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ポルトガルから来た注目作家・ペイショットが語った「土地」と「記憶」のこと

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2018年11月16日 17:02  新刊JP

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写真ポルトガルから来た注目作家・ペイショットが語った「土地」と「記憶」のこと
ポルトガルから来た注目作家・ペイショットが語った「土地」と「記憶」のこと
2000年に発表した初長篇『無のまなざし』でジョゼ・サラマーゴ賞を受賞、『ガルヴェイアスの犬』でポルトガル語圏のブッカー賞とも称されるオセアノス賞(ブラジル)を受賞と、ポルトガル語圏と欧米で高い評価を受ける作家ジョゼ・ルイス・ペイショット氏が来日。11月13日、紀伊國屋書店新宿本店で日本の作家中島京子氏とトークイベントを行った。

■ポルトガル文学の注目作家ペイショット氏が語った「土地」と「記憶」のこと

対談のテーマは「土地の記憶、家族の記憶」。

初めての邦訳作品となった『ガルヴェイアスの犬』(新潮社刊)は、ペイショット氏の出身地でもあるポルトガルの田舎町ガルヴェイアスを描いた長編小説。1984年にこの地で暮らしていた人々の身に起こった出来事やその追憶が、いずれもユニークな登場人物の視点で語られるが、読む者に不思議な懐かしさを感じさせる。

書かれているのは日本から遠く離れたポルトガルの内陸にある、気候も街並みも植生も違う場所の出来事だが『ガルヴェイアスの犬』の中で語られる無数の小さな物語には不思議な普遍性があるのだ。

中島さんがその点について「登場人物たちが自分の知っている人のような気がした。それはこの作品を通して読者が自分自身の記憶や経験してきた文化を懐かしく思い出すからだと気づかされた」と語ると、ペイショット氏は、「ガルヴェイアスは記憶のシンボルとして書いた。作中のこまごましたエピソードは当時のポルトガルの暮らしだが、あちこちの国で営まれていた暮らしでもある」と語った。



また、1984年という時代設定にも大きな意味があるようだ。当時のポルトガルは1974年まで続いた独裁政権が革命によって倒れてから10年が経ち、グローバリズムの波が国内に浸透し始めていた時代。国の転換期だった。

「この本では伝統的なポルトガルの人々暮らしを書いたが、1974年に民主化されて以後のポルトガルはそれ以前の伝統的なポルトガルのイメージを拒否した。たとえば“黒い服に黒いベール”という女性たちのイメージ。しかし、私はその黒い服をきたお婆さんが見た目通りの暗い人ではなく、話すととても面白い人だということを知っている。この作品では昔のポルトガルの文化を今の一般的な見方とは違う視点で見ている」(ペイショット氏)



もちろん、『ガルヴェイアスの犬』は1984年当時のポルトガルの暮らしを記録しただけのものではない。虚実入り混じったエピソードの数々は時に物悲しく、時に痛快で、思わず笑ってしまうものも。

ペイショット氏は「『ここは創作だろう』と言われるところは大体本当にあった出来事で、『これは事実だ』と言われるところは大抵創作。だけど、ガルヴェイアスに今も暮らす人々、私が子どもの頃一緒に遊んでいた人々だけは、どれが創作でどれが事実かを知っている」と結んだ。
(新刊JP編集部・山田洋介)

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