■単身赴任の家に子どものものを運び込む
8歳と6歳の子を育てているマリエさん(39歳)の夫が単身赴任になったのは2年前。
「新幹線で約3時間かかる距離ですし、自宅に帰る交通費は月に1回分しか出ない。ただ、赴任期間は3年くらいとわかっていたので、あえて単身で行ってもらいました。ただ、単身となると独身気分になりますよね、男性は。夫の浮気を許すつもりなんて、毛頭ありませんし」
|
|
そこでマリエさんは、夫が帰ってくるたびに子どものプラモデルを持って帰ってもらった。電車セットなどを送りつけたこともある。いずれも組み立てが必要なものばかり。
「組み立てたら完成形のままリビングに置いてもらう。そうすれば次に私が子どもを連れて行ったとき遊べるからと言ってあります。あとは子どもたちの絵を壁に貼ってきたことも。あちこちに家族の痕跡があれば、万が一、女性を家に引っ張り込んだとしても女性側がしらけるでしょ」
|
|
夫が“独身気分”にならない「おまじない」としても効果があるようだとマリエさんは笑う。
「夫には常に妻と子どもたちの目があるという意味で抑止力になっているかも。まあ、ホテルへ行かれてしまえばそれまでですが、夫にはそれほど自由に使えるお金はありませんし」
|
|
■不意打ちでチェックを怠らない
単身赴任も何度目かになると夫婦ともに気が緩んでくるというのは、リツコさん(45歳)。
「うちは転勤族なんです。子どもが小さいときは何度か一緒に引っ越しましたが、中学生になってからは学校の問題があるので夫1人で行ってもらっています」
結婚19年、17歳と15歳の子どもがいる。夫は現在も単身赴任中。
「どうもここ数年、夫の言動が怪しいことがあるんですよね。それでときどき『今度、行こうと思っていたけど行けなくなった』と連絡しておいて、不意打ちで訪ねてみるんです。『やっぱり時間ができたから来られた』と。上の娘などは『今度は私が行って探ってくるね』と1人で行ったり。夫は気が気じゃないかもしれませんね。『何か調べたいのか』と夫が少し迷惑そうな顔をしていたこともあります」
夫の留守にリツコさんがこっそり家に入り込んだこともある。
「台所のシンクにグラスが2つあって……。黙って洗って帰ってきましたが、夫からは連絡がありませんでした。気づかなかったのか、あるいは『マズイ』と思って沈黙したのか。もちろん浮気の証拠を見つけたいわけじゃないんだけど、夫の反応から何かを探りたいと思っているのかもしれない」
それだけ家族バラバラという状況が、心穏やかでいられないのは確かなのだろう。
「黙って信頼し、不審なところがあっても見て見ぬふりをして一緒に暮らせるようになるのを待つのがいい妻なのかもしれません。あるいは浮気するなと釘を刺して、あとは自由にさせる方法もあるとは思います。私はどうもそのあたりの方向性が一貫してなくて……」
おそらく単身赴任が終わるまで、彼女の怪しい行動は続くのだろう。いつか、そんなこともあったとふたりで笑える日がくるといいのだが。