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「合意なき離脱」へのカウントダウン その時何が起こるのか

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2018年10月01日 19:42  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<EUとの「離婚条件」がまとまらないまま離脱期限を迎えれば、経済に大打撃の可能性も>


イギリスのEU離脱(ブレグジット)の期限とされる2019年3月29日まであと半年を残すだけになった。大きな問題は、離脱協定でEUと合意できるのか、それとも「合意なき離脱」になってしまうのかという点だ。


イギリスとEUが無事何らかの協定を結ぶのであれば、10月18日までに双方が合意しなければならない。すぐ目の前だ。交渉はほぼまとまっているとの噂もあるが、ブレグジットの枠組みを巡る議論はイギリス政界を引き裂いている。EU側の交渉担当者と加盟諸国は少なくとも足並みをそろえているように見えるが、メイ英首相と与党・保守党は出口戦略をまとめきれずにいる。


最近のイギリスは、EUとの離婚条件も決めないまま別れる「合意なき離脱」に向けて転がり落ちているようだ。当初提案されていた2年間の調整期間もないまま、イギリスはハードランディングを余儀なくされかねない。合意なき離脱は、航空便の欠航や国境検問所の封鎖、通貨ポンドの暴落に加えて、食品や医薬品の輸入が滞るといった事態も招きかねない。


メイは先ごろ、合意なき離脱に備えて食料供給確保を担当する大臣を任命した。


先が見えない経済界


イギリスの欧州連合離脱省の報道官は本誌に対し、イギリスとEUは必ず離脱条件で合意に至るとの見方を述べた。「だが責任ある政府として、あらゆる可能性に備えた計画立案を行っている」と報道官は言う。「合意なき離脱に備えるのは、個人や企業に対する短期的な混乱のリスクを最小化するためのものだ」と報道官は述べた。


合意なき離脱に備えた計画が進んでいるとはいうが、実際に必要なインフラが間に合うかというと危ういものだ。それでもメイは、合意なき離脱のシナリオはけっして「世界の終わり」ではないと言う。


メイの楽観的なコメントは英企業にとってほとんど慰めになっていない。規模を問わず多くの企業がすでに、ビジネス上の大きな決定を先送りすることを検討したり、ブレグジットの衝撃から身を守るために人員や支出の削減を始めている。大手企業の中には、海外に事務所や人員を移し始めたところもある。


イギリスの小規模企業連盟(FSB)で政策分野を統括するソナリ・パレクは本誌に対し、企業はEUとの最終的な離脱合意がどんなものになるか注視していると語った。パレクによれば、FSBが調査した小規模企業のうち合意なき離脱に備えた行動計画を立て始めているのは14%に過ぎないが、影響を懸念している企業は41%に上っているという。


最近の調査では、小規模企業経営者のうち、移行期間のない合意なき離脱の場合には短期的な悪影響を被ると考えている人が48%に上った。こうした調査結果から浮かび上がるのは「血の気が引くような」未来図だとパレクは言う。


国民の不安を軽減するため、政府は合意なき離脱に備えた対応について説明する文書を公開している。パレクに言わせれば、これは歓迎すべき対応ではあるものの、「長いプロセスの第一歩に過ぎず、時間はあまり残されていない」と語る。


FSBは企業に対して合意なき離脱に備えよとは言っていないが、今月の首脳会議が転換点になるだろうとパレクは言う。もし合意なき離脱がさらに現実味を帯びてくれば、FSBは企業に対し、混乱に備えて現金を持つよう呼びかけるとともに、負担軽減のための補助金を政府に提案するという。


メイ首相の「チェッカーズ案」の不人気ぶり


メイは急激な変化を避ける方向でブレグジットの青写真を立案した。「チェッカーズ案」と呼ばれるこの案では、EUのさまざまな法規制と足並みをそろえたままでのソフトランディングを提案している。メイとその支持者にとって、チェッカーズ案は議会の支持を得て、最終的な離脱協定の是非を問う投票での勝利を目指せる現実的な解決案だ。


だが批判的な人々に言わせれば、これはイギリスをEUの「従属国」にしてしまう案だ。自国の法律も思うようにできず、EUの官僚の好きにされてしまいかねない。


強硬な離脱推進派は、政治抜きの包括的な自由貿易協定をEUと結ぶべきだと訴えている(EUは類似の協定をカナダと結んでいる)。だがアイルランドと北アイルランドの国境問題への答えは提示できていない。


そもそも保守党がチェッカーズ案に期待を寄せたとしても、EUはそれほど乗り気ではない。オーストリアのザルツブルクで9月19〜20日に開催されたEU首脳会議の席上、メイは他のEU加盟諸国からそろってチェッカーズ案を拒絶されるという屈辱的な目に遭った。同案への支持を呼びかける機会になるはずが、総スカンを食ってしまったわけだ。


それでも英王立国際問題研究所のマシュー・グッドウィン研究員は「合意なき離脱の可能性は非常に薄いと思う。合意なき離脱に賛成しているのは議会内の多数派ではないし、イギリスは合意なき離脱を望んでいないしEUも望んでいない」と語る。


にもかかわらず、グッドウィンは本誌に対し、メイは保守党内の反乱を食い止めたいのなら自由貿易的な解決策に向かう必要が出てくるだろうとの考えを示した。


メイはこの議論をチェッカーズ案か合意なき離脱かの選択の問題だと訴えているが、グッドウィンはこのアプローチには反対だ。「そんなことを言わなければまだ開かれていたかも知れない他の進路を断ってしまった」とグッドウィンは言う。「メイは、保守党内の多くの抵抗勢力を結集させる方向へと自らを追い込んでしまった」


(翻訳:村井裕美)




デービッド・ブレナン


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  • 民主主義が必ずしも良い結果にたどり着くとは限らないとわからせてくれる事例になると思う。国のために常に考える人も、ただ現状に不満を訴える人も、ただのバカも一票の価値は同じ。
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