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心地よく毎日を過ごすためにすべきこと 「もやもや」の整理術を松尾たいこさんに聞く(前)

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2018年10月22日 20:02  新刊JP

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新刊JP

写真アーティスト/イラストレーターの松尾たいこさん
アーティスト/イラストレーターの松尾たいこさん
部屋が片づかない、家事が億劫、人間関係の悩みもある。だけど、どこから手をつけていいのかわからない。そんな悩みを抱えている人は、まず身の回りの小さな「もやもや」に目を向け、そこから解消をしてみてはいかがでしょうか。
そんな提案をしているのが、アーティスト/イラストレーターの松尾たいこさんです。

松尾さんの新刊『暮らしの「もやもや」整理術』(扶桑社刊)は、普通の片づけ術や整理術ではなく、ちょっとした工夫で日々の「もやもや」を解消し、「心地よく生きる」ためのヒントを教えてくれる一冊。
今回、松尾さんのご自宅で行われたインタビューで「もやもや整理術」についてお話をうかがいました。その前編をお送りします。

(取材・文:金井元貴/新刊JP編集部)

■心地悪さを生む小さな「もやもや」の正体とは?

――本の中にも一部写真が載っていましたが、家の中がシンプルですね。

松尾:掃除しやすいですね(笑)

――「もやもや」というのが大きなキーワードになりますが、「もやもや」とは一体なんでしょうか。

松尾:なんとなく気持ち悪い、すっきりしない。そういうちょっとした不満を全部「もやもや」と言っていたんですけど、じゃあそれって何だろうと考えてみたら、「自分が1日をスッキリと過ごせない小さな何か」だと思ったんですね。

――「自分が1日をスッキリと過ごせない小さな何か」ですか。

松尾:そうです。大きな「もやもや」ってすぐに気付けるじゃないですか。例えば人間関係なら、ご近所さんと気が合わないとか、上司と話していると疲れるとか。でも、それ以外にも気付かない小さな「もやもや」がたくさんあって、そこに悩んでいる小さな自分がいたんですよね。

――確かに小さな「もやもや」は気付きにくいです。どのようにその正体を具体化していったのですか?

松尾:朝起きて、スリッパを履いて、でもあんまりデザインが好きじゃないとか、なんか素足に馴染まない…みたいなことってありますよね。あとは、洗面所のタオルの肌触りがゴワゴワするとか、意外とこういう小さな「もやもや」って日常によくあるんです。

でもすぐに忘れちゃうから、次の日また朝になって「このスリッパ、あんまり足に合わないな〜」と思ったりしちゃう。そこで「もしかして」と思ってスリッパを変えてみたら、1日の始まりが違うんですよ。すごく気持ちいい。そういうふうに少しずつ気付いていった感じですね。

――以前はそうではなかったんですね。

松尾:そうですね。前はファッション以外はどうでもいいと思っていたくらい、ファッション関係にお金をかけていたので、他のところまで目がいかなかったんです。でも、だんだんファッション以外で自分の居心地を良くするものを取り入れることが大切だということに気付いていって、それからですね。小さな「もやもや」に目を向けるようになったのは。

■「自分のできる部分に目を向けられるようになった」その転機

――松尾さんは32歳でそれまで勤めていた会社をやめて上京されて、フリーのイラストレーターへの道を歩みます。私は今34歳ですが、30代に入ってから「人生の大きな決断はできない」と思ってしまうのですが。

松尾:そうだと思います。確かに私も32歳のときには「遅いんじゃないか」と思っていました。でも、まだ34歳でしょ? 10年後、44歳になったら「あの頃は若かったな」って思いますよ。

20歳で短大を卒業して、広島の大きな会社に入ってお給料も良かったし、お休みもいっぱいあって居心地は良かったんです。だけど、なんとなく「自分の居場所はここじゃないな」と思っていて、やりがいをあまり感じられなかったんですよね。

――20代の頃に会社をやめようと思ったことは?

