批判続出のサマータイム導入案、標準時を通報している情報通信研究機構に聞いてみた

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2018年09月07日 10:32  弁護士ドットコム

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この夏、記録的な猛暑となったことを受けて、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた暑さ対策として、「サマータイム」(夏時間)導入案が浮上したところ、ネット上では批判が相次いでいる。


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きっかけは、安倍晋三首相が8月7日、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員長の森喜朗会長と会談して、サマータイムの導入を検討するよう自民党に指示する意向を示したことだ。


このような動きについて、労働問題にくわしい弁護士が「労働時間が長期化する」と指摘したり、経済界から、日本商工会議所の三村明夫会頭が8月29日、「コストかかりすぎる」と述べたりするなど、慎重な対応をもとめる声があがっている。


さらは、IT関係者などからはインフラの改修に大きな社会的負担が発生すると懸念されている。サマータイム導入について、日本の「標準時」を通報している情報通信研究機構(NICT)に聞いた。


●「プログラムの誤動作などでシステムダウンする可能性も」

――そもそも、標準時を決める法律はどうなっているのか?


標準時は『東経135度で太陽の動きから得られる時刻』と明治19年勅令で定められ、これは無効とはされていませんが、現在では、NICTが原子時計をもとに生成している時刻が標準時として、デファクトスタンダード(事実上の標準)となって広く社会で利用されています。


――これまでサマータイムが導入されたことはあったのか?


戦後すぐ、まだ米国統治下にあったときに実施されたことがありましたが、4年間で中止されたそうです。


(参考)


1年目:1948年(S23) 4/28夏時間法公布 5/1(第1土)24時〜9/11(第2土)25時


2年目:1949年(S24) 4/2(第1土)24時〜9/10(第2土)25時


3年目:1950年(S25) 3/31一部法改正(4月→5月) 5/6(第1土)24時〜9/9(第2土)25時


4年目:1951年(S26) 5/5(第1土)24時〜9/7(第2金)打ち切り(講和条約締結)


実施せず:1952年(S27) 4/11法廃止 4/27占領終了 4/28講和条約発効


――サマータイムを導入した場合、技術・システムにどんな問題が起こりうるか?


現状では、サマータイム対応がとれるシステム・とれないシステムが混在している状況と思います。時刻管理機能は露わには見えにくいものの、システム全体に関わっているケースもあり、慎重な調査が必要です。


また、各種アプリケーションが複合して動作するようなシステムの場合、切替えタイミングが完全に一致しないと、プログラムの誤動作などでシステムダウンする可能性もあります。


NICTの主務官庁である総務省と相談し、検討しています。


(弁護士ドットコムニュース)


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