限定公開( 1 )
なんだかお久しぶりな気がするこの連載。
今回は、5巻発売目前! ドラマも最終回目前! な『中学聖日記』をレビューします。
以下、あらすじです。
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「ぼく、先生のこと、すきになっちゃいました」 黒岩晶(くろいわあきら)、14歳。“恋心”を未だ知らずの中学3年生。ここ最近、彼が目で追ってしまうのは、新担任・末永聖(すえながひじり)、25歳。清純な雰囲気の女教師で、遠恋中の婚約者がいるという噂。彼女といると、他の誰にも感じたことのない感情が沸き上がる黒岩少年は、それが恋だとも分からずに何度も彼女を傷つけてしまう。そして夏。聖への気持ちに自覚が芽生えた頃、2人にとって運命の夏休みが始まる――。 恋の仕方も知らないで、婚約者がいる先生に恋してしまった。じれったいほどにときめく、11歳差の純情ラブストーリー。
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最終回を目前に控えたこのタイミングで原作を既刊分(現時点で4巻まで)を読んで、ドラマ見ていなかったことをひどく後悔しました。
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ドラマの1話を見逃がすと途中から観れない病を患っているばっかりに( ;∀;) 1話逃すと観るきっかけを失うんですよね。
なんとなく“教師と生徒の禁断の恋”というと、頭に浮かぶのが付き合い出してから障害の多さに苦しむふたり、みたいな不倫系の物語と少し似通う展開になるイメージを持っていた私。たぶんそれは昔やってた『魔女の条件』っていう滝沢秀明さんと松嶋菜々子さんのドラマの印象が強いからです。
だけどこの『中学聖日記』は恋が始まりません。いや、始まっているんだけど全然進展しない。お互いの恋心がはっきりとしてきて進展するか?! と思いきや、“恋愛”への発展に至らないのです。
発展に至らないどころか遠ざかります。
もどかしい!! でもそのもどかしさ、それが変にドラマチックになりすぎず、人生ってこんな感じだよね。うまくいかないよね。ままならないよね。だから悩むんだよね。……と思わせられます。
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マンガをはじめとした物語って、慣れるとドラマチックな展開、起承転結が来るものだと思ってしまいますが、そんなきれいに物事って終結しないし、すっきりしないまま先に進まざるを得ないことがたくさんありますよね。
全編通してこの物語は、そういったそれぞれのままならなさが描かれています。
主人公の晶は、流行に疎くて世間知らずで、イケメンで独特な雰囲気を持っています。だけど、初めての感情に戸惑って自分でも自分の言動がわからなくなる様、素直な様がとても良いのです。周りの人間が放っておけなくなるのがすごく分かります。
そして聖ちゃん。周りに誤解されやすく、流されやすく、一生懸命やっているのにどこか空回る様。
晶と関わることで、自分がなぜ教師を志したのかを深く考えてみるシーンがあるのですが、私はそのシーンがたまらなく好きです。
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自分がずっと信じていた“夢”のきっかけを改めて思い返したら「え?そんなこと?」となるあのシーン。どんどん自分の心の中の声が聴こえてきて晶への関心から目が離せなくなっていく流れ。
自分の心の声と改めて向かい合うのって時にすごく怖かったりしますよね。今向き合って、色んなことに気付いたらもう戻れなくなるっていう気がする感覚。
その感覚に思い当たる節があるからか、とってもゾクゾクしました。ここから花火大会の一連の流れが、4巻までの流れで一番好きでした。
るな(岩崎るな)と晶の恋模様も、本当ならこのふたりの話だけで少女漫画としては全然OKだし、るな目線で進むシーンも大好きです!!!! るなに幸せになって欲しいけど、そうすると晶と聖ちゃんはうぬぬって展開になるわけで……。そこもまた、ままならない感がありますね。どのキャラクターに感情移入しても、誰かがどこかで傷つきますから。
主役ふたり以外のキャラクターもとても魅力的です。自分の身の回りにもいなそうでいそうな絶妙な感じがとても良い。同級生の誰かに面影が重なる感じです。
「女の友情は男の友情と違って感情のミルフィーユなの!」という3巻の淳紀の台詞が大好きです! そうなんだよ! 女の友情ってそうなんだよ! 単純にいかないんだよ。単純なはずなのに……。
九重、淳紀、香坂、そして存在が気になるけど今後どう絡んでくるか、まだなんとなくつかみきれてなない薫とか、大人サイドのキャラクターたちも、みんなどこか知っている人に似ているんですよね。だからこの物語が気になるのかもしれません。
ふたりがこの後どうなっていくのか、周りのキャラクターはどうするのか。 ドラマ最終回も間近な今、改めてこの作品から目が離せません。
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