松尾:25歳の頃に一度ありました。でも、その時点ですでに「この年齢で新しいことをするのは遅いよね」って思っていたんですよね。

32歳でやめたきっかけになったのは、尊敬していた男性社員が退職されたことです。技術系の仕事だったので、男性社会だし自分のロールモデルになるような女性の先輩もいなくて、男性の先輩が「この会社で将来こうなりたいと思う人がいない」と言ってやめていって、私もそうだなと思ったんです。

そこで初めて、自分が好きなものはなんだろう、絵があるじゃんと思いまして、ちょっと1年間くらいは頑張ってみようと思って東京に出てきて勉強を始めたんですね。

――そこからプロへの道を歩むわけですね。

松尾:ただ、プロになれるとは思っていなくて、1年頑張ったら広島に戻って自分のやりたいことに近い仕事をしようと考えていたんですが、東京に出てきたらイラストレーターを目指していたり、実際にそれを職業にしている人がいて。広島にいた頃はすごく特別な仕事に見えていたんですが、東京に出てきたら「自分もなれるかも」と思ったんですよね。



――本書に「30代の頃にできない自分よりもできる自分に目を向けられるようになった」と書かれていましたが、30代でもその転換をできる人はなかなかいないように思います。

松尾:そうだと思います。特に女性だと年齢を重ねることが怖いと思うでしょうし、当時は「若い方がいいよね」と言われることも多かったんです。でも、東京に出てきて、絵を勉強する学校に入って10歳以上も若い子たちに囲まれていたけれど、年齢関係なく仲良くできる感じがあったから、年齢的な心の足かせはそこで取れましたね。

それで、いろいろな人から描いた絵をほめられて自信をつける中で、夫との出会いがあって「すごく良い絵が描けるんだから、他はできなくてもいいじゃん」って言われたんです。

――その夫というのが、ジャーナリストの佐々木俊尚さんですね。

松尾:そうです。私はその頃体が弱くて、朝はやく起きられなかったり、掃除や洗濯ができなかったんですけど、それができる人はたくさんいるわけで、できるように努力するのではなくて、できる人に任せてしまって、自分は自分のできることを頑張ったほうがいいんじゃないのと言われたんです。

あれもこれもってやると集中力も続かないし、気も散っちゃうから全部が中途半端になりがちなんですが、できることにフォーカスしていれば自信も出てくるから、他の事も自然とがんばろうという気持ちになるんですよね。

■小さな「もやもや」を解消するために「楽しくする工夫」をしよう

――「やらなきゃ」と思うと、どんどん「もやもや」が積み重なっていきますよね。

松尾:この本でも書かせてもらいましたけど、完璧を目指さないというのは大事だと思います。だって、家の中なんて誰かに見られているわけでもないし、片づけないといけない期限が決まっているわけでもないですよね。なので、ほどほどに考えて、「今はとりあえずこれで」というところで手を打つのも大事だと思います。

あとは、自分で掃除が楽しくなるちょっとした工夫を入れるのもいいですね。例えばトイレ掃除は、私すごく簡素化しているんです。毎朝、洗濯物を洗濯機に放り込んだあとにトイレに行って、ハッカ油が入ったミントの香りがするスプレーをシュシュッとかけて、トイレットペーパーでさっと拭くだけなんですけど、1分もかからないんです。見た目もきれいだし、香りも良いですよ。

――習慣化されていると本にも書かれていますよね。まさに朝のルーティンというか。

松尾:これもケミカルな香りのする洗剤を使っていたら、続いていなかったと思います。ミントの良い香りだからこそ。こういうちょっとした工夫で面倒だった家事がかなり変わるんですよ。

――その習慣化が難しいという声もあると思います。

松尾:私も片づけ術の本とかはすごく好きでよく読むんですけど、なんで続かないんだろうと思ったときにマインドがそこに行ってないっていうことが多いと思うんですよね。

ダイエットと一緒で、トレーナーさんがついて頑張ってハードなトレーニングと食事制限を重ねていけば痩せるけど、口がジャンクなものを覚えていたらすぐに戻っちゃうと思います。
私自身昔はジャンクなものが好きで、今でも食べようと思ったら食べるけれど、一口二口で満足しちゃうようになりました。ファスティング(断食)の施設に十数年前に行ってから継続的に行くようにしているんですが、だんだんと口が体に良いものを美味しく食べられるようになってきたというか。

結局、自分が気持ちいいと思わないことは続かないんですよね。だから「片づけをしなきゃ」「完璧にこなさなきゃ」と思わず、自分を苦しめる小さな「もやもや」を取り除いてまずは自分の心を心地よくするということが大事だと思います。

(後編に続く)

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