発症から診断まで約20年 難病・ファブリー病患者さんがたどったペイシェント・ジャーニーとは

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2018年12月12日 13:01  QLife(キューライフ)

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患者さん40人の発症〜診断〜治療に至るまでを調査


脳神経疾患研究所先端医療研究センター センター長 ・遺伝病治療研究所 所長 東京慈恵会医科大学名誉教授の衞藤義勝先生

 細胞内での糖脂質の分解に必要な酵素が生まれつき足りないために、全身の細胞に糖脂質が蓄積して起こるファブリー病。幼児期や学童期に、手足の痛み、汗をかかない・かきにくい、赤紫色の発疹、腹痛や下痢といったさまざまな症状が現れます。これらの症状を放置したまま青年期や中年期になると、腎臓の症状(たんぱく尿・腎不全)、心臓の症状(心臓の肥大、不整脈、心不全)、脳血管の症状(脳梗塞、脳出血)などが現れるほか、年齢とともに、その症状は重症化します。

 サノフィ株式会社は12月5日、ファブリー病患者さん40人を対象に行った「ペイシェント・ジャーニー調査」の結果発表に関するメディアセミナーを開催。脳神経疾患研究所先端医療研究センター センター長・遺伝病治療研究所 所長/東京慈恵会医科大学名誉教授の衞藤義勝先生が講演しました。

 同調査は、ファブリー病の治療で酵素補充療法を行うファブリー病患者さんを対象に2018年3月27日〜6月11日の期間で実施されました。調査によると、最初にファブリー病の症状が現れたときの年齢は、0〜6歳が32%、7〜12歳が38%と、12歳以下が70%を占め、平均年齢は13.7歳(中央値10歳)でした。一方、確定診断を受けたときの年齢は30〜39歳の22.5%が最も多く、平均年齢は32.0歳(中央値32.5歳)という結果に。発症から確定診断までに平均約20年かかったことが明らかになりました。

 また、約4割の患者さんが確定診断を受けるまでに2施設以上を受診。なかには、5施設受診したという患者さんも5%いました。確定診断までに至るまでの悩みとして、「風邪、成長痛などと言われ、正しい診断がなかなか出なかった」、「発症当時は子どもだったので痛みをうまく伝えられず、周囲の共感を得られなかった」などが挙がり、衞藤先生は「早期診断が重要です」とコメントしました。

ファブリー病患者さん65%が「日常生活に制限がある」

 また、患者さんの48%が、ファブリー病により、結婚や出産などのライフイベントへ影響があると回答しました。ファブリー病が遺伝性疾患であることから、「病気について理解して付き合っているパートナーがいるが、結婚後、子どもを持つことに関してすごく悩んでいる」といった患者さんの声も。

 ファブリー病によって、日常生活の中で制限されたことがあると回答した患者さんは65%という結果に。ファブリー病の治療を行っていくうえでの生活や仕事への影響については、「非常に影響がある」が22.5%、「影響がある」が62.5%となりました。

 衞藤先生は、ファブリー病患者さんが「前向きに生きられるようなバックアップ体制」「治療を受けやすい環境」をつくることが重要だと解説。「社会全体での取り組みが必要」と語りました。まずは、1人でも多くの人がファブリー病という病気を知り、社会全体で患者さんとその家族を支援する環境を整えていくことが大切といえそうです。(QLife編集部)

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