『凪のお暇』(コナリミサト)空気を読むことに疲れた人、誰かに頼りたいけど頼れなくて悶々としている人に読んでほしい!

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2018年12月29日 12:01  おたぽる

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 空気を読む。現代社会において超必須スキル。


 学校で、会社で、女子会で、合コンで、友達付き合いでも家族間でも、場の「空気」を読んで、相手が嫌な気持ちにならないように、コミュニケーションがスムーズに取れるように。嫌われないように。円滑に生きていく為に大事なスキル。だけど、そこに囚われ過ぎて身動き取れなくなっていませんか?


 今回は空気を読むことに疲れた人、誰かに頼りたいけど頼れなくて悶々としている人に読んでほしい漫画、コナリミサト先生の『凪のお暇』をレビューします。


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【あらすじ】
 空気を読むことに必死になりすぎて、過呼吸でぶっ倒れた大島凪28歳。


 会社もやめて引っ越して、東京の片隅でリセット生活、はじめます。


 累計部数100万部突破!


 第8回ananマンガ大賞受賞。第11回マンガ大賞ノミネート作品第3位。「このマンガがすごい!」2019オンナ編第3位の大ヒット漫画!
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 大人になって……いや、学生でも集団生活に身を投じたことがある人の中で一度も空気を読んだことないっていう人って絶対いないですよね。


 私も空回りしたり、読んでいるつもりで裏目にでたことは数知れず……。


 知り合い同士がSNSで飲みに行っているのは私をハブにして?! と被害妄想したり、ノリが悪いと思われるのでは……と勘ぐって「わかるー」しか言わなかったり。否定したら空気が悪くなると思って興味のないことにも頷いてみたり。


 他にもたくさんの、凪ちゃんが倒れるまでにやっていた空気を読んだ行動の数々。どれかひとつは当てはまるのではないでしょうか。共感ポイントがめちゃくちゃ多い『凪のお暇』。


 昔からマンガを読んでいると、主人公をはじめ出てくるキャラクターが大好きになって、そのキャラクター達と友達になったような感覚になるんです。


 特に『凪のお暇』のような、日常ストーリー系の漫画だとそれが顕著。


 実際に私は凪ちゃんたちに会ったことはないけれど、凪ちゃんがどんな気持ちで空気を読んできたか、ゴンさんや坂本さんに話しかけるときどんなに勇気を出したか、何が嬉しかったか、日々の素朴な発見や工夫をどんなに楽しんでいるかとか知っているから、大事な友達の打ち明け話を聞いているかのように、ページをめくるのです。


 しかし、ストーリーを読み進めていると主人公の凪ちゃんだけではなく元カレの慎二だったり、お隣さんのゴンさんだったり、うららちゃんだったり、坂本さんだったりの話を聞くことにもなるのです。


 もう!!! 慎二――――!!!


 2巻以降をお読みになった方にはもうお分かりかと思いますが、凪ちゃんの元カレ慎二。モラハラ男で凪ちゃんのお暇生活のきっかけになったこの男、凪ちゃんからの視点からだけでは全く見えなかった内面が隠されていて、それを知ってしまうともうただただ憎く、怖いだけの元カレには思えず、どうにか頑張ってほしくて仕方なくなるのです。


 あとひと言、あとちょっとの行動なのにすれ違っていくふたりが辛い……!


 慎二をはじめとした他のキャラクター達も、一方的な見方をしてしまうと誤解しがちな人たちばかり。


 でもそれは私たちの暮らす生活の場でも多々起こること。怖いと思っていたお隣のあの人が、すごく優しかったり、いじわるばっかり言ってくるあの上司にも、涙脆い一面があったり。


 凪ちゃんのお暇生活を覗いていると、自分もうっかり忘れかけていた“ドアの外側から見ただけじゃわからないこと”を探したくなります。


 『凪のお暇』の作中で、自転車に乗って青い鳥を探しにいくストーリーが最高に好き。


 初めて自分の意思でどこかに行きたいと思う凪ちゃん。その中で、グサグサっと心に刺さった台詞をご紹介します。


「いーなー。少女漫画の主人公は、問答無用で素敵な誰かに愛されてて。」


「少女漫画の主人公はどの子も根っこは純粋で、友達思いだったり、部活に一途だったり、ひたすらにひたむきだったり、はたまた不思議な力を持ってたり、愛される理由が必ずある。そうじゃなくちゃ誰かに愛されることなんてありえないんだって何前通りもの手法で描かれている。それに比べて私は…」


「だって私は、少女漫画の主人公じゃないから、だから自分の力で自分を守らなくちゃ。」


 これ、前後の流れを読んでもらえると、さらに刺さり具合が分かるかと思います。少女漫画の主人公に自分がなれない理由。愛されている人を羨む心情とか、みんな持っていたりするのかな? 私はとてもそういうことを考えがちで、だから凪ちゃんみたいな漫画のヒロインの子がそれを同じように辛く思って心情を吐露していることに共感というか、突き刺さる台詞だったんです。


 凪ちゃんとは似ても似つかない私だけど、凪ちゃんの悩みや躓くことのそこかしこに自分がいて、凪ちゃんのお暇生活の話を聞いて、自分とも向き合うことを余儀なくされる。


 グサグサ刺さるし、見てて痛くなることも多いけど、大好きなお友達の凪ちゃんがお暇してる間にどんな答えを導きだすのか、これからも目が離せません。


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