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男性育休実録レポート ――取得しやすく、よりよく改善するために

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2018年08月29日 12:02  MAMApicks

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5.14%。この数字は我が国の2017年度の男性育休の取得率である。年々上昇傾向にあるとはいえ、育休を取る男性はまだまだ少数派だ。そんな中、我が家では第二子の出産に際して、夫が2ヵ月間の育休を取った。

夫は結婚前から「育休を取ってみたい」と言っていたくらい、もともと育休取得には意欲的だったが、第一子の出産のときは、諸般の事情で育休取得を見送った。産褥期は親には頼らなかったが、なんとかなった。まず産後の回復を早めるために無痛分娩を選択し、産褥期は昼間にワンオペで家事と育児をしながら、買い物や役所関係の手続きなどを夫に頼むという方法で乗り切ったのだった。

しかし、2人目になるとこの方法だけではきつい。というのも、上の子の保育園の送迎問題が発生するからだ。ここで親を頼れない人の多くは、シッターやファミサポなどを利用して乗り切るのだろうが、我が家では出産はこれで最後になるだろうということもあって、夫が育休を取ることにしたのである。


で、いざ夫に育休を取ってもらったら、これが本当に楽なのだ。
まず、新生児期の夜間授乳の負担が格段に楽になる。我が家では1人目のときからあえて母乳とミルクを交互に与えることにし、母乳は私が対応、ミルクは夫が対応していた。こうすると新生児期でも睡眠時間がそこそこまとまって取れるし、産後すぐから単独で外出できるので、私が育児ストレスを抱えにくくなるというメリットがあった。

ただ、1人目のときは夫は車通勤だったため、深夜の授乳を任せるのは申し訳ないと思っていたのだ。睡眠不足のまま車の運転をするのは危ないし、会社で昼寝するわけにもいかない。しかし、夫が育休を取っているのなら、そういった心配はない。だから安心して深夜の対応をお願いできた。

2人で協力すれば1人あたりの抱っこの時間も短くなる。1人目のときは手首や腰や肩が痛んでつらかったが、抱っこの絶対時間が短くなれば痛みはまだましである。私は1人目の抱っこで腰のヘルニアを発症してしまったので、少なくとも2人目の子どもが歩きはじめるまでは再発させられない。そういう意味でも、体に過度な負担をかけなくて済むのはありがたかった。

まあそんなわけで、昼間に眠くなったら「次の授乳と抱っこ対応はお願いします。私は寝ます」といって横になればよかったので、思う存分新生児を愛でる余裕ができたのだ。

さらに、朝と夕方以降の忙しい時間帯に2人態勢というのはちょうどよかった。片方が家事をやり、もう片方が育児を引き受ける。もしくは、片方が下の子の世話をしている間に、もう片方が上の子の遊び相手になってあげられる。だから、育休中は時間に追われてイライラすることが減った。もちろん、育休が明けたらそうも言ってはいられなくなったが。

育児だけでなく、家事の面もメリットがあった。夫は育休中に料理を担当していたが、冷蔵庫の在庫を見て買い物をする、冷蔵庫の在庫からメニューを考えるということまでするようになった。麦茶が減っていれば沸かして補充する。だから、1人目の育児中に不満に思っていた、「“名もなき家事”は私ばっかり!」という問題も解消されるようになった。

ちなみに、我が家では夫は2人目のときに育休を取得したが、もし1人目のときに取得すれば、「夫婦の育児スキルの差がつきにくい」「夫にも育児に主体性をもってもらえる」というメリットも加わるはずだ。

だからとにかく、男性の育休取得はメリットが多いのである。

■少数派ならではの悩み
しかし、冒頭でも述べたが、男性の育休取得率は非常に低い。育休取得に際しては、自分たちが圧倒的な少数派であることを嫌というほど実感したものだ。

まずは、保育園の手続きである。
産休・育休になると、保育園の利用の理由が就労から産休・育休となる。それに伴って書類を提出することになるのだが、この育休に入るときの書類は私だけでいいのか、夫も必要なのかと園長に質問しても、初めてのことだからかよくわかっていなかった。

そこで市のほうに確認すると、妻のほうだけでよいということになった。しかし、それもなんだか変な話である。夫も育休を取るのになぜ妻だけの分でよいのだろうか。園だけではなく、市でもどう扱っていいのかわかっていない感じがする。

会社だけでなく、ママ友同士の関係でもそうである。
産休・育休中は短時間保育に協力しなければいけないので、育休中の母親たちは16時台に下の子を抱っこしながら上の子のお迎えに行く。しかし、夫が育休を取っている場合、下の子は家に置いて私は単身でお迎えに行ける。これがママ友からしてみれば不審なのである。まず、「えっと……出産できたんですよ……ね?」といらぬ気遣いをさせてしまう。それで、何日か単身でお迎えに行けば、おずおずと「赤ちゃんはどうしてるの……?」ときかれる。だから夫が育休中であることを話すことになる。すると、必ずと言っていいほど「いいなー」「理解のある旦那さんですね」という反応をされるのだ。

たしかに恵まれているのは否定しようがないのだが、そう言われ続けるとこちらは後ろめたくなる。
早く上の子のお迎えに行って、その後は子どものリクエストに応えて暗くなるまで近所の公園で遊ばせているとき、ほかのママ友は赤ちゃんを抱っこしながら子どもを見守っている。なのに、こちらは手ぶらで身軽である。ママ友の赤ちゃんが空腹でぐずり、なんとかなだめている姿を見るたびに、こちらは「楽してすみません」という気分になるのだ。もちろん、ママ友からあからさまに嫌がらせをされたり、嫌味を言われたわけではなかったのだが。

