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“5円チョコ”こと「ごえんがあるよ」は、なぜ30年以上も売り続けられるのか? 会長が明かす「儲からないんだけど……」

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2018年10月28日 12:02  ねとらぼ

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ねとらぼ

写真チロルチョコ株式会社の松尾利彦会長(顔出しはNG?)
チロルチョコ株式会社の松尾利彦会長(顔出しはNG?)

 1984年に登場し、5円玉1枚で買えるお菓子として駄菓子屋などで人気を集めた“5円チョコ”こと「ごえんがあるよ」。実は1個5円の単品売りがされていたのは2007年までで、現在は100円のパックなどでまとめて販売されています。



【画像で見る】幻の5円チョコ



 こどもの味方として愛されてきた「ごえんがあるよ」には、



・「どうして5円で売り続けられたの?」



・「なんでお金の形なの?」



・「パッケージのキャラクターは何?」



 など、多くのナゾがあります。ですが取材記事が世に出ることは少なく、その答えは長らくベールに包まれていました。



 しかし発売から34年、ついにそれを明らかにできる日がやってきました。販売元のチロルチョコ株式会社本社にて、取締役会長の松尾利彦さんにお話をうかがう機会に恵まれたのです。(そもそも、販売元があの「チロルチョコ」だということを知らなかった人も多いのでは?)



 小さいころ、なけなしのおこづかいで買って楽しんでいた筆者も待ちに待ったインタビュー。あの「5円チョコ」の核心へいま迫ります。



●5円チョコは「ほとんど採算割れの商品」



――さっそくですが、そもそもなぜ5円のチョコレートを作ろうと思ったんですか?



 「ごえんがあるよ」は先代(2代目の松尾喜宣元社長)の発案なんだけど、10円のチロルチョコ(1962年発売)がヒットして、次の新製品を考えたときに、「さらに安いチョコを作ろう」と。



――インパクト十分ですよね、10円チョコの半額で、5円にするというのは。



 発想がワンパターンだよね(笑)。10円が売れたから5円も売れるだろうって。



――5円で出すにあたって、やはりかなりの苦労があったんですか?



 そこはそれほど。チロルチョコの場合は、当時まだ「1ドル=360円」の時代で、チョコレートの原料が高いときに10円で売るのはずいぶん苦労したけど、5円チョコに関してはそこまででもない。



――チロルチョコを10円で出すときにいろいろと工夫したので、5円のときはそのノウハウがあった、ということなのでしょうか。



 単純にチョコのグラムで計算して、やれると思ったんじゃないかな。ただあまり儲かる商売じゃなかったね。今もそうだけど。



――では売値に対して原価は高いんですか?



 うん、今でもほとんど採算割れのような商品だから。当時もかなり原価は高かったと思うよ。売れたらそこで初めて原価を合わせようという考え方だったのでは。だから立ち上げのときはほとんど利益はなかったと思う。



――いま、利益は出ていますか?



 利益というほどは出ていない。原価には「食べる部分」と、「包装費」と、「製造加工費」っていう3つの要素があるんだけど、この中では「製造加工費」の影響がいちばん大きくて。例えばチロルチョコは製造加工費を抑えられているから採算が取れる。製造加工費を低くするには、設備投資をして、徹底的に省力化して、大量生産するしかないの。



 いまチロルチョコは年間6〜7億個作るから採算が取れるんであって、これが数百万個だったら採算は合わないだろうな。



――「ごえんがあるよ」はそんなに大量生産していない?



 うん、将来的には大量生産して採算を合わそうと思ったんだけど、そこまで売れなかったから、いつまでたっても利益が出なかった。



――チロルチョコと比較して、売り上げの割合はどれぐらいですか?



 それはもう何百分の一とか。1%もないだろうね。



 だからあってもなくても良い商品なんだけど、昔から引き継いでいる商品で愛着はあるよね。だから多少の赤字くらいならいいかって。



――今、1個5円で販売していないのは、駄菓子屋がなくなっていったからですか?



 そうだね。



●ネーミングやキャラは「まんまだよね」



――5円チョコ誕生の話に戻るのですが、なぜお金形のチョコだったんでしょうか?



 それも先代が考えたんだけど、ストレートに形で「5円」という価格を分かりやすく伝えるためらしい。「ごえんがあるよ」というネーミングも先代。まんまだよね。



――袋に書かれているキャラクターも印象的です。このキャラのイラストを描いた方はどなたですか?



 これは当時から付き合いのある大手印刷会社に包材を作ってもらっていて、たぶんそこのデザイン部門の方が考えたと思う。匿名の方が。



――昔、袋の内側に書かれていた「面白占い」が好きでした。



 買った人が楽しんでくれるかなって。印刷会社が「裏印刷ができるよ」って言うんで、じゃあ何かやろうかっていう。



●消えていった新商品たち 「売れなかったんだよ」



――おなじみのミルクチョコ味に加えて、一時はストロベリー味を出されていましたよね?



 バリエーションを増やしたくて。ホワイトチョコもあったよ。それとミルクチョコ味を両方セットにして二段重ねにして、10円で売ろうっていって設備投資もした。10円でミルクチョコとストロベリー両方食えるんだぜ、すごいだろう? ……でも、売れなかったんだよ。



――(笑)。今聞いても食べてみたいですけどね……!



