空前の”金庫”ブーム! でも、後々困っている人も多いようで…

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2018年09月25日 13:00  citrus

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横浜市のごみ分別の検索システム「ミクショナリー」で検索すると

マイナンバー導入と日銀のマイナス金利政策の影響で、家庭用金庫が飛ぶように売れていると話題です(参照記事)。その背景には、タンス預金の需要増があるそう。でも、金庫といえば、将来処分に苦労する可能性が高いアイテムのひとつでもあります。

 

金庫の寿命はおよそ20年。「実家の片づけ」についてとりあげた書籍・ムックでも<親に遺されたら困るもの>としてたびたび登場します。

 

 手提げ金庫は自治体で回収しているところもありますが、耐火金庫は回収しないことがほとんど。処分する場合は販売店もしくは回収業者に引き取りを依頼します。  鍵をなくした、暗証番号を忘れたといった理由で開けられなくなってしまった金庫は専門業者に開けてもらいましょう。『50代からの 自宅の片づけ 実家の片づけ』(扶桑社ムック)

 

調べてみると、東京都新宿区では、手提げタイプの金庫であれば、粗大ごみで回収してもらえます(料金は300円)。でも、耐火金庫は収集不可。「専門業者を紹介しますので、管轄の清掃事務所・清掃センターに問い合わせてください」と、区のサイトに説明がありました。 

 

一方、横浜市では、さらに細かく条件が分かれていました。同市が提供するごみ分別の検索システム「ミクショナリー」によると、木製・プラスチック製の手提げ金庫は「燃やすごみ」、金属製なら「小さな金属」扱い。ただし、一定サイズを超えると「粗大ごみ」になります。耐火金庫はやはり、回収不可で、販売店に相談するよう書かれていました。

 

 

なんとか手軽に処分できないものか、さらに調べてみたところ、日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会が見つかりました。金庫の販売・製造にまつわる企業を中心とする業界団体で、金庫の廃棄相談を実施。同連合会に電話すれば、購入場所・メーカーを問わず、廃棄してもらえるそう(運賃、処分料は必要)。

 

これで、処分問題はひとまず解決しました。しかし、新たな気がかりも浮上。くだんの金庫ブームについて、プロはどう見てるのか聞いてみたところ、「一過性だと思います。そもそも、”金庫”と呼べるほどの耐火性能や防盗性能を備えていないものも多いですし…」と苦笑い。

 

現在、よく売れている家庭用金庫の価格帯は数万円程度。1万円を切るものたくさんあります。しかし、「火災と金庫破り、両方から大切なものを守れる金庫となると、やはり最低10万円ぐらいの予算は見ておかないと厳しい」(日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会)というアドバイスも。

 

たしかに小型金庫なら、値段も手頃で収納もしやすく、邪魔になりません。しかし、空き巣に入られたらお手上げ。持ち去られやすいというデメリットもつきまといます。一方、高額で巨大な金庫なら安全かというと、そうとも言い切れないのが悩ましいところ。しかも、そんなデカいものを部屋のどこに置くのかという問題も生じるでしょう。

 

●近年の調査によると、金庫盗難事件の約50%が「扉こじ開け」で、約15%が「持ち去り」による盗難です。 ●犯行はより計画となり、窃盗グループ等による十分な下見と現場に合わせた機材により、極めて短時間に持ち去ってしまう事が特徴です。 ●犯行時間は5〜10分以内と言われており、搬出用台車や重機を利用した例もあります。 「耐火金庫・防盗金庫持ち去り対策ガイドライン」(日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会)

 

“スズメの涙”を通り越して、”蚊の涙”もいいところの低金利だとしても、お金を安全に保管できる場所としては、銀行に軍配があがります。しまっておきたいのがお金ではなく、書類という場合は、銀行の貸金庫サービスを使うのも一案です。例えば、三菱UFJ銀行の場合は年間2万400円、三井住友銀行は6カ月8100円〜と、使用料はかかりますが、盗難リスクや収納スペースに悩まされずにすむと考えると、悪くない選択のような気も。

 

少なくとも金庫購入に、”なんとなく”は禁物。前述の日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会がまとめた「持ち去り対策ガイドライン」や「耐震対策ガイドライン」に目を通し、起こりうるトラブルと回避策をシミュレーションした上で、用途にぴったり合うものを厳選するという慎重さが必要です。

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