男性育休は当然の権利。だけれど、まだ少数派だし、少数派というのは本当に肩身が狭い。だから、男性の取得率がもっと上がってほしいと思う。

■男性育休、取ってみた夫側の感想は?
では、夫の感想は?
きいてみたところ、下記の回答を得られた。

≪メリット≫
(1) 平日昼間の時間を確保できたことで、役所関係の手続き対応などがスムーズに進められた
(2) 子ども2人を相手にするワンオペ育児はキツいが、大人が2人いればかなり楽になる

≪デメリット≫
(1) 資金繰りが大変
(2) 妻からの父親業に対する合格基準が上がった

≪その他感想≫
(1) 仕事をしていた時に忙しくてできなかったことを育休中にやろうとしたが、結局時間がなくてそれどころじゃなかった。育休中は暇ではない。
(2) 職場での自分の担当の仕事は、自分がいなかったらそれはそれで回ることが分かった

ハッとしたのは≪デメリット≫である。まあ、(2)については妻からすればメリットなわけだが、問題は(1)だ。これについては、私自身はフリーランスで、育児休業給付金はもらえないため、まったくピンときていなかった。

育休中は給料が出ないが、雇用保険に入っていれば育児休業給付金が出るため、手取りがゼロになるわけではない。また、社会保険料も免除になるので、経済的なダメージはさほどないとよくいわれる。それは確かにそうなのだ。

しかし、給料は育休に入ればストップする一方で、出産費用などで出費はかさむ。その一方で、給付金の支給は育休に入ってからしばらくしないともらえないのである。さらに、給料から天引きされていた住民税をまとめて支払わなければいけない。だから、「家賃や住宅ローン返済などの固定費を支払うと毎月収支がギリギリ」という家計だとキツいのである。もし、男性が産後すぐに育休を取る場合は、ある程度の貯金をしておく必要がある。

また、≪その他感想≫の(2)も示唆に富んでいる。おそらく男性が育休を取ることを躊躇するのは、「職場で誰も取っていないから」「経済的なダメージがあるから」ということのほかに、この事実に直面するのが怖いのもあるのではないだろうか。

確かに、多くの女性は出産を機に「自分がいなくても現場は何とかなる」という事実を突きつけられて就労意欲を失いがちだ。ただ、その事実は厳然たるもので、どんなに逃げ回っていても、男女関係なくいつかは思い知らされるものなのだ。それなら、50代60代ではなく、なるべく若いうちに経験しておいたほうがまだダメージが少ない。

要はこの事実をどうとらえるかである。夫は「会社からのプレッシャーを真に受けず、ちょっと引いた目線から仕事を冷静にとらえられるようになった」と言っていた。そういうとらえ方ができるとよいのだろう。会社側にとっては都合が悪い考え方だろうが。

■育休だけでなく産休もは贅沢?
最後に、育休を取ってもらって私が実感したことは、「男性には育休だけでなく産休、特に産前休暇も必要である」ということだ。「男は産まないのになんで産休なんだよ」というツッコミが来そうだが、産前も休みが取れたほうが助かる。

これは、拙稿「二人目妊娠レポート【後編】」にも書いたのだが、臨月にワンオペで上の子の相手をしていると、本当に不便だったし、心細かったというのがある。

我が家は計画出産で、出産予定日の1週間前に入院して出産に臨むことにしていたのだが、実際に出産したのはその入院予定日の1週間前だった。つまり、本来の出産予定日より2週間早かったことになる。

しかし、育休は原則として出産予定日を迎えた後からしか取れない。しかも、育休に入る前だから引き継ぎなどがあり、かえって休みにくいのだ。だから、出産してから2週間は、結局私は昼間のワンオペ育児を強いられることになったのだった。そして、私は上の子の送迎ができないので、夫は予定外に発生してしまった送迎のやりくりのために相当苦労していた。

しかも、産院の1週間健診(退院後1週間後に行われる健診)のときは夫はどうしても会社を休めず、私はひとりで新生児を連れて片道約1時間かけて産院に行き(無痛をやっている産院が近くにないのだ)、母体と乳児の健診を行わなければいけなかった。ほかの新生児連れの女性は皆、配偶者か親と一緒に来ていたので、ワンオペ健診なんて私ひとりしかいなかった。

だから、ようやく出産予定日がきたとき、夫婦そろって「ああ、これで楽になれる」とほっとしたものである。

まだまだ男性の育休取得ですら少数派なのに、産休までよこせというのは無茶な話だと重々承知している。でも、男性の育休取得者が今後増えれば、現行の制度の使い勝手の悪さを指摘し、改善を求める声が挙がっていくはずだ。

現在の取得率は低いけれど、育休を取得したいと考えている若い男性は多いという。実際に、夫の職場でも、夫が育休を取ると表明してから「実は僕も育休を考えていて……」と相談に来る男性社員がちらほらいたそうだ。

興味があるのなら、次は実践する勇気を持つことだ。女性の育休だってそうやって勝ち取ってきた。男性の育休取得が当たり前になれば、もっと育児がしやすい社会になるはず。そうなったらいいなあと思っている。

今井 明子
編集者&ライター、気象予報士。京都大学農学部卒。得意分野は、気象(地球科学)、生物、医療、教育、母親を取り巻く社会問題。気象予報士の資格を生かし、母親向けお天気教室の講師や地域向け防災講師も務める。

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