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トランプを止められる唯一人の男、マティス国防長官が危ない?

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2018年08月31日 20:51  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<トランプが耳を傾ける数少ない政権幹部として世界が頼りにしてきたマティス国防長官が、徐々に苦しい立場に追いやられている>


宇宙空間での軍事活動を管轄する「宇宙軍」を米軍に新たに創設する──。ドナルド・トランプ米政権のこの決定は、国防総省にとって過去数十年で最も重大な組織改編を意味する。


だが8月9日の発表の時、肝心のジェームズ・マティス米国防長官は姿を現さなかった。マイク・ペンス米副大統領に宇宙軍発表の晴れ舞台を奪われたのだ。


だが、元海兵隊大将でイラクとアフガニスタンで指揮経験もあるマティスが、お膝元の国防総省でそう簡単に陣地を譲ると思ったら大間違いだ。


彼は昨年、費用の増大を懸念して宇宙軍の創設に反対し、歴史に名を残すようなプロジェクトが欲しくて仕方がないトランプに敗れたのだ。


マティスは、トランプ政権の発足以降ほぼずっと、トランプに最も大きな影響力を持つ政権幹部と見られてきた。人前ではトランプに服従して見せるが、目立たないようにトランプの無茶な衝動を抑えてくれる人物だ。


だが最近、宇宙軍の創設以上に重要な問題を巡って、マティスが議論でトランプに負けることが増えてきた。トランプが安全保障問題で自信をつけ、ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)といったタカ派の側近で周囲を固めてきた今、イランや北朝鮮の問題に関して、マティスが以前のような影響力を行使できているか大いに疑問だと、軍事アナリストや元米政府関係者は言う。


「マティスは宇宙軍の創設に取り掛かるよう指示されても従わなかった。最終的にトランプは、ペンスを国防総省に送り込んだ」、と同省の内部事情に詳しい元職員は言う。「トランプ政権の発足後1カ月や半年の頃にはあり得なかったことだ」


マティスは2017年に宇宙軍の創設に反対して議会に送った文書の中で、「(空軍から切り離す形で新設すれば)組織が細分化し、宇宙空間での作戦に支障を来す」と、断言した。だがペンスが宇宙軍創設を発表を行った数日後には、マティスは立場を翻し、宇宙軍の方向性には満足していると言った。


「私は宇宙軍の創設自体に反対したのではない」、と、マティスは報道陣に言った。「問題点を明確にしないまま創設を急ぐことに反対しただけだ」


就任当初の数カ月はマティスにとって成功の連続だった。国防総省の予算を大幅に増額させ、アフガン戦略では駐留米軍の撤退を望んでいたトランプを説得し、増派を承認させた。北朝鮮を先制攻撃する、というトランプの衝動に抵抗したのもマティスだったと言われている。


トランプは最初、国家安全保障問題を理解できずマティスに頼りきっていた。だがそのマティスも、すべての戦いに勝てたわけではない。トランプは地球温暖化防止のための「パリ協定」から脱退し、イスラエル建国70年に合わせて米大使館をテルアビブからエルサレムに移転した。マティスはどちらにも反対だったが、トランプに押し切られた。それでも、トランプがマティスに一目置いていたのは明らかだった。


「マティスは就任1年目、議論の余地なく最も影響力のある閣僚だった。自他ともに、それは分かっていたはずだ」と、アメリカン・エンタープライズ研究所のマッケンジー・イーグデン常任研究員は言う。


マティスはアメリカの同盟国、とりわけ中東アラブ諸国のアメリカへの信頼をつなぎとめるため、元米中央軍司令官としての影響力を利用した。バーバラ・リーフ元駐UAEアメリカ大使(今年3月に退任)によれば、昨年6月にサウジアラビアなど湾岸・アラブ4カ国がカタールと断交した時も、マティスが事態を収拾した。「彼の言葉には重みがある」と、リーフは言う。


だがマティスは今年に入って、国際協調派だった2人の同志を失った。H・R・マクマスター前大統領補佐官(国家安全保障担当)と、レックス・ティラーソン前国務長官だ。この2人に代わって入閣したボルトンとマイク・ポンペオ国務長官は、トランプに大きな影響力を持つようになった。


