ホーム > mixiニュース > コラム > 毒親に苦しんだ11人の告白集

毒親に苦しんだ11人の告白集「“親のせいにしていいんだよ”と言ってあげたい」

266

2018年11月09日 21:00  週刊女性PRIME

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

写真菊池真理子さん 撮影/山田智絵
菊池真理子さん 撮影/山田智絵

 最近、自身の衝撃的な体験を描くノンフィクションコミックが多く刊行されているが、中でも菊池真理子さんの『酔うと化け物になる父がつらい』は、アルコール依存症の父と新興宗教信者で自殺する母との生活を描いて話題を呼んだ。

私は子どものころ、自分の家がおかしいとか変だとかあまり感じなかったんです。父が酔っ払うのも、母が1日中、泣いているのも深刻に考えていませんでした。

 母が自殺したときは中学生で、さすがに自分の家庭が“普通”からはずれていると気づいたのですが、その現実を見ないように人前では明るく元気なふりをして、仮面をかぶって生活していました

つらい体験を語るには勇気が必要だった

 大人になった菊池さんは、人から優しくされるとどうすればいいかわからなくなったという。

自分への評価が低いから、困ったり疑心暗鬼になったりしてしまいます。だから、優しい人よりも、大酒飲みや私を殴る人と付き合うほうが、私にとっては“わかる”世界で、むしろ居心地がよかったんです。自分の中のハードルが低いんですね。

 というのも、父のことはただの酔っぱらいだと思っていたのですが、ある取材の際、父がアルコール依存症だったんだと知りました。以前は自分が生きづらいのは母のせいだと思っていたんです。しかし、前作を描くことで、父が問題だったんだと気づきました。遅いですよね(笑)。それと、読んだ人から“こんなにひどい親がいるんだ”という反響が多くて、自分もつらかったと言ってもいいんだとわかったんです

 本書『毒親サバイバル』は、菊池さん自身を含む11人が親から受けたひどい仕打ちを告白するノンフィクションコミックだ。

「前作を出したあとで、ほかの人の話を聞いてみないかと出版社からお話をいただき、やってみようと思ったんです」

 それで取材を始めたが、菊池さん以外の10人に登場してもらうまでに、何人にも断られたという。

「おそらく20人以上に断られました。理由はさまざまです。私自身もそうでしたが、“毒親”という言葉に抵抗があるのかもしれません。特に子育て中の女性で取材を受けてくれる方はなかなか見つかりませんでした。

 伊藤洋子さん(仮名)は父から暴力を受けて育ち、ストレスからお酒に溺れるようになりました。ところが、娘が生まれて世界がひっくり返ったと話してくれました。勇気をもってここに登場してくれた10人には、とても感謝しています」

苦しい体験を経たから人を思いやれる

 本書に登場する10人は、親から虐待されたりネグレクトされたりして育った。

だから、私と同じようにどこか“普通”の基準が異なるんですよね。朗読詩人の成宮アイコさんは、祖父から暴力を受けるのが日常で、アニメの『ちびまる子ちゃん』がフィクションだとずっと思っていたそうです。こんな家族があるわけないって

 ほかにも、会社員の石山良一さん(仮名)の母はパチンコ依存症で、石山さんも姉もさんざん苦しめられる。にもかかわらず、ふとしたきっかけで自分もパチンコにハマってしまう。文筆家のアルテイシアさんは、いまの夫に出会うまで、とっかえひっかえ男と付き合った。

「なにかメーターが壊れているんでしょうね。世間の普通という物差しを持っていないので、おかしな行動に走ってしまうんです」

 漫画化するにあたり、優しい絵を描くことを心がけたと菊池さんは言う。

「暴力的な場面も激しくしないようにしました。直接的な絵を描くのは、私自身もつらいですし。あと、読者に近い存在も必要かと思い、編集者のハタノさんに登場してもらいました」

「毒親」に苦しめられた過去を持つ彼らは、いまそれぞれの世界で頑張っている。

医療記者の朽木誠一郎さんは、人のためになろうとしています。自分の体験が誰かのためになるのならと、取材を受けてくれました。話したことで客観的に自分が見られるようになったと言ってくれた人もいます。私も“子どもをもちたくない”と思うことに後ろめたさを感じていましたが、取材してみて、それでいいんだと思うようになりました

 親という存在は手ごわくて、相手が亡くなってもつらい気持ちは残る。

「それでも、親から脱するためには、数で対抗するしかない。同じ思いをしている人と話してほしいです。“なんでも親のせいにするな”と言われそうですが、生きづらいことで自分を責めている方には“親のせいにしていいんだよ”と言ってあげたいです

 私たちは、「毒親」に苦しめられている子どもに何ができるだろう。

「制度に頼るのも大切ですが、大人が親身になって声をかけることが大事だと思うんです。それでその子が救われるとは限りませんが、人間不信にならずにいられると思います」

ライターは見た!著者の素顔

 菊池真理子さんは穏やかな表情で、慎重に言葉を選びながら話してくれました。菊池さんにとっての漫画は、親からの逃げ場所。いまはそれが仕事になっています。毒親をめぐるトークイベントでは、「自分と似た体験を持つ人がこんなにいるのか」と驚いたそうです。趣味は、読書と山登り、そしてひとり旅。「言葉のわからない海外で、人とコミュニケーションするのが楽しみです」と笑います。彼女もまた、人のほうを向いて生きているのです。

PROFILE
きくち・まりこ 埼玉県生まれ。2017年、アルコール依存症の父と家族のノンフィクションコミック『酔うと化け物になる父がつらい』(秋田書店)が大きな話題になる。月刊『Eleganceイブ』にて自身の生きづらい日々を描いたコミックエッセイ『生きやすい』を連載中

(取材・文/南陀楼綾繁)

このニュースに関するつぶやき

  • 自分を毒と言われていい気はしないよね虐待な言葉だよ。親も毒になりたい訳じゃない、環境がそうさせたかもしれない。はじめから毒な人はいないよ。
    • イイネ!1
    • コメント 0件
  • 親が死んで初めて精神的に解放されるってことはあるねん。 どんな親でも親は親なんやから大事にせなあかんとか、安易に言うもんやない。 親やからこそ許されへんのやから。
    • イイネ!255
    • コメント 13件

つぶやき一覧へ(133件)

あなたにおすすめ

前日のランキングへ

ニュース設定