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「誰もが変えるきっかけを持っている」 児童労働に向き合うNPOの想い

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2018年11月11日 16:02  新刊JP

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新刊JP

写真イベントの様子。左から近藤さん、安田さん、坂口さん
イベントの様子。左から近藤さん、安田さん、坂口さん
ある人との出会いや印象深い景色や出来事との遭遇が、その後自分の人生を変えるきっかけとなった。そんな経験をしたことがある人は少なくないだろう。それは日本だけではなく、世界でも同じだ。

今年8月に出版された『チェンジの扉〜児童労働に向き合って気づいたこと〜』(集英社刊)は、「児童労働のない世界」を目指して活動を行う認定NPO法人ACEのスタッフたちが、自身の「チェンジ」に触れながら、インドとガーナという2つの国で児童労働の問題と向き合い、そこで出会った様々な人々の「チェンジ」のストーリーをつづっている。

そして、子どもたちの豊かな表情を写真に写し出すのは、気鋭のフォトジャーナリスト・安田菜津紀さん。安田さん自身も本書にコラムを寄せており、自分の「チェンジ」に触れながら、その想いを書き記している。

そんなACEのメンバーたちと安田さんが登壇した出版記念トークイベントが10月26日に開催された。
イベントのタイトルは「『変える』きっかけの見つけ方」。そのオープニングで、ACE事務局長の白木朋子さんは「隣に座った方と、どんなことに興味を持ってこの場所に来たのか、話してもらってみてもいいですか?」と、客席間での交流を促す。たまたま隣り合ったその人が、「チェンジ」のきっかけになる可能性もある。ここから「チェンジ」が起きていくのかもしれない。そんなことを思わせる光景だった。

■今の道を歩むきっかけをくれた「チェンジ」

トークコーナーでは、安田さん、『チェンジの扉』に登場するACEスタッフの坂口志保さん、近藤光さんの3人が登壇。それぞれ、人生の大きな「チェンジ」のきっかけを語り、インドやガーナで撮影された写真のベストショットを選定した。

安田さんの「チェンジ」のきっかけは、高校2年生のときに国際協力NGOのプログラムで取材として訪れたカンボジアで出会った人々だったという。

中学生のときに父親と兄を相次いで亡くし「家族って一体なんだろう」「人と人のつながりって何?」と考えていた安田さん。そんなときにプログラムを知り、カンボジアで自分とまったく違う環境の中で生きている同世代の子どもたちから自分が考えていることの答えをもらえるのでは、と思ったのだという。
そして、そこでの「トラフィックト・チルドレン」(人身売買にあった子どもたち)との出会いが、安田さんに「チェンジ」を起こす。彼らはどんなに過酷な生活を送っていても、「家族を支えたい」と自分以外のことを考えていたのだ。



児童労働や人身売買を「遠い国で起きていること」だと思ってしまう人も多いだろう。
しかし、安田さんは、問題を抱える彼らを目の前にしたときに、「(児童労働は)“あなたと私”という関係性の中での、“あなたが抱えている問題”になるんです」と説く。
そして、「こんな問題があるんだけど、みんなはどう思う?」と人々に疑問を投げかけていくことが大事だと思い、フォトジャーナリストという今の仕事につながっていったのだと言う。

また、ACEで経理や総務を担当する坂口さんは、1999年に日本経済新聞に掲載されたユニセフの一面広告を、自身の「チェンジ」のきっかけに挙げる。

そこに書かれていた「『女の子だから』というだけで、学校に行けない子どもたちがいます。」というコピーと、大きな瞳を輝かせた女の子の笑顔の写真に、当時女子高に通っていた坂口さんは衝撃を受けたそうだ。
大学では国際開発を学び、卒業後はアパレル企業に就職するものの、あの広告が忘れられず、ACEに入職。現在は裏方として働きながら、2014年インドに、そして2018年にガーナに行き、現地で子どもたちと向き合ってきたという。

■「現地の子たちに何かをするということはできない。でも…」

さらに、インドやガーナで見つけた現地の子どもたちの「チェンジ」について、お気に入りの写真をピックアップしながら語る3人。

ACEガーナプロジェクトのマネージャーである近藤光さんは、ベストショットとしてプロジェクトで支援を受けたゴッドフレッド君の写真を挙げた。



ゴッドフレッド君はカカオ農園で労働に従事していたが、ACEの支援のもと学校に通うようになると、持ち前の頭の良さを開花させ、めきめきと成績を伸ばし、奨学金を受けて高校を卒業。現在は大学進学の資金を貯めるために、学校で子どもたちに勉強を教えているという。
まさに“出世頭”ともいえるゴッドフレッド君だが、近藤さんは「結局私たちが、(彼らに)何かをしてあげるとか、何かを持っていってあげるということはできないんです」と語る。

では、一体何ができるのだろうか。
「(彼らが変わる)きっかけになること。それも毎回ではなく、ときどきにきっかけになるかもしれないというくらい。でもその一方で、私たちが現地の人たちから笑顔や知恵といった多くのチェンジのきっかけをもらっています」と近藤さんは回答し、「それを日本で伝えるというのが、私たちの役割なのかな」と自分たちの使命について振り返った。

 ◇

20年前、有志の学生たちによって立ち上がったACEは、さまざまなチェンジの種を国内外に撒き、チェンジの多くのきっかけを様々な人にもたらしてきた。

そのチェンジが凝縮されたような1時間半のイベントの客席には、学生をはじめ、若い人たちが数多く見受けられた。彼らがACEのスタッフや安田菜津紀さんから、どのようなきっかけを受け取り、次のチェンジを起こしていくのだろうか。そんなことを思わせるイベントだった。

(新刊JP編集部)

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