ジョーブログはなぜインフルエンサーが集まる店を作るのか? クラウドファンディングの真相を聞く

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2018年12月15日 18:42  リアルサウンド

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 YouTube上で数々のチャレンジングな企画を行ない、昨年5月、AbemaTV『亀田興毅に勝ったら1000万円』に挑戦者として出場し、一般知名度も飛躍的に高めた「ジョーブログ」のジョー。そんな彼が「インフルエンサーが集まり夢を叶えるバーを作りたい!!」(CAMPFIRE)として、クラウドファンディングを始めたことが話題になっている。賛否両論巻き起こしてきたが、多くの賛同者が集まり、目標額の2000万円を超え、残り2日と期限が間近に迫ったいまも、金額は伸び続けている。ジョーが思い描いている構想とは、いったいどんなものなのか。企画の立ち上げ経緯から、そのチャレンジ精神の源まで、じっくり話を聞いた。(編集部)


(参考:東海オンエア・虫眼鏡 出版記念インタビュー「学校でも周りを騙せる“ちゃんとした本”になりました」


「ゼロから夢を追いかけて、有名になれる時代」


ーー「インフルエンサーが集まり夢を叶えるバーを作りたい!!」というクラウドファンディングに、目標額の2000万円を超える金額が集まっています。あらためて、今回の取り組みについて教えてください。


ジョー:「バー」というと飲み屋や水商売にも聞こえるので、「ミュージアム」とか「ギャラリー」とか、言い方を変えようかなと思ってるんです。僕が最初からイメージしているのは、インフルエンサーが常にいて、イベントやオフ会を簡単に開ける場所を作りたいと。動画配信プラットフォームの投げ銭、ダイレクト課金をリアルに持って来た感じですね。インフルエンサーとファンが交流して、距離を縮めて、そこにチップをつける。そうすれば、活動の支えになると。


 インフルエンサーの人らって、めちゃくちゃ有名になれば、企業案件にも引っ張りだこだし、YouTuberやったら広告収入も得られるんですけど、コアなファンがいる人でも、フォロワーが数千人くらいだったらみんなバイトしているんです。そういう時間で才能が無駄になるのがもったいないし、それやったら、インフルエンサーが集まって、お店で働きながらコミュニティを作り、情報交換をしながら、全員で夢を追う場を作ろうと。


ーー個人的な経験としても、配信を楽しみにしていたのに、活動を辞めてしまったクリエイターが何人もいます。勝手かもしれませんが、マネタイズできていたら続けてくれていたかもしれない、という可能性を考えると、魅力的な取り組みに思えます。


ジョー:そもそも、僕がなんでそういう場所を作ろうと思ったかというと、YouTuberとして活動しているなかで、他の動画を見て「もうちょっと企画や編集で工夫したら、絶対に再生数が伸びるのにな」と思うことが多いんですよ。僕自身、そうやって視聴者さんを増やして、AbemaTVで亀田興毅さんに挑戦したり、EXILEのATSUSHIさんからお声がけいただいたり、どんどん活動の幅が広がっていって。今は芸能事務所に所属したり、大きなコンテストで優勝したりせんでも、ゼロから夢を追いかけて、有名になれる時代なんですよね。そういう状況をもっと広げたいし、これまで培ったノウハウを夢を追う人たちに共有したい。だから、それができる場を自分で作ってしまおうと思ったんです。


ーージョーさんから見て、この人もったいないな、と思うクリエイターは多いですか?


