飲食店の「大食いメニュー」、チャレンジ失敗で支払う「罰金」は法的に問題ないの?

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2018年09月05日 10:32  弁護士ドットコム

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飲食店の「大食いチャレンジメニュー」(大食いチャレンジ)に挑戦したことがある人も少なくないかもしれない。制限時間内に、ステーキやラーメン、カレーなど、その店の大食いメニューを食べ切ることができれば、代金が無料になったり、数万円の賞金が出たりするというものだ。


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ただし、チャレンジに失敗した場合、その代金を全額支払う必要がある。さらに、店によっては、上乗せされた「罰金」を請求するところもある。インターネット上で確認したところ、「罰金額」はまちまちで、数千円から1万円近くになるところもあるようだ。


こうした大食いメニューの「罰金」は、無謀な挑戦者に対するハードルという役割もあるのかもしれないが、どれくらいが適切なのだろうか。たとえば、1万円の「罰金」は法的に問題ないのだろうか。大食いチャレンジの法的問題について、大村真司弁護士に聞いた。


●景表法の規制の範囲内であれば「無効」とは言い難い

「昔、『カレーハウスCoCo壱番屋』で、1300グラムのカレーを制限時間内に食べ切ったら『無料』というのがありました。わたくしも司法修習生のころ、食べ切ったことがありますが、テレビを見ていると、そんなレベルのものではない大食いチャレンジメニューがあるようですね。


さて、大食いチャレンジですが、本来は、一定の代金を支払うのが当たり前なので、罰金と称するものも含め、失敗の場合に支払うのが『正規料金』であり、無料サービスや懸賞金が『条件付の報酬』と考えるのが、実態に即しているように思います」


どのような法律が関係しているのだろうか。


この場合、問題になる法律は『景品表示法』です。景品類の最高額などが規制されています。景品類とは、(1)顧客を誘引するための手段として、(2)事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する(3)物品、金銭その他の経済上の利益、とされていますから、無料サービスや懸賞金は景品類に該当します。


景品類の提供のうち、『特定の行為の優劣または正誤によって定める方法』によって、提供される人や金額を決めるものを『懸賞』といいます。最高でも取引価額の20倍(上限10万円)までとされています。


このことからすると、飲食物の代金と懸賞金の合計がこの範囲なら問題ありません。大食いチャレンジは、通常範囲内なのではないでしょうか」


「罰金額」が高い場合はどうなのだろうか。


「もちろん、『罰金額』が高いものは、飲食物の対価として暴利ではないか、という問題も一応ありますが、もともと『価格は自由に決定してよい』というのが基本的な法の立場ですから、その部分をとらえて、公序良俗違反というのは、よほどのことがないかぎり難しいです。


今回のケースでは、景表法の規制の範囲内であれば、『無効』とは言い難いように思います」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
大村 真司(おおむら・しんじ)弁護士
広島弁護士会所属。日弁連消費者問題対策委員会副委員長、広島弁護士会 非弁・業務広告調査委員会委員長、消費者委員会委員、国際交流委員会副委員長、子どもの権利委員会委員
事務所名:大村法律事務所
事務所URL:http://hiroshima-lawyer.com/


このニュースに関するつぶやき

  • 面白半分で頼んで食べきれずに残されたらたまらないかと それにその料理にも原価はあるからねえ 罰金つけないと具だけ酒のつまみにするやがらは少なからずいるようだし
    • イイネ!1
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