心を許していても聞きたくない「人の悪口を言う恋人」をどう受け止めるか

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2018年11月17日 21:01  週刊女性PRIME

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心を許しているからこそ、悪口を言う。それが人間の心理でしょう。でも……(写真はイメージです)

 ついつい言ってしまう人の悪口。それが言えるのはお相手に心を許しているからなのですが、聞かされている側は心地がよくありません。恋人同士の場合は、そこにお相手の人間性を垣間見てしまいます。

 婚活ライターをしながら、仲人としてもお見合い現場に携わる筆者が、目の当たりにした婚活事情を、様々なテーマ別に考えてゆく連載。今回は、『人の悪口をいう恋人をどう受け止めるか』です。

泥酔したサラリーマンに放った一言

 会員の内田麻里恵さん(34歳、仮名)から、「吉田さんとの結婚はやっぱり考えられないので、交際終了にしたいと思います」と、連絡が入りました。

 吉田孝司さん(38歳、仮名)は、一部上場企業の社員で、同期の中ではいち早く課長になり、すでに部長候補だと言われている出世株です。結婚するには、とても条件がいい人でした。

 そんな吉田さんとお見合い後、交際に入った麻里恵さんは、当初“このまま結婚に進めたら”と、前向きでした。ですが、デートを重ねて行くうちに、吉田さんの発言で、気になるところが出てきました。

「努力家だし、仕事には一生懸命。それで今の地位があるのだと思うんです。でも一方で、自分が育ってきた環境にコンプレックスを持っている。

『父親は下町で小さな町工場をやっている職人。学歴もない。金もない。そんな父親を見てきたから、自分は努力して勉強して国立大に行った』と言うんですね」

 貧しさや悔しさをバネにのし上がってきた。それだけに、どこか人に優劣をつけるようなところがあるというのです。

 ある時、2人で夕食を食べ、有楽町駅に向かう道すがら、かなり酔っぱらったサラリーマン3人組に出会いました。その中のひとりが大声で上司の悪口を言っていたのを聞いて、吉田さんは言ったそうです。

「自分に能力がないから、ああやって酒を飲んで醜態を晒す。僕はそういう人間にはなりたくないな」

 その言葉を聞いて、麻里恵さんは、とても嫌な気持ちになったというのです。

 吉田さんは、体質的にお酒が全く飲めない。でも、麻里恵さんは気の置けない仲間とワイワイお酒を飲むのが好き。そんな時に気を許しているからこそ、仕事の愚痴をこぼすこともあります。

 有楽町の街を泥酔して上司の悪口をいっているサラリーマンの気持ちは、わからなくもない。

 それを、「能力がないから」と一刀両断してしまう吉田さんは、優秀かもしれないけれど、人としてのあたたかさや大らかさを感じられなかったというのです。

「人が使ったものを、よく金を出して買うな」

 そして、“やはりこの人とは結婚はできない”と思ったのは、こんな発言があったからでした。

 吉田さんは、服、バッグ、時計など、身につけるものは安物を買わず、デパートでそれなりに値の張る一流品を買うのが好きでした。

 それを一定期間身につけて飽きると “ヤフオク!”に出し、売れた金額にさらにお金を足して、次の買い物をしていたのです。

 ある時、スマホを見ながら、ボソリと言いました。

「あ、思ったよりもずっと高い値段がついているな」

 そして、耳を疑う言葉を続けたのです。

「まあ、よくも人が使い古したものを買う気になるよなぁ〜」

 それは、先日、出品したバッグのことでした。

「でも、吉田さんが使わなくなったのだから、ほかの方に使っていただいたほうが、バッグも幸せでしょう?」

「僕は、絶対に嫌だね。人のお古だなんて」

 その言葉を聞いたときに、麻里恵さんは“吉田さんとの結婚を前向きに考えよう”と思っていた気持ちがスーッと引いてしまったと言うのです。

 自分がいつも優位に立って人を見下す。それが吉田さんの人間性なのだ、と。

 この人と結婚したら、夫婦が同じ目線で話し合うのではなく、いつも彼が上に立ち自分が下に見られるだろう。

 このデートの後に、麻里恵さんは吉田さんに「交際終了」を出しました。

口癖が「〇〇するヤツはバカばっか」

「私、藤村さんと真剣交際に入ります」

 依田久美子さん(34歳、仮名)が、笑顔でこう伝えてきたのは、2か月ほど前のことでした。

 その時、久美子さんは、藤村正之さん(34歳、仮名)のほかに、大山国治さん(38歳、仮名)、飯島賢治さん(40歳、仮名)とも食事やデートを重ねていたのですが、その中で真剣交際の相手として選んだのが藤村さんでした。

