2PM ニックン、初のソロコンサートで誓った未来への決意 ファンとの絆感じたファイナル公演レポ

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2018年12月27日 17:52  リアルサウンド

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「本人のこだわりがあふれたステージに仕上がってます」


 会場の入り口で会ったレーベルの担当者の言葉を聞いて、さらに期待が高まった。「選曲や舞台セットまで、ニックン自身がアイディアを出した」というステージには、果たしてどのような世界観が投影されているのだろうかーー。


(関連:2PM ニックンライブ写真


 2PMのニックンが、満を持して行った自身初のソロコンサートは、11月に大阪・オリックス劇場からスタートし、12月22日、東京・中野サンプラザホールでファイナルを迎えた。


 客電が落ちると、闇に浮かび上がる赤いペンライト。赤のライトに照らされたステージに、バンドが奏でるイントロが響く。「ニックン! ニックン!」万雷のコールの中、ステージ正面のドアが開き、赤のスーツをまとったニックンが笑顔で登場。レッドはニックンのメンバーカラーだ。


 赤く輝くピアノで奏で始めたのは、12月19日にリリースされたばかりのミニアルバム『ME』からの「HOME」だ。心地よい歌声に包まれ、ホールはニックンのホームパーティー会場へ一気にトリップ。


 4thアルバム『2PM OF 2PM』のソロ曲「Miss Wonderful」、テギョンと歌ったドラマ『ドリームハイ』挿入歌「My Valentine」と懐かしい曲を続けた後、LP版のレコードを手にしたニックン。


 「僕の彼女になりたいですか?」と言いながらニックンがステージ後方を振り返ると、スポットライトが蓄音機を照らす。2人のダンサーとともに軽やかに歌い踊ったのは、「彼女」。そう、2016年のアリーナツアー『GALAXY OF 2PM』でウヨンと組んだステージを見事に再現したステージだ。さらに、ジャケットを脱ぎ捨てネクタイを取ると、悲鳴のような歓声が上がった。


 「Maybe you are」「I’ll Be OK」「Jealous」まで一気に歌い上げた後、「僕のプレミアムコンサートへようこそ!」と満面のニックンスマイルであいさつ。「東京の皆さん元気ですか?」と呼びかけに答える「はーい!」という返事が、会場の一体感を高める。この日は、ライブビューイングが行われ、DVDの収録もされるという大切な節目。ニックンは、「ライブビューイングの皆さん、元気ですか?」「DVDを見ている皆さん、元気ですか?」と、未来にDVDを見る人にまで声をかけておどけると、会場は笑いの渦となった。


 ステージの右上には、ニックンがデザインしたコンサートのロゴのネオンが飾られている。ファーストミニアルバム『ME』は、全曲ニックンが作詞・作曲を手掛けていて、今回のコンサートでは、新曲の時は、ロゴがピカピカ光るという仕掛けだ。


 ハイチェアーに座り、ギターを手にしたニックンが弾き語りしたのは、「Let It Rain (Acoustic Version)」だった。降り注ぐ雨の中でも守ってくれるHottestに捧げる、ファンソングである。サビのパートでマイクを会場に向け、ファンとコール&レスポンス。


 続いて、「何年もみなさんの傘の下で安全に幸せに過ごしました。これからは、みなさんを僕が守ります」と決意を明かすと、ステージ上のコンサートロゴが光りだす。奏でたのは、新曲の「Umbrella」だった。アルバムで唯一の日本語曲で、〈僕が君の傘になる〉と歌う、いわば「Let It Rain」のアンサーソング。客席をブルーやパープルのライトが照らし、まるで雨が降り注いでいるようにも見える。その会場を、ニックンの歌声がまるで傘のようにやさしく包み込んだ。


 中盤からは、ミニアルバム『ME』の世界にトリップ。アルバムジャケットのビジュアルを再現したピンクの雲の上で、黒いガウン姿のギターを弾く映像が流れると、まるで映像から抜け出たように、同じガウン姿のニックンが登場。ピンクの光に照らされながら、リード曲の「Lucky Charm」「Endearing」と、新曲を2曲続けて披露した。


 大きな拍手を浴びながら、ニックンがふと口にしたのは、2PMのメンバーへの想いだった。


 「2PM……会いたい。メンバーみんな本当にいい人です。こうやってソロをやるのも楽しいですけど、メンバーとやるときは、goodでhappyです」としんみりさせつつ、「彼が僕のことを考えながら作ってくれた曲です」とピアノで弾き始めたのは、Jun. K作詞・作曲の「SO WONDERFUL」だった。後半はシェイカーを手に、ガウンがはだけるのもいとわず、激しくダンス、ダンス。


