「ホームアローン」作戦で泥棒退治 やりすぎでも正当防衛になる?

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2018年12月27日 11:02  弁護士ドットコム

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クリスマスの定番映画として知られる「ホームアローン」。家に残された子どもが、泥棒を退治するために奮闘するシーンがありハラハラする展開が人気です。


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レンガのブロックをぶつけたり、家の中に罠を仕掛けて泥棒を燃やしたりするなど、子どもはあの手この手を使って、泥棒から家を守ろうとします。なにをされても泥棒たちは図太いですが、手に火傷するなどのケガを負うシーンもあります。


現実には「ホームアローン」の子どものように、罠を仕掛けて泥棒を退治することはむずかしいでしょう。しかし、もし仕掛けた罠で泥棒がケガをしたり、死亡したりした場合は罪に問われるのか気になります。吉田要介弁護士に聞きました。


●正当防衛が成立すれば罪に問われない

ーー実際に「ホームアローン」のように泥棒を退治しようとして、泥棒がケガをしたり、亡くなったりした場合、罪に問われるのでしょうか


「泥棒がケガを負えば傷害罪、亡くなれば傷害致死罪や殺人罪に問われる可能性があります。


しかし、泥棒退治の行為が『急迫不正の侵害』から自分や他人の権利を守るために『やむを得ずにした行為』であれば、正当防衛が成立して罪に問われることはありません(刑法36条1項)」


ーーどのようなときに正当防衛が成立するのでしょうか


「泥棒が家にいれば、自分や他人の財産が盗まれる危険が押し迫っているといえるので、『急迫不正の侵害』があるといえるでしょう。


また、泥棒退治のためにした行為が、泥棒を断念させるために必要かつ十分な(相当性を有する)ものであれば『やむを得ずにした行為』と判断され、正当防衛が成立します。


過剰な場合は正当防衛は成立しませんが、過剰防衛として刑が軽くなったり、免除されることがあります(刑法36条2項)」


●行きすぎた泥棒退治でも「正当防衛」が成立することも


ーー泥棒が武器をもっているときはどうでしょうか


「自分や他人の生命、身体に対する危険が迫っている場合や、恐怖などによってその危険があると誤信してしまう場合もあるでしょう。


この場合は、泥棒退治の行為の相当性はゆるやかに判断されます。そのため、多少行きすぎた行為をしたとしても、正当防衛が成立する可能性はあります(盗犯等防止法における正当防衛の特例)。


もっとも、泥棒退治のためにした行為であっても、この機会を利用して積極的に泥棒にケガをさせようとしたり殺そうとしたりした場合は『急迫不正の侵害』があるとはいえないので、正当防衛は成立しません」



●子どもでも、なんらかの措置がとられる場合も


ーーホームアローンでは、14歳未満の子どもが泥棒退治のために奮闘します。子どもの場合はどうなるのでしょうか


「正当防衛が成立しなくても、子どもが14歳未満の場合は刑事罰には問われません(刑法41条)。しかし、児童自立支援施設への入所措置等がとられることがあります。


14歳以上の場合は少年法が適用され、家庭裁判所で審判を受けることになります。殺人罪が問題になるような重大案件であれば、大人と同様に、刑事裁判を受けることがあります」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
吉田 要介(よしだ・ようすけ)弁護士
千葉県弁護士会所属。日弁連子どもの権利委員会事務局次長、千葉県弁護士会刑事弁護センター委員。法律を「知らないこと」で不利益を被る人を少しでも減らすべく、刑事事件、少年事件、家事事件、一般民事事件等幅広く手がけ、活動している。
事務所名:ときわ綜合法律事務所
事務所URL:http://www.tokiwa-lawoffice.com


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