ジョー:たくさんいますね。めっちゃいい曲を作っていて、歌も上手くて、メッセージもあってファンもいるのに、細々と路上ライブを続けている人がいるじゃないですか。そういう人のSNSを見てみると、ほとんど稼働していなかったりするんですよ。そのままいつかスカウトさんに目が止まるまで続けるなんて、時間がもったいないし、めっちゃ効率悪い。もちろん、そのあと成功するかはわからないけれど、その確率を上げることは確実にできるんです。そういう人らに力を貸せたらなと思って。


 ただ、そう言うと聞こえはいいけど、この企画は人のためというより、ほんまは自分が楽しいからやりたいことなんですけどね。そういう環境を作って自分がどうなるか、というのが楽しみだし、新しいことをするのが好きなんですよ。僕だからこそできる、オンリーワンの作品を作りたい。今回も人生という作品の一部みたいなもんで。


ーー批判的な意見も少なくなかったと思いますが、目標額の2000万円を突破して、賛同するファンの多さと、サポートの厚さに驚きます。ファンについては、どう捉えていますか?


ジョー:僕の場合、応援してくれる視聴者さんとの距離がめっちゃ近いんですよ。言ってしまえば友達に近い感覚で。だから、もっとそういう人たちを巻き込んで一緒に面白いことを創造したいし、今回のお店も文化祭と言えばチープに聞こえるかもしれませんが、皆んなで一緒に目標に向かって面白いモノを作ってく感じなんですよね。自分のオンラインサロン「ジョーズクラブ」にそういうお店のことをどんどん共有して皆んなで考えてます。スポーツでもなんでも見る側よりやる側のほうが絶対、成長と達成感がありますから。お金を出してプロに作ってもらえば、確かに簡単でスピーディーなんですよ。でも、そこをみんなでやることによって、そのプロセスもエンターテイメントになる。僕ひとりのものじゃなくて、みんなが思い入れを持ってくれる場所にしたいんですよね。


ーー確かに、立ち上げから少しでも手伝えば「自分ごと」になりますね。


ジョー:そう、全員がこの店のオーナー、みたいな感覚になってほしくて。だから未完成の部分から見せていっているですけど、逆にそこが批判の対象になってますね。「お前は未完成のものに金を集めているのか」と。


ーーただ、今回のクラウドファンディングは単純に「お金を集める」というより、そのことでジョーさんに会えたり、自分だけのために動画を作ってもらえたり、という特典が面白くて、出資者との距離がグッと縮まる企画が盛りだくさんでした。


ジョー:そうですね。けっこう高い値段をつけているものもありますけど、例えば僕の家に来てもらうようなものは、こっちからしてもそれなりにリスクがあるし、多少ハードルを高くしなきゃ、ということで。気の合うやつがおったら、そのまま泊めたろかなくらいに思っているし、「20分生電話」みたいに時間を区切っているものも、気が合えば3時間でも4時間でもしゃべりますしね。ちなみに生電話は、この企画に8万円出してくれた人への特典で、けっこう高いし、「自分のことどんだけ価値あると思ってんのや」と言われるんですけど、僕、自分のLINEで電話するんですよ。友達になる、という意味に近くて。サシ飲みなんかはもうやっているんですけど、ひとりはYouTuberで、「動画撮っていいですか?」「全然いいよー」って。この機会を利用して、値段以上の価値のあることにつなげてもらえたらなって思ってます。


ーークラウドファンディングにお金を出す、というより、体験を買う、という感覚の出資者も多そうですね。


ジョー:だから、僕を応援してくれていると言うより、「ジョーブログという看板を使って、このリターンで何したろうかな」って、ビジネス的に考えている人もおると思いますよ。自分の知名度アップのために使ってもらってもいいし、そこに関してはウィン・ウィンなので。


ーージョーさん自身、AbemaTV『亀田興毅に勝ったら1000万円』で正面から“売名”して、チャンスを生かした部分があります。


ジョー:そうですね。僕が有名じゃないYouTuberだったら、ちょっと頑張って、僕とコラボする機会を買うと思いますもん。駆け出しの頃なんか、それなりにチャンネル登録者数、SNSのフォロワー数がある人とは全くコラボできませんから。僕はその人がおもろかったら、そのまま仲間としてやっていきたいと思うし。


「根拠のない批判は、南米のハエみたいなもん」


ーー今回の企画も、また動画としてアップされているハードな企画も、「思いつく」ことと、「実現する」ことの間には、一般的には大きな壁があると思います。ジョーさんはそれをどう乗り越えているんですか?