 藤村さんを選んだ理由は、こうでした。

「大山さんは、自分がやりたいことを優先する人。デートも私が食べたいものではなく、自分の行きたいお店に行くんです。デートよりも自分の趣味の釣りが優先でした。

 飯島さんは、女性のエスコートの仕方が上手だけれど調子が良く、どこか口先だけで行動が伴っていないことがありました」

 3人の中では、一番人と接するのが苦手で不器用なのが藤村さんでした。

「でも、私に対して一番、一生懸命だったと思います。『美味しいお蕎麦が食べたい』と言ったら、あれこれ調べて老舗のお蕎麦屋さんを探したり、毎回、私が楽しめるデートを企画してくださったりしました」

 こうして久美子さんは、大山さんと飯島さんには“交際終了”を出し、藤村さんと真剣交際に入りました。

 しかし、2人の距離が縮まっていくと、彼の違う一面が見えてきました。

 先日、2人で買い物に行ったときのこと。道路に面したドレスショップがあり、ウィンドー越しにレース生地の素敵なウエディングドレスが飾られていました。

 2人で足を止め、「こんなの着たいな〜」と久美子さんが見とれていると、歩きスマホをしていた男性が、藤村さんにぶつかってきたのです。

 男性は、「あ、ごめんなさい」と謝り、スマホから目を離さずに歩いていってしまったのですが、その彼に向かって、藤村さんが大声で言い放ったのです。

「ゴメンじゃないだろう。歩きスマホはしちゃいけないんだよ。歩きスマホするヤツらは、バカばっか」

 久美子さんは、ドキリとしました。

「聞こえるよ」というと「聞こえるように言ったんだよ」と。

 また、ある時の水族館デートの後に夕食を食べることになり、雰囲気の良さそうなイタリアンレストランがあったので、入りました。

 店員さんが、「お席は、禁煙、喫煙のどちらが良いですか?」と尋ねてきたのですが、2つの領域が部屋として区切られているわけではなく、場所が分けられているだけなので、部屋の中にタバコの臭いが充満していました。

 すると、藤村さんは店員さんに言いました。

「この店、タバコの臭いがキツいんで、やめます」

 そして、店を出るとまた言い放ったのです。

「タバコを吸うやつらは、バカばっか!」

 それまで楽しかったデートが一転、暗い雰囲気になりました。

「○○するやつらは、バカばっか」これは、藤村さんの口癖のようでした。

悪態や悪口で人間性が垣間見れる

 心を許しているからこそ、悪口を言う。悪態をついてしまう。それが人間の心理でしょう。

 ですが、その言葉が自分に向けられたものではなくても、悪口や悪態は、その場の空気を暗くマイナスなものにしますし、聞いている側のストレスにもなります。

 久美子さんは、私に言いました。

「100パーセント理想通りで完璧な人間はいません。藤村さんには、いいところもたくさんあるし、今度その言葉を言ったら、はっきりと、『それ、口癖だよね。でも、聞いている私は楽しくないから辞めようよ』と、言おうと思います。もしそれで私たちの関係が終わってしまったなら、それまでかなって」

 距離が近づいているからこそ、ポロリと出てしまう本音。久美子さんに、口癖を指摘されたときに、藤村さんがどんな対応をするかで、このカップルの未来の明暗が分かれることになりそうです。

 人の悪口を全く言わずに生きていくのも、またストレスがたまります。言う相手を選ぶ。言う場所を考える。言い方を工夫する。

 これは、婚活中のカップルだけではなく、人間関係をうまく築いていく上での永遠のテーマなのかもしれません。

鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『あいかつハウス』http://aikatsuhouse.grupo.jp/

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  • 歩きスマホするヤツらは、バカばっか」その通り����ʴ򤷤���� 「タバコを吸うやつらは、バカばっか!」その通り。私も馬鹿な喫煙者です・・・(^_^)
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