■どうしても子どもを……と思わずに
子どもがほしくて38歳から婚活を始めたアユミさん(43歳)。だが恋愛経験も少なく、結婚に条件をつけすぎてことごとく交際には至らなかった。
「40歳でパニックになって、それまでお世話になっていた結婚相談所を全部やめて、手当たり次第にパーティーに出たりしていました。そんなとき、会社の独身先輩女性に『どうして自分の子じゃないといけないの?』と言われて。その彼女、養親に育てられたけどとても幸せだったと。今も自分の本当の親だと思っていると話してくれました。ああ、そういう方法もあるのかと思ったら、急に焦りが消えて……」
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今は婚約者がいる。1年たって妊娠しなかったら、養子を迎える話を彼ともしている。子どもを産まなければ女として一人前ではないという考え方が自分を縛っていたとアユミさんは言う。
「養子をもらえばいい」という安易な考え方ではなく、夫婦がじっくり考えた上で、子どもの幸せのためにそういう選択もあるということだ。ただ、そういう選択肢を知っておくことで女性の気持ちがラクになるのも確かかもしれない。
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■結婚しない女は女じゃないという呪い
誰に植えつけられたかわからないが、「結婚」はどうしても「できる、できない」という基準で語られがちだ。そして、女性たちはその「呪い」に見事にひっかかっていく。
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「40歳になったとき、おや、待てよと思ったんです。田舎の母は私を恥ずかしいとよく言っていました。いい年して結婚もできなくて、と。でも周りには40代独身も離婚して再独身もたくさんいる。狭い価値観に縛られていたのは私自身だと気づいたんです」
マリさん(44歳)はそう言った。別にひとりで生きようが結婚しようが、それは自分の選択。結婚を焦って我慢しながら暮らすなんて、とてもできそうにない。だったらひとりでもかまわないじゃないか。マリさんは40歳の誕生日をひとりで過ごしながら、つくづくそう思ったという。
「縁があれば50歳でも60歳でも結婚する気になるかもしれない。40代だから婚活をハードにしなければと焦っていたけど、むしろ自分の人生を充実させるためのひとつだと考えるようになりました」
それ以来、結婚している人を見てもあまり羨望を覚えなくなった。他人は他人。自分の「今」を充実させるほうが先決だと思っているそうだ。