再婚禁止期間と嫡出推定の違憲訴訟、二審も「合憲」 弁護団「無戸籍問題の解決につながらない」

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2018年09月27日 18:42  弁護士ドットコム

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女性の再婚禁止期間を定めた民法733条と、現行の嫡出推定に関する規定(同772条、774条)が憲法に違反するかが争われた裁判の控訴審で、東京高裁(村田渉裁判長)は9月27日、憲法に違反しないとして控訴を棄却した。


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東京高裁は「合理的な立法裁量を逸脱するものとはいえない」と示すとともに、政治部門を中心として幅広く議論されるのが相応しいとした。


判決後、尾野恭史弁護士をはじめとする原告弁護団は東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「(依頼者と相談するが)上告する方針」と語った。


●「合理的な立法裁量を逸脱するものとはいえない」

原告は東海地方の夫婦とその子どもの3人。この夫婦は妻と元夫の婚姻関係が破綻した後に知り合っている。妻は元夫との離婚協議が長期化する中で、破水により、予定日の2カ月前に子どもを出産した。このとき、協議離婚はまだ成立していなかった。そのため、法律上の家族を形成することはできず、子どもは一定期間無戸籍状態を余儀なくされた。


そこで、女性が離婚してから100日間にわたって再婚を禁止する民法733条、女性が婚姻中に妊娠した子を例外なく夫の子とみなす同772条、母と子に嫡出否認権を認めない同774条が憲法に違反するとして訴えを起こした。


今年3月13日、東京地裁は再婚禁止期間と嫡出推定の規定は「合理性がある」として、憲法に違反しないと判断、原告が控訴した。


●弁護団「極めて遺憾」

8月29日には「嫡出推定」を見直すため、法務省が有識者らでつくる研究会を10月にも発足させるという報道があった。今回の判決はそのような動きの中で出たものだ。


弁護団は「嫡出推定が及ぶからこそ、子どもが前の夫の子になってしまう。これを回避するために、出生届を出さずに子どもが無戸籍児になってしまう」と現行の規定を批判した。


今回の判決については、「極めて遺憾。無戸籍者に寄り添うという判決ではないので、たいへん残念に思っている」と怒りを露わにした。


(弁護士ドットコムニュース)


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  • 合憲だって言われましたね。がっかりでしょうね。
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