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どうすれば伝わる? プロが考える接客という仕事の指導方法

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2018年11月30日 18:03  新刊JP

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新刊JP

写真『接客1年生 お客さまに信頼される50のコツ』著者の七條千恵美さん
『接客1年生 お客さまに信頼される50のコツ』著者の七條千恵美さん
人気が出る店のパラメータの一つとして、スタッフの「接客」の気持ち良さ、心地よさがあげられるだろう。一方で、接客が原因となり、クレーム騒ぎや炎上騒ぎになってしまうこともある。

今回は、「やっているつもり」「できているつもり」になりがちな接客の基本50のポイントを教える『これだけできれば大丈夫! すぐ使える! 接客1年生 お客さまに信頼される50のコツ』(ダイヤモンド社刊)を著した七條千恵美さんに、OK接客・NG接客や現場のリーダーや店長・オーナーの心得についてお話を聞いた。

七條さんは元JALの客室乗務員で、皇室チャーターフライトのメンバーに抜擢されたこともある“接客のプロ”。2010年から2年間、客室教育訓練室の教官として1000人以上の訓練生を指導した実績を持ち、現在は接客マナーをメインとした研修講師として活躍中だ。
さまざまな現場を見てきた七條さんならではの「接客」論、その後編は指導する立場へのアドバイスや接客という仕事の魅力についてうかがった。

・インタビュー前編はこちらから

■オーナーや店長が知っておくべき、接客の仕事の指導について

――本書はオーナーやリーダーといった人たちからのニーズもあって執筆されたとお話されていましたが、接客という仕事は経験値が非常に重要で、失敗から学ぶことも多いと思います。その中で、現場のリーダーが心がけるべき「上手い失敗のさせ方」についてお聞きしたいです。

七條:これは上手い失敗のさせ方というよりも、スタッフが失敗してしまったときのフォローが大事なのかなと思います。

同じ失敗でも、そのスタッフがどのくらい(仕事に対して)準備をしてきたのかにもよります。事例ごとにも変わってきますが、私の場合はもし失敗をした場合、自分基準で「それはダメでしょ」と相手を否定するのではなく、「お客さまから見てどう感じると思いますか?」とお客さま視点で考えてもらうようにしていました。ほかに「会社がお客さまと約束していることは〇〇ですよね。だとすれば、どうすべきでしたか?」とか。

教官として客室乗務員の訓練生たちの指導にあたっている中で、「これを言うと、きっと泣かれるだろうなあ…」と思う言葉もありました。けれども、それを伝えないと改善できないのであれば、それは心を鬼にして指摘するしかありません。

――厳しいけれども、成長のため。

七條:はい。お客さまの前に立つわけですからね。また、その訓練生がどういう気持ちで仕事と向き合っていたのかが大事なのです。自分の失敗やミスを素直に反省していたり、ショックを受けている訓練生に追い打ちをかける必要はなく、「訓練で失敗したことで多くのことに気づけて良かったのですよ。もう本番では失敗しないはずです」「一生懸命準備してもそういうときはあります。次、がんばりましょう!」と励まします。問題は、自分のミスを素直に認めることなく自分以外の責任にする訓練生や後輩がいたときですね。

――なるほど。まず他責に向かってしまう。

七條:たとえば、本来は自分が確認していれば防げたミスなのに、まず「前に使った人がそのままだったので…」と言う。その気持ちは分かります。けれども、まずは「自分の確認ミスでした」ですよ。詳細を聞かれたならば、「前任者がやっていたので、私も確認を怠ってしまいました」と、まずは自分のミスを認めて反省することが大事です。自己保身の言い訳をする場合には、厳しいようですが「前任者だけの責任ですか?」と怖い顔でいうこともありました(笑)

――他に七條さんの中で意識されていたことはありますか?

七條:訓練生を注意した後です。そのあとで指導を受けた訓練生がどんな行動を取るか、どれだけ変化を見せるか。そこは見逃さないように意識していました。指導直後にはまだ完璧でないとしても些細なことでも改善していれば「変わりましたね!」「前よりも良くなりましたね!」と声をかけたり褒めたりすることを忘れないようにしていました。他には、かなり厳しいことを伝えた場合には、その訓練生と仲良くしているクラスメイトにフォローをお願いしたこともありましたね。

「こうした方がいい」と伝えるのは簡単です。けれども、それを腑に落とさせて自らの意思で行動に向かわせることにとてもエネルギーを使いました。どういう角度から指摘すれば、理解してもらえるのか?どのタイミングで指導すれば効果的なのか?いつもそのようなことばかり考えていたような気がします。

■接客のプロが考える、接客という仕事の魅力とは?

――七條さんが考える、接客の仕事に向いている人はどんな人でしょうか?

