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山火事が多いオーストラリアでの避難は自主性重視 公共よりコミュニティを頼る

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2018年09月07日 22:52  Excite Bit コネタ

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Excite Bit コネタ

写真建物火災現場で消化活動中の消防隊
建物火災現場で消化活動中の消防隊

大きく深呼吸する。都会であるシドニー街中の空気がおいしいというわけではないが、公園の芝生の匂いが爽やかにしてくれると期待してのこと。しかし、感じ取ったのは芝生の匂いに混じった、微かに香る何かの焦げた匂い。火災があったようだ。

焦げた匂いがしてもシドニーで火災があったとは限らない。内陸部で起きた山火事や牧場の芝生火災などの煙が、海側に抜けようとして風に乗って流れてくるからだ。そういうときは、シドニーの上空に、光化学スモッグがかかったような灰色の空気と焦げた匂いが充満する。普段は、爽やかな真っ青の空は、煙でうっすら灰色に染まり、遠くを見通せなくなる。

オーストラリアでも地震、津波、洪水から避難する、日本の自然災害ニュースは報じられる。ただ、災害時の様子を比べてみると、日本とオーストラリアでは少し趣が異なる。

日本では、体育館などの脇に「避難所」という看板があることが多く、被災した場合には一時そこに向かう。シドニーではそのような看板を目にすることがない。地方自治体の管理しているウェブサイトで災害対策について調べてみると、緊急連絡先としてメディカルセンターや病院などの連絡先があるのだが、避難場所の記載はない。オーストラリア人自体が集団で行動をする文化ではないため、災害が起きる前から集まる場所を確保しているということがない。実際にはどのような行動をとるのか聞いた。

最初に聞いたのは母親と暮らしているという女性だ。彼女たちの場合、家に戻れないときには近くの公園か、丘の上の学校で家族と待ち合わせをするという。災害発生場所によっては向かえないこともあるから、2カ所設定してどちらかにいけば合流できるようにしている。その他の対策として、家族の人数分の非常用バッグを用意し、飼い猫用にも缶詰などのフードをストックしているそう。ホームステイする学生がいるため、その学生にも集まる場所は伝えているという。家にいた方が安全な場合には、家の地下にあるシェルターに隠れるそうだ。

子ども連れの女性にも聞いた。彼女の場合は「実際に災害が起きないと分からない」と答えたが、家に戻れないのであれば、クリスチャンなので日頃崇拝で集まる場所に行くそう。クリスチャン仲間同士で、水や食料といった必需品の支給があり、別の地区のクリスチャン仲間からの支援があるという。

オーストラリア人は公共より各自のコミュニティを頼る傾向があり、政府、州、地方自治体の指示を待つという感じではない。そのため、避難所がなくて困ることや、どこにいけばいいか分からないという感覚ではないようだ。


火災への対応と豪政府の補助制度



オーストラリアと聞いて、ウルル(旧エアーズロック)を思い出す人も多いだろう。ウルルはオーストラリアの中心にある一枚岩で、周りに映し出される様子も砂漠風景である。想像通り、オーストラリアは乾燥した土地だ。乾燥しているからこそ、一度火災が発生すると一気に燃え広がる。

そのため、火災に関するニューサウスウェールズ州の対応はかなり徹底している。まず同州地方消防署のサイト「Fires Near Me」では、自分の近くでどんな火災が発生しているか確認できる。情報は10分おきに更新され、いつも最新の情報を見ることができる。

サイト内のGoogle Map上の炎マークをクリックすると、山火事、芝生火事、建物火災などの火災の種類が確認できる。制御下、制御不能、火の有無などの状態も表示される。その他の方法としては、ラジオを利用した放送やサイレンなどの警報がある。

オーストラリアの自然災害に関する責任は州ごとになっていて、国一律ではない。オーストラリア政府の管理するウェブサイト「DisasterAssist」によると、自然災害救援および復旧計画(NDRRA)という機関があり、オーストラリア政府はNDRRAを通して支援金を援助することになっている。NDRRA自身、オーストラリア政府の承認なしで災害直後の復興支援や救援活動を規定することができ、州政府が早く行動できるようになっている。

州によって起こる災害が異なっているオーストラリアでは、州のことは州で責任をとり、州のことを熟知しているNDRRAと州政府で、州民により良い的確な救援、支援をしている。


そもそも、なぜオーストラリアでは山火事が多いのか


サイクロン、台風、洪水、山火事といった自然災害が起きやすい中で、オーストラリアでは山火事が多い。特にシドニーがある豪東南部ニューサウスウェールズ州では、もっとも頻発する大規模災害だ。今年1月から8月までに政府が支援金を出した災害を数えてみると、ニューサウスウェールズ州に対し山火事が6回でトップ。南部ビクトリア州と東南部オーストラリアン・キャピタル・テリトリー州でも、同様の山火事はそれぞれ1回あった。

台風・洪水は、東北部クィーンズランド州で3回あり、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、西部ウェスタンオーストラリア州、北部ノーザンテリトリー州および南部タスマニア州でそれぞれ1回。サイクロンはクィーンズランド州、ウェスタンオーストラリア州およびノーザンテリトリー州でそれぞれ1回だった。サウスオーストラリア州では、支援金が出された災害はゼロ。この中でもニューサウスウェールズ州の山火事6回は目を引く。(オーストラリア政府の管理するウェブサイト「DisasterAssist」より)

ニューサウスウェールズ州に山火事が多い理由は、火の不始末や放火ではない。人的な原因や落雷などでの自然発火の他に、オーストラリア特有の火災原因がある。

それは自生しているユーカリプタスの葉から放出される引火性のテルペンという物質である。一般社団法人日本植物生理学会のウェブページ「植物Q&A」によると、夏(南半球の夏は12月から2月)になるとテルペンが放出され、オーストラリア自体が乾燥しきっていることから一度発火するとかなりのスピードで燃え広がることになる。そのため、山火事は夏に集中している。エコウッド景観協同組合のウェブサイト「ECOWOOD」によると、ユーカリプタスの発芽にはこの火災が必須で、火災を経験することで発芽をする。そのため、ユーカリプタスの育成を守ろうとすると山火事はオーストラリアと切っても切れない仲ということになる。
(青砥えれな)

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