盗っていくモノだという認識でおりましたが、最近は真面目そうに見える普通の子ばかりなので、時代の変遷を感じます。その一方、販売網を広げる「TENGA」の被害も散見され、若い男性の草食化を実感したこともありました。それを盗んだ私立高校生は、盗んだ理由を「買うのが恥ずかしかったから」だと言っていましたが、捕まってより恥ずかしい思いをしたと号泣していました。

 少年万引きで一番厄介なのは、商圏内にある学校で万引きが流行してしまうことです。ありがちな話に聞こえますが、被害店舗側からすればたまったものではなく、一度狙われてしまえば、まもなく死活問題に直面します。最近では、特定の衣料品店における集団万引きの摘発に挑みました。警戒対象は、近所にある高校の生徒さんたちです。この時には、1カ月かけて、2人の単独犯と3組のカップル、2人組の女の子、4人組の男の子を捕まえて警察に引き渡しました。共犯でやるということは、実行役以外の見張り役がいるということになり、その数が多いほど犯行の瞬間を現認するのは大変です。しかし、この現場の視界は良好で、自分の姿を見せることなく一部始終を目撃することができました。彼らの犯行現場となる死角にある棚は、仕切りが格子状になっており、存在に気づかれない限り目の前で見ることができたのです。

 あまり知られていませんが、共犯関係での犯行は、単独犯より計画的であるという理由で罪が重くなり、その犯行態様によっては逮捕されることもあります。少年の万引きは共犯によることが多く、この時は4人組の男の子だけが逮捕されました。詳細は控えますが、防犯タグを無効化する特殊器具を用いて大量の商品を盗み出す犯行だったために、より悪質と判断されたのです。友人から注文を受け、安価で売却することを目的に繰り返し万引きしていた彼らは、特に不良という感じのしない普通の子たちでした。しかし、犯行を後悔するというより、私に捕まったことの悔しさが勝る態度に終始し、ほとんど話はできませんでしたね。警察署の講堂に並べられた大量の被害品から、彼らの底知れぬ欲望が垣間見えて、その浅ましさにウンザリした気持ちになったことだけが記憶にあります。

 そして夏休みになると、毛染めや花火、バーベキューセットを盗みに来る少年少女が急増します。これは毎年必ず起こる現象で、我々保安員からすれば、夏の風物詩みたいなものだと言えるでしょう。年齢確認が厳しくなったことで、店頭での入手が困難になっていることから、お酒やたばこを狙った犯行も増えています。夏の開放感が犯行態様を派手にしてしまうのか、警備が手薄な深夜を狙って来店した高校生グループが、レジについたタバコの商品棚を丸ごと奪っていく事案もありました。後日、近くの公園で空になったレジと商品棚が発見され、犯人の高校生グループも捕まりましたが、被害弁償はされないまま現在に至っています。

 夏休みには、家出中の子に遭遇することも、珍しくありません。これはあくまで私の主観ですが、学校に行ってない万引き常習者や家出中の子には、服装や雰囲気に特徴があるように思えます。男の子であれば、黒もしくは白のジャージに金のラインが入ったものを着ている確率が高く、女の子の場合には、サンリオで人気のあるキャラクターがプリントされたスウェット上下に、そのキャラクターがついた黒やピンクのサンダルという服装が定番なのです。昨年の夏に捕捉した家出少女に着目したのも、そうした服装で来店したことからでした。派手な化粧を施した金髪の少女が、そんな服装で店に入ってくれば、注視しないわけありません。案の定、飲食物のほかに、洋服や下着、歯ブラシセットなどまでバッグに隠した金髪の少女は、何も買うことなく店の外に出ていってしまいました。盗んだブツが家出少女であることを暗示しており、嫌な予感を抱きながら彼女に声をかけて事務所に連れて行くと、半年近く家には帰っておらず、友人の家を転々としていると告白されました。

「どうして家に帰らないの? 食べるのも大変でしょう?」
「親が離婚して、ママが新しい男連れてきてウザいんだ。金なくなったり、泊めてもらえないときは援交してるから大丈夫」
「そんなに嫌な人なんだ」
「ちょっとしたことで怒るし、なにかと体触ってくるから嫌なんだ。あんなヤツと同じ家で暮らせないよ」

 その後、警察に引き渡された彼女は、親に引き取られることを拒否して逮捕されることになりました。それ以上のことを知る術はなく、その日は悶々とした気分で帰宅したことを覚えています。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)

このニュースに関するつぶやき

  • 万引きする子の親のところには児童相談所が突撃して強制的に子供を保護っていうのはダメなのか?こんなもん、問答無用じゃろ。
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