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“やりたいことがない側”のわたしが、クッキー屋さんを開業するまで

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2018年10月02日 20:51  ウートピ

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ウートピ

写真シングルマザーが、クッキー屋さんを開業するまで
シングルマザーが、クッキー屋さんを開業するまで

日々の仕事をこなし、それなりに忙しい毎日を過ごしている中で、ふと「やりたいことってなんだっけ」「このままでいいのかな」と考えてしまうこと、ありませんか?

ビジネスパーソン向けのメディアを眺めていると、”やりたいこと”に直進し、キャリアを築いていった人が目立ちます。

そんな“やりたいこと”を仕事にしている人たちを見ると、「好きなことを仕事にしないままで、楽しく暮らせるのかな?」「自分ってつまらない人間なのかな」と思ってしまうことも。そこで、ウートピでは自らを「やりたいことがない人」だと話す桜林直子さんにお話を伺いました。

桜林さんは、洋菓子店で12年間働いた後、32歳でクッキー店「SAC about cookies」を独立開業。“好きなこと”を仕事にしている側の人に見えますが、「特にクッキーにこだわりがあったわけではないんです」と、あっけらかんと話します。シングルマザーとして子どもを育てる上で、自分ができることから消去法で選んだのがクッキー屋さんだったそう。

やりたいことがないまま、なぜお店の経営者になったのか? 聞いてみました。

【関連記事】計画どおりに生きる。それが「大人になる」ってことですか?

30代になるまで、自分の強みに無自覚だった

——お店の経営をしながらも、桜林さん自身が「やりたいことがない」という感覚でいるのが不思議だったんです。

専門学校を出たあとは、ずっとお菓子屋さんで社員として働いていたけど、会社というよりは職人さんの世界だったんです。大学も行ってないし、一般的な社会とは少し距離があるところにいたので、今思うと世間知らずでした。当時はお給料が安かったけど「どういう会社だと、どれくらいお金をもらえるか」とか、考えたこともなかったんですよ。

——稼ぎたい、転職しよう、とは思わなかったんですか?

そういうことは私とはあまり関係ないことだと思っていましたね(笑)。当時の私にとっては、目の前にあることを淡々とこなすことが仕事でした。お菓子の製造 以外の、お店に関わることを担当していたんですけど、30歳のときに初めて外の世界について考えました。

——何かきっかけがあったんですか?

お菓子屋さんって、冬は忙しいけど、夏は暇なんですよ。「冬と夏で仕事量がぜんぜん違うのに、毎月同じ給料っておかしくない?」と思ってたんです。そこから「今の会社にいたら、お金もたくさんはもらえないし、小学生になったばかりの子どもと夏休みに一緒にいてあげられない」と思って。じゃあ、自分で仕事を作ってみようかな と考えるようになったんです。

——いきなりの独立開業。消去法で選んだとはいえ、パワフルです。

ずーっと同じ場所にいたから、自分には何ができるのかわからなかったんです。でも、辞めてみると「あれもこれも全部サクちゃんがやってたの?! 普通の会社だとそれぞれ専門の人がいるんだよ」って言われて。

——いつの間にか独立・経営に必要なスキルは全部身についていたんですね。

でも、「独立するぞ」と意気込んでいたというよりは「私には、お店屋さんしかできないな」と思ってたんですよ。それに、「なにをするか」よりも時間とお金をつくるのが最優先だったので、その枠の中で「なにで勝負するか」を考えました。

——開業の背中を押してくれた人はいましたか?

いいえ。「お金が足りないから独立する」って言っても、みんな「えっ、何言ってるの?」という感じだったんですよ。職人さんが自分のお店を出すことはあるけど、お菓子を作らない人で、ましてやシングルマザーでお店を出す人なんて、なかなかいないんですよね。みんな、コメントに困ってたのかも。

——たしかに、お金が貯まってから、売りモノありきでお店を出すイメージがあります。

そうなんです。でも、経理などは人を雇うのが普通ですよね。私は、お店の核となる、クッキー作りができる人を雇っているんです。

売り物にクッキーを選んだ理由

——転職ではなく、最初から独立を考えたのには理由がありますか?

転職活動って、自分をアピールしなきゃいけないですよね。当時はまだ、自分自身で「私はこれができます」と言い切れなかったんです。私は性格的には根暗なんですけど(笑)、ある意味で楽観的なのかもしれません。

不足だらけの自分の立場で、「じゃあ何ならできるのか」を考えた結果が、今につながっていますね。欠損に目を向けてみるのも、悪いことじゃないと思うんです。

——とはいえ、お店を開くってとても大変だと思うのですが…

まず、「何をどこで誰に向けて売るか?」を整理しました。クッキーなら生産性が高く日持ちするので、一度にまとめて作ることができます。賞味期限が長く配送も可能だし、難しい技術も必要ないので、スタッフによって味が極端にばらつくことがありません。雑貨屋さんに置いてもらうこともできます。

自宅の近所で格安の物件を借りられたので、店舗もつくりましたが、メインはオンラインショップでの通信販売にしました。

——昨年放送された「セブンルール」(関西テレビ・火曜23時)でも紹介されていましたが、かわいいクッキーが話題になって今ではファンも多い人気店です。

働いていたときには気づかなかったけれど、自分にとっての幸せを諦めず、できることを考え抜いた結果が今につながっているのかもしれないです。

——第2回は、自分の強みや思考を言語化するコツについて伺います。

※第2回は10月4日(木)公開です。

(取材・文:小沢あや、写真:矢野智美)

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