「マティスとトランプの関係も以前とは変わり、その結果マティスの影響力は弱まったという印象だ」、とレオン・パネッタ元国防長官は言う。


トランプが決めたイラン核合意からの離脱は、2人の足並みが乱れた最悪のケースだが、他にもある。6月の米朝首脳会談後、トランプが米韓合同軍事演習の中止を決めたのも、国防総省にとって寝耳に水だったと言われている(ただしマティスはそれを事前に知らされていたと、国防総省のデーナ・ホワイト報道官は言う)。


さらにトランプ政権は、米軍をシリアから早期撤退させる意向を表明しており、8月17日にはシリアの安定化を目的とするプロジェクトへの資金拠出を取りやめると発表した。マティスはそれと対照的に、テロ組織ISIS(自称イスラム国)を掃討した後も、アメリカがシリアへの関与を継続することの重要性を強調してきた。


だからといって、マティスがトランプに干されるとかクビ寸前、というわけではない。就任2年目の大統領が外交政策で独自色を強め、側近の助言に耳を貸さなくなることは珍しくない。ただトランプは、ほとんどの歴代大統領より傲慢で、感情の起伏も激しい。マティスにとってリスクがより高いのは間違いない。


与党・共和党関係者を含め、トランプに批判的な専門家の多くは、マティスのことをトランプに対する「歯止め」と見なしてきた。マティスが中核の国家安全保障問題でトランプに譲歩したと思って失望している者もいる、とイーグレンは指摘する。


「マティスは賢い。今では、トランプが突拍子もない発言を始めると雲隠れしてしまう」、とイーグレンは言う。「都合が悪くなると姿を消すやり方は最高だ」


世間の注目やメディアを遠ざける姿勢のおかげで、マティスは今も国防長官の職に留まれているのかもしれない。トランプは、自分より注目を浴びる部下には報復する嫌いがある。


「マティスはうまく立ち回ろうとしている」、とパネッタは言う。「もし彼がメディアに露出して自分の意見を宣伝すれば、トランプに対する影響力は逆に損なわれてしまう」


だがそのせいで、マティスとメディアの関係は緊張した。彼は4月以降、テレビカメラの前で定例記者会見を開くのを拒み、ホワイトも5月以降は開かなくなった。同省を担当するベテラン記者たちは、重要情報の入手が日増しに困難になっていると言う。批判的な記事を書いた記者に対し、報道官が取材拒否するなどの報復措置に出ている、という不満も上がっている。


マティスが、トランプの態度をある程度和らげることができるのはほぼ間違いない。元米軍司令官によれば、ブリュッセルで7月11〜12日に開かれたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議でトランプが「タダ乗り」批判で同盟国を驚かせときも、NATO首脳はマティスのことを「頼みの綱」と見ていたと言う。首脳たちは密室で、対テロ作戦や新たな軍備増強、作戦指揮系統の改革、国防費の負担増に関して、大胆な対策を取ることで合意した。


「マティスとポンペオは連日、トランプの制御役として多くの仕事を任されている。同盟関係維持のためにはそれが不可欠だ」、とミシェル・フロノイ元米国防次官は言う。


だがマティスの本当の実力が試されるのは、トランプ政権が直面する最大級の問題で決断が行われるときだ。対ロシア関係、シリア内戦の後処理、イランの核開発問題、北朝鮮の非核化など、課題は山積だ。


「今後もトランプはこれらの問題について自分の主張をツイートで発信し続けるはずだ」、とパネッタは言う。


「トランプにこのツイートをやめさせられるかどうかで、マティスと国防チームの手腕が試されると思う」


From Foreign Policy Magazine


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ララ・セリグマン


このニュースに関するつぶやき

  • トランプは「裸の王様」。それと、日本もアメリカも最近の為政者たちは「自分ファースト」が過ぎます。大概にしてほしい。あなた方のために、国家は存在しているのではありません。
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  • マティスに見放されたら米軍もトランプもお仕舞 あと20年も生きない責任をとれないトランプにアメリカはメチャクチャにされる
    • イイネ!2
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