七條:お客さまの役に立ちたいと思う、よく気がつくということも大事ですが、軸をちゃんと持っている人ですね。これは接客の仕事に限ったことではないですが、軸を持っていないと「怒られて怖いからOKした」「まあいいかなと思った」などお客さまや職場の仲間を混乱させます。その先にどのような影響が出るかを想像できない人は考える練習が必要ですね。

――マニュアル外の対応をして不公平感を抱かせてしまったり。

七條:そうです。自己保身からマニュアル外の対応を安易にOKしてしまい、他のスタッフがお客さまから「君は融通が効かないなあ」と言われてしまうこともあります。そうならないように「今回は特例です」とうまく伝えることや、状況によっては毅然と断るという場面にも対応できないと困ります。もちろん言い方には配慮が必要ですけどね。

――逆にファンやリピーターがつくような、応援される接客をする人はどんな特徴を持っていると思いますか?

七條:まずは愛嬌がある人ですね。これは私とは逆のタイプなのでうらやましいのですが(笑)、「なんだかあの子は怒れないよね」という感情を抱かせる愛嬌をもっている人は強味になりますね。もちろん愛嬌だけで乗り切れないときもありますが、かなりの武器であることは間違いないと思います。

その他に応援されるスタッフの持つ特徴としては、「常にベストを尽くそうとする取り組み姿勢」です。愛嬌という武器がない私はそこで勝負するしかありませんでしたが(笑)、それは新人もベテランも同じです。新人ならば、まだまだ未熟な接客で臨機応変さにも欠けますが、一生懸命仕事をしていることは伝わります。もちろんお客さま全員が「一生懸命やっているから」というだけで応援するわけではないですけど、経験上ほとんどのお客さまはそのような姿を好意的に見てくださっていました。

接客のプロである以上は、仕事に対してベストを尽くすべきだと思います。けれども、パーフェクトにいかないときやミスをすることもあるのが人間。そんなときにお客さまが「そういうこともあるよね、大丈夫だよ」と許してくださるのか、「何やってるんだ!もういいよ!」とお怒りになるのかは、そのスタッフの取り組み方やお客さまとの向き合い方が大きく影響していると思います。

――まさに仕事に対する心構えの部分ですね。

七條:はい。たとえば、間違った敬語を使ってしまったとしてもその一回でお客さまをすぐに不快な気持ちにさせるとは限りません。

ただ、「言い方」はその一つで相手を不快にさせてしまうこともあるわけです。先日、あるお店でカードの切り替えをしたのですが、スタッフに「ポイントも移行できますよね?」と確認をすると、ぶっきらぼうに「今やりますので」と言うのです。「できる」という意志表明だと思うのですが、こちら側からすると面倒くさそうな印象を受けるものでした。

――その流れで質問なのですが、コミュニケーションが苦手な人もいると思います。接客の仕事につかなければいいという話ではあるのですが、その仕事をやることになってしまったときはどうすればいいのかな、と。また、接客の仕事を通してコミュニケーション下手を克服したいと考えている人もいると思います。

七條:そのような方にいきなり接客でお客さまの心をつかめとは言いません。まずはお客さまをイラっとさせない、モヤっとさせないことですね。あとは笑顔を大事にすること。ただ、笑顔が苦手な方も多いと思います。表情の改善は実はとても難しいのです。そのような場合には、せめてお釣りを両手で渡す、挨拶をするときは下を向かない、御礼を言う時は顔を見て言うなど、誠実な態度を意識してもらいたいです。

自分には悪気はなくて「ちゃんとやっているつもり」でも、お客さまから見ると印象が良くないこともあります。そこで誤解を与えてはもったいないですから、表情が乏しかったり、口下手でも別のところで誠実さを出して取り返すことが大事ですね。

――七條さんが考える接客の魅力について教えて下さい。

七條:堅い言葉で言えば、「人にしかできない感動価値の提供」になるのですが、私はCAでしたから、シンプルに「この飛行機に搭乗して良かった」と思っていただきたかったのです。「飛行機に乗ってゆっくりできた」「楽しかった」「乗るのが怖かったけれど安心してフライトできた」など小さなことですが、自分がCAとしてお客さまにかかわったことで、少しでもご満足いただけることが嬉しかったです。

また、フライト中にはいろいろなことが起きます。もちろんマニュアルにないことも求められます。その中で状況を見てどうすればいいのかを考えて、工夫や機転でうまく対応できたときの達成感を味わうことも好きでした。

――最後に、本書をどんな人に読んでほしいとお考えですか?

七條:接客の初心者の方はもちろん、接客の仕事をする中でいろいろな情報に振り回されている方にも立ち返るポイントとして読んでいただきたいです。

また、経営者や社長、店長、人事などといった方々にも読んでいただいて、朝礼やミーティングなどで活用してもらえたらと思います。どのように指導すればいいのかわからない、改善が必要だということはわかっているけれどうまく言葉にできないという人もいらっしゃいます。本書ではこれまで聞いてきた悩みや私が日常で出会った事例を織り交ぜて説明していますので、その事例をきっかけに職場のみんな学んでいただけたらと思います。

(了)

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