これからの年末、そして中国の旧正月・春節に向けてますます盛り上がりを見せる日本最大のチャイナタウン・横浜中華街。
現在、横浜中華街には中国料理店・雑貨・土産物店などを含め、約600店舗があると言われており、中でも1番多いのが飲食店。大通りから路地に至るまでたくさんの店舗がひしめいているこの街で、食事をするお店選びに迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は子どものころから中華街に通い、リポーター時代には多くの店舗で取材をしてきた中華街歴35年の筆者が“中華街で失敗しないお店選び”のポイントをお伝えしたいと思います。
|
|
【ポイント1】イチ推しメニューを狙っていく
一言で中華料理といってもその種類はさまざま。一般的な広東料理、辛さが売りの四川料理、あっさり味の上海料理、点心が中心の香港飲茶。なんの目的もなく散策しながらビっとくるお店を探すのも良いのですが、休日の人ごみにもまれて疲れ果て、結局呼び込みに負けてダメなお店に入ってしまった……そんな経験をした方も多いはず。
|
|
そうならないためにも事前に「これだけは食べたい!」というものを決めておき、まずはそのお店を目指しましょう。たとえば餃子の「山東」、個性的な鍋料理の「東北人家」、中華粥の「安記」「謝甜記」、焼売とやきめしの「清風楼」、点心の「大珍楼」、鮮魚店を併設している「華錦飯店」、魯肉飯の「秀味園」、あさりそばの「吉兆」など。
【ポイント2】私服で呼び込みをするお店には要注意
横浜の中華街には「横浜中華街発展会」という組合があり、街のマナー向上やトラブル防止に力を注いでいます。発展会ではしつこい客引きや店員さんの私服での呼び込み、チラシ配りなどを禁止していますので、これらを守っていないお店には注意した方がいいかもしれません。
|
|
【ポイント3】お茶とおしぼりでお店のレベルがわかる
元々、中華街の多くの飲食店では中国茶はサービスとして無料で供されてきました(特別 or 高級な茶葉は別料金)。が、現在一部の店舗ではドリンクの売り上げを伸ばすために、お茶やお水を出してくれないことも。また、おしぼりも布製のあたたかいものからナシのところまでお店によってさまざま。高級店でなくても、お茶をすっと持って来てくれ、グレードの高いおしぼりを出してくれるお店は食材や調理にも心を込めていると判断して良いと思います。
【ポイント4】食べ放題こそ事前チェックが大切
近年、物凄い勢いで増えている中華の食べ放題店。このパターンのお店ではトラブルが急増中です。客引きに「ウチが1番安い」と誘われ店内に入ってみると、デフォルトの料金で食べられる料理の品数が異常に少なかったり、セントラルキッチンで作られた料理をレンジでチンして出していたり、ドリンクのオーダーが半強制的だったり。1000円台で満足できる食べ放題店を見つけるのは中華街上級者でも至難の業だと思いますので、今日は食べるぞ!という気分の時は、事前に料金等をしっかりリサーチし、信頼できるお店に入店しましょう。お薦めは10年以上食べ放題を実施している街に根付いた店舗です。
【ポイント5】迷った時は老舗へGO!
こう書くと元も子もないのですが、例えば年配の親御さんや親戚を連れての食事会など冒険できない会食の場合、路地の小さい店舗や食べ放題のお店をチョイスするのは危険です。多少値段は張りますが、「聘珍樓」や「萬珍樓」「華正樓」など老舗のお店を選ぶのが吉。高級店であるほど食材やバリアフリー等、個別のリクエストも通りやすいです。
【ポイント6】平日ランチでがっつりリサーチ
日本中から観光客が集まる休日とはまったく違う平日の中華街。特にランチ時には近くの官公庁や周辺企業から多くのワーカーが社食代わりに訪れます。平日限定でワンコインランチを出すお店も多いですし、通常メニューから100円〜200円程度の割引があったり、夜の繁盛店が1000円以下の価格設定でお得メニューを出す場合も。ランチで接客や味、店内の雰囲気をチェックして気にいったお店を夜に使うようにすればリスクは最小限に抑えられます。
先に書いた発展会の尽力もあり、一時期問題になった強引な甘栗販売の勧誘やゴミ捨て問題などは落ち着いてきていますが、まだまだ接客等のレベルに大きなばらつきも見られる中華街(個人的には首都圏でいちばん塩対応がまかり通っているエリアだと思います)。もし、店外に出ていたメニューと実際の内容や値段が違ったり、明らかに作り置きされた冷たい料理ばかりが出てきた時はお店の人にしっかり伝えることも必要。これからの会食トップシーズンに向けて、横浜の小さな“外国”を目いっぱい楽しむためにも、ある程度の事前リサーチは大事ですよ。