ジョー:確かに、昔を振り返ると、自分の知らない世界に飛び込むときには、構えてしまう部分や不安もありましたね。それは、単純に成功した経験も失敗した経験もないからで。おもろいことを思いついても二の足を踏んでしまう人は、小さな階段を上ることから始めたらいいと思うんですよ。それが失敗でも、挑戦していない人と比べて、一つ答えを知っていることになるじゃないですか。僕は失敗がまっっっっったく悪いことだと思っていないし、宝物くらいの感覚なんですよね。よく言われることですけど、失敗から学ぶことのほうが多いし、動画にすればエンタメになりますし(笑)。


ーーなるほど、クリエイターの強みですね。


ジョー:失敗って笑い話になりますから。例えば、南米縦断企画で、頼りにしてたバイクが壊れたーーって、こっちからしたらたまったもんじゃないけど、視聴者からしたら「このあとどうするんやろ?」ってワクワクするし、めっちゃおもろい展開じゃないですか。だから僕も、失敗やトラブルがあれば、逆にそれを生かしてもっとおもろいことをしようと考えるんですよ。


 あとは、失敗だけじゃなく、批判意見を怖がっている人も多いですよね。僕はなんとも思わないんですけど、YouTuberを始めて、SNSで文句を言われてシュンとしてしまう、という人が多くて。でも、これも慣れなんですよ。南米のハエみたいなもんで、最初はめっちゃうるさいし鬱陶しいけど、途中で慣れてくる(笑)。現地の人なんか、ご飯にいっぱいたかっていても気にせんで食べてますから。批判意見はハエみたいに音も出さないし、怖がることなんてない。もちろん、聞くべき意見はたくさんあるけど、それも踏まえて自分はこう考えている、という芯がちゃんとあれば、「こいつらがわかってないだけやん」って、冷静に考えられるんです。


ーー時には“炎上”を利用したり?


ジョー:人に迷惑をかけることでなければ、炎上もいいと思いますよ。このクラウドファンディングに対する炎上なんか、自分で火を注いだところがあるので(笑)。2000万円というでかい金額に到達するためには、批判も含めた話題性が必要で。僕がいないところで勝手に賛否両論の議論が繰り広げられて、知らない人が僕のことを知ってくれて、そのなかに「おもろいことやってるやん。会ってみたいな」って、お金を出してくれたり。炎上って、コントロールさえ間違えなければコスパのいい広告なんですよ。僕はスポンサーがついている芸能人さんとは違うし、法律さえしっかり守っとったら、あとは表現の自由なんじゃないかという感覚ですね。


ーーなるほど。そうして思い切るためには「慣れ」が必要だというお話でしたが、ジョーさんにとってそのターニングポイントになった経験はありますか?


ジョー:めちゃくちゃいっぱいあるんですけど、最初に一歩を踏み出した瞬間と考えると、大学受験をやめて、親に内緒で沖縄のボクシングジムの門を叩いたことですね。進学校でみんな大学に行くなかで、僕は勉強をする意味がわからなくて。そんなときにテレビでボクシングの世界戦を観て、「何かに熱中している人って、かっこいいな」と思ったんです。同時に、高二くらいの時に、じいちゃんがガンで亡くなって。いつも怒ってばかりのじいちゃんが、最後に筆談で「やりたいことに向かって頑張れ」と言ってくれたんですよ。厳格で堅いじいちゃんで、いつもガミガミ言われていたから、僕のこと嫌いやと思ってたんですけど、後から聞いたら、僕が高校受験のときに夜な夜な神社にお参りしてくれたり、ずっと応援して、気にかけてくれていたと。そんなじいちゃんの最後の言葉が胸に残って、ボクシングをやってやろうと一歩踏み出せたんです。


