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大躍進した緑の党がドイツ政治のトップに立つ日

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2018年10月26日 15:41  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<もはや環境政策だけが売りの政党ではない――広範囲な問題に取り組む緑の党が保守と連立する?>


BMWやビールに代表される製造業の集積地、ドイツ南部バイエルン州の政治体制は間もなく一新されそうだ。10月14日に行われた州議会選で、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と連立を組む中道右派の地域政党、キリスト教社会同盟(CSU)が得票率37.2%で歴史的な惨敗を喫した。


CSUは長年、バイエルンでほぼ一貫して単独政権を担い続けてきた。だが今回は、CSUや中道左派・社会民主党(SPD)など主流政党の票が、複数の少数政党へ流れた。


その1つが極右「ドイツのための選択肢(AfD)」だ。過激な反移民、反EUを主張する彼らが得票率10.3%で4位になり、初の州議会入りしたことがニュースになるのも無理はない。だが今回の選挙で何より注目すべきは、左右両派から支持を集め、得票率17.7%で2位となった緑の党の躍進だろう。


今回起きた「緑の波」は、ドイツ各地での緑の党の躍進に続くものであり、今後国政で彼らが主要な役割を果たすことの前触れでもある。CSUがバイエルンでの立場を維持したいのなら、環境保護団体から出発して今や有力政党になった緑の党と組むのが賢い選択だろう。


元CSU党首の故フランツ・ヨーゼフ・シュトラウスは80年代、「CSU以上に右寄りの政党はあり得ない」と発言した。だが15年以降の難民大量流入に伴い、「あり得ない政党」のAfDが躍進。移民に寛容なメルケルに不本意ながら従ってきたCSUは、バイエルンでことごとくAfDに票を奪われた。


シュトラウスの亡霊にたきつけられたのか、CSUは右旋回を図っている。州内の全公共施設に十字架の設置を義務付け、より強硬な移民政策を主張。党首のゼーホーファー内相は移民問題でメルケルと激しく対立し、一時は辞任まで表明した。


問題は、こうした戦略が何ら効果をもたらさなかったこと。AfDから支持奪還はできず、女性有権者の反感まで買った。


半数以上の州で連立入り


実際、AfDのまね事をするCSUは有権者の思いを読み違えている。バイエルンの有権者が移民や治安を懸念しているのは確かだが、多くは教育や環境、住宅政策により強い関心を抱いている。CSUは視野を広げる必要があった。


皮肉なことに、当初は環境という単一争点から出発した緑の党は、今や広範囲な問題に取り組む党になっている。SPDがメルケルの連立政権入りしてじわじわと支持を低下させるなか、緑の党は外交から行政のデジタル化まで取り組みを広げ、SPDの支持を奪ってきた。


現在、緑の党は半数以上の州で連立に加わっており、いま総選挙が行われればSPDを下す可能性も高い。その勢いを考えれば、バイエルンではCSUの、国政ではCDUの連立パートナーに最適かもしれない。保守のCDU・CSUと緑の党が組むのは一見奇妙だが、環境や安全保障など協力できる分野もある。


バイエルンでCSUは、緑の党との連立に乗り気でないらしい。だがそんな態度では、流れに乗り遅れるだろう。メルケルは既に全国的な躍進を遂げる緑の党に歩み寄っている。


従来、ドイツ政治で重要な役割を果たしてきたのは、主流政党に影響を与えるキングメーカーたる少数政党だった。政権が複雑化する今、実力を付けた緑の党が行き詰まりを打破し、政界を再編する可能性もある。次の総選挙では、緑の党がキングになるかもしれない。


From Foreign Policy Magazine


<本誌2018年10月30日号[最新号]掲載>




スダ・ダビド・ウィルプ


このニュースに関するつぶやき

  • 既成政党のイデオロギーに囚われない政党が躍進し続けて居るのは世界的な潮流だ。「緑の党」には確かに懸念もあるが、少なくともAfDのような極右勢力よりも遥かにマシだろう。
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