 さらに、はしゃぐテギョンや、無表情のチャンソン、「ハンパ! ないっ!」と歌うウヨンなど、2PMメンバー一人ひとりの物まねも。「ジュノさんの真似は難しいですね……」と一瞬考えた末にジュノのトレードマークでもあるヒップをネタに「僕はないですけど〜」と自虐ギャグで魅せる、エンターテイナーぶりだった。


 終盤の「Mars」では、客席のペンライトの赤い光が星のように輝き、ホールはまるで宇宙空間に。続く「マスカレード 〜Masquerade〜」はピアノの弾き語りの序盤から一転、男女4人のダンサーを従えてキレキレのダンスを見せると、オールスタンディングの会場は大歓声に包まれた。


 本編ラストの「Colorful X’mas」は、赤いマントを羽織り、サンタ帽のダンサーと歌い踊る、クリスマスパーティーのようなスペシャルステージ。ニックンが大きな白い紙に木の絵を描くと、それがクリスマスツリーの絵に変身。さらに曲終わりでは、ステージ中央に大きな本物のクリスマスツリーも登場し、雪が散るマジカルなステージは大きな拍手が送られる中、エンディングを迎えた。


 間髪入れずに湧き上がる、「ニックン! ニックン!」」というアンコール。再び登場したニックンは、オールスタンディングの客席に「座っても大丈夫ですよ」と気遣いをかかさない。ピアノの前に座ると、とファンヘのメッセージを伝え「Let It Rain」をしっとりと歌い上げた。


 そして、顔を上げたニックンが驚いた表情に。


「Hottest is your Umbrella」


 客席全体に大きく浮かぶ文字。“私たちがニックンを守るよ”というファンが掲げた赤いスローガンのサプライズだ。そして、LEDモニターに「用紙を裏返してください」の合図が出ると、客席にはNKのイニシャルと、Umbrella(かさ)のイラストが現れた。


 「……ありがとうございます」「僕がみなさんのUmbrellaです」と、声を詰まらせながらも、涙を見せないようにしたのか、愛嬌いっぱいの笑顔で両手でピース。


 「これで、僕のソロコンサートの公演がすべて終わりました。今回のコンサートは、僕だけのパフォーマンスで作られていて、それができたことが、とてもうれしいです。よくできたから誇らしいのじゃなく、これまで僕が恐れていたことに挑戦し、できたことが誇らしいです。本当に、本当に、僕に力と勇気をくれて、本当にありがとうございます!」


 さらに、こう続けた。


「また戻ってくるので、待っていてください。いつになるかわからないけど」


 客席からは「えー、待てない!」という絶叫。すると、ためらうように下を向いていたニックンは顔を上げ、力強く誓った。


「多分来年、戻ってきます。ニックンバンドと一緒に、戻ってきます!」


 後ろでバンドのメンバーたちがガッツポーズ。


 「……大変なことになったね」と、恥ずかしそうにつぶやくニックンを、喝采が包んだ。


 「I Can’t」「Love is true」とダンサブルな2曲でアンコールは最高潮に。歌い終えたニックンは会場に手を振ると足早にステージを去っていった。――と思いきや、実は、本当のサプライズはここからだった。空っぽになったステージに降り注ぐ「ニックン! ニックン!」という止まぬコールの中、流れるエンドロールが、まさかのリワインド! 暗転したステージに響いたのは「NEXT Generation」のイントロ。スクリーンには、『GENESIS OF 2PM』の時のライブ映像が。Jun. K、テギョン、ウヨン、ジュノ、チャンソン。ダブルアンコールに応え、ダンサーとともに登場したニックンは、スクリーンに映るメンバーの真似をしておどけつつ、たまらなくいとおしそうな表情に。その姿からは、2PMへの愛情が痛いほど伝わってきた。


 「ニックン! ニックン!」湧き上がるコールに、「本当にもう、歌が残ってないんです」とやや戸惑いながら明かしつつも、再びピアノの前に。アドリブで弾き始めたのは、「Endearing」。「愛らしい」「美しい」など複数の意味を持つタイトルにファンへの想いを込めた、ソロコンサートのラストを飾るのにふさわしい曲だった。


 再び流れたエンドロールの最後、スクリーンに浮かび上がったメッセージは、「Hottest is my Home」。


 「メンバーたちが戻ってくるまで、2PMは僕が守っていく」。「恐れていた」と言うたった一人のステージに勇気を出して立ったのは、そんな思いがニックンの背中を押したからではないだろうか。そして、それを支えるファンの熱い気持ちと響きあう、強い絆を感じた2時間だった。(桑畑優香)


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