 トレーニグは毎日苦しかったけど、仲間と目標を追う楽しさを知ったし、そこから「やりたいと思ったら、迷わずやる」という生き方をしよう」と決めたんですよ。「できるか、できないか」やなくて、「やりたいか、やりたくないか」。そして、「やりたいならやる」と。それでも足がすくむときは、周りに「やる」と言っちゃうのがいいですね。やらざるを得なくなるから(笑)。


ーー宣言して、自分を追い込む。


ジョー:今回のクラウドファンディングなんか、まさにそうですよね。最初にバーンと打ち出してしまって、周りが騒ぎになって(笑)。


ーーなるほど。動画ではEXILEのATSUSHIさんとの交流も公開されていますが、尊敬する人、目指したい人を考えると、どんな人が頭に浮かびますか?


ジョー:僕、ほんまに毎日いろんな人と出会うじゃないですか。そのときに、基本的に人のいいところ、自分にない部分を探しているんですよね。そういう意味では、出会ったほとんど全員をリスペクトしていて、すぐに影響されるんです。自信を持って言えるんですけど、僕、ミーハーなんですよ。むしろ全員から影響を受けまくったろ、と思っていて。最近も映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観に行って、「ロックに生きよう」と思ったり(笑)。だから、今日のところは「尊敬する人はフレディ・マーキュリー」と言っておきます。


「10年後とか、まったく考えないですね」


ーーさて、ジョーさんはいわゆる「YouTuber」というイメージからは離れたところにいて、クリエイターであり、冒険家であり、アーティストであり、実業家でもあります。自分は何者だ、と説明しますか?


ジョー:コメント欄でよく「詐欺師」って言われいるので、詐欺師なんかな(笑)。でも、何者かと聞かれて、一言で説明できるような自分にはならないように、とは思っていますね。「肩書きは落書き」くらいの感覚で、どんどん新しいことをしていこうと思っているので。


ーー確かに、自分を定義すればそこに収まってしまう、ということもありそうです。


ジョー:そうなんですよ。だから、どんどん変化していったろうと。人生を一冊の本だとすれば、章が変わるごとに、全然違う人間になっていたい。新しいことに挑戦すると自分が変化するし、それがすごい刺激的で、楽しんでいる自分がいますね。もちろん、一つに固めてすごいことを成し遂げる人もいますけど、僕は常にアップデートして、脱皮していきたいなと思うんです。


ーー常に刺激を求めていると、それに慣れてしまって、非日常が日常になってしまうことは?


ジョー:ありますあります。でも、そうすると逆に、普通の温泉旅行なんかが非日常に感じられるんですよ。


ーー海外で麻薬の売人の家に飛び込みで泊まったりしていると、自宅で寝ることが非日常になりそうですね(笑)。


ジョー:そうそう、実家に帰ってこたつで鍋食べるとか、めっちゃ非日常(笑)。元々の日常のありがたみも、痛切に感じますね。


ーー常に変わっていきたい、ということは、先の目標も定めていないということですね。


ジョー:10年後とか、まったく考えないですね。1年前を振り返ったら、めっちゃボクシングしてましたし、その1年後に起業している、なんて想像もしていなかった。目標を決めると将来が限定されてしまうし、先の自分の方がおもろい思考を持っていると思うので、あとはのちの自分に任せようと思ってます。常に動ける自分でいたいし、「明日、海外に行こう」となれば行けるくらいの感覚は持っておきたいなと。


ーー常にフットワークは軽く、と。最後に、お店ができることを楽しみにしているファンにメッセージをお願いできますか。


ジョー:「インフルエンサー」っていうと横文字で難しいかもしれないですけど、要は、すごい個性を持った人たちといっぱい出会える場やと思うので、そういう人らと繋がって、いろんなことが表現できるようになると思います。誰でも楽しめるような空間にしたいと思うので、ぜひ刺激を受けに来てほしいですね。


(橋川良寛)


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