 ストロベリーとホワイトはとっくの昔になくなっちゃったよ。いまはまたミルクチョコ味だけ。



――ビスケットがついたものもあったとお聞きしましたが……



 「ごえんチョコプラスビス」ね。1個10円で食べたらウマいんだけど、売れなかったな。



●夏恒例の七夕バージョン



――夏恒例の七夕限定商品は、今でもありますよね。



 そう、「ごえんがあるよ」という名前を七夕の「縁結び」にかけて。



――あと、「おみくじごえん」っていうのがすごく面白いと思って。大凶が出たらお守りがもらえる。



 あった。ちなみに受験生の子が「おみくじごえん」をやったときに「凶」を引いて、「凶なんて入れたらイカン」って抗議の手紙があったよ。でも「凶」入れなきゃおみくじにならないからね。



 大凶が出るとお守りをもらえるんだけど、包装紙もお守りのデザインになってるんだよ。実際に中に5円の入った布製のお守りを景品にするキャンペーンをやったんだよ。……全然反応なかったよ。入れてくれるお店も少なくてね。これも大して売れなかったな。



――面白いのに……。そういう新商品のアイデアは、社内の企画部門の方が出されているんですか?



 今はそうだけど、2〜3年前までは全部自分で考えてやってたよ。最近は息子(松尾裕二氏)が社長になって「いい加減にしろ」って言われてるから、もう口出さないようにしてるけど(笑)。



●「食べて幸せな気持ちになりました」



――今後もまだ「ごえんがあるよ」の新商品は出ますか?



 分からない。もう来年はやめてるかもしれないし。



――そんな……! 昨年(2017年)、駄菓子の「梅ジャム」の販売が終了したとき、ファンから「やめちゃうの?」っていう声がたくさん集まったんですけど、5円チョコもそういう声が多いと思いますが。



 いやあ、そんなことはないんじゃない? それだったらもうちょっと売れてていいと思う。



――(笑)。やめるときになって初めて「やめないで」と言うんじゃなくて、ふだんから買ってくれ! って話ですよね。でもファンレターなどは届きませんか?



 ……何年かにいっぺんぐらいは来るね。いちばんうれしいのは、「食べて幸せな気持ちになりました」っていう。チロルはそういうのをめざしてるから。



●5円チョコは「古臭い」?



 でもこの間ね、ブランド調査したら「5円チョコってなんか古臭い」っていう人が多くて。駄菓子っぽいとかね、そういうイメージを持っているみたい。



――チロルチョコのほうは「古臭い」というのはなかった?



 それはないね。チロルはデザインも駄菓子的な要素をなくして、大人の鑑賞に耐えられるようなものをめざしてきたから。



――それで言うと5円チョコは昔とほとんど変わっていなくて、懐かしさはとても強いんですけどね。



 うん。でもあまり、そこが売りにつながっていないよね。



――潜在的なファンは多いと思うので、この記事をきっかけに「好きだった!」って人が出てくれるといいんですけど。



 うん、あとは買ってくれたらもっと良いよね。



――(笑)。そうですよね、ちゃんと書いておきます。「5円チョコを救うのはあなたのお金です!」と。



●進化する5円チョコの象徴「大人のごえん」



 去年、ハイカカオ系(カカオの含有量が多いチョコレート)がブームになってるときに、「大人のごえん」っていうのを出したんだよ。ブランデーが入ってるから、1.8%のアルコールが含まれてる。



――“こどものお菓子”というイメージの5円チョコで。冒険ですね。



 だから売れなかったんだよ。



――(笑)。やっぱり、新規のお客さんを開拓しようと?



 うん、そういう狙いはあった。ダンディな感じのパッケージで。



――通常版の方にもココアパウダーが入るようになったのは、大人客を意識されているのですか?



 うん、多少はあるかもしれないね。



●9月に新発売、約300個入った「メガごえん」



――そして新商品の「メガごえん」。約300個のチョコが1パッケージに入っています。大きいですね……!



 これはずっとやりたかったんだ、昔から。アイデアだけは持ってたんで、無理やり作った。



――確かにTwitterなどでも盛り上がりそうだなと。



 いくら盛り上がったって、ウチが商売にならないと(笑)。ただ生産性は良いんだ。ほぼ同じショット数で100円のものが1500円のものにできるから。製造加工費がずいぶんコストダウンになる。



 それでも儲かるような商売じゃないけどね。でも楽しさを伝えたいっていうほうがメインで、これで儲けようなんて全然思ってないから。



●「ごえんがあるよ」は盲腸みたいな存在



――この「ごえんがあるよ」ってチロルチョコ株式会社にとってどんな存在ですか?



 「盲腸」みたいなものかな。あってもなくても良いんだけど――盲腸って昔は、全然余計なものっていわれてたけど、今は何かしらカラダの役に立ってるとされてるらしいから。



――今日いろいろおっしゃったお話を振り返ってみると、そのたとえもしっくりきますね。一見不必要に思えるけども、実は役に立っているんじゃないかと。



 なくても良いんだけど、ないとさみしいんだよね。



(了)



===



画像提供:チロルチョコ株式会社


このニュースに関するつぶやき

  • 買ってくれの前に、どこで売ってるんだろう?
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  • 愛される企業、日本らしい努力を感じらるいい記事だ。政治家やIT系、通信系の経営者によんで参考にしてもらいたい。
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