夫が派遣社員と不倫関係、妻の叫び「せめて会社から出て行って」…実現は可能?

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2019年01月07日 10:52  弁護士ドットコム

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夫と職場不倫をした派遣社員を遠ざけてほしいーー。こんな女性からの相談が弁護士ドットコムに寄せられた。女性は、慰謝料を受け取る代わりに、派遣先の変更や引っ越しを要求したいそうだ。


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女性によると、不倫相手は夫の直属で、不倫相手が夫を誘って、関係をもったという。「夫とは、生活のために折り合いを付けるしかない」と離婚する考えはなく、不倫相手に対して、「生活圏内から出ていってほしい」と願っている。


妻が会社に対して、社内不倫を理由に、派遣契約を打ち切らせることは可能なのか。鈴木謙吾弁護士に聞いた。


●契約を打ち切らせることは難しい

「まず実際の事実関係がどのように証拠に基づいて裁判所で認定されるかによって結論は異なります。しかし、法的には金銭請求が原則ですので、妻が要求している内容を実現することは難しいと言わざるを得ないでしょう。


任意に不倫相手が生活圏内から出て行けば別ですが、法律的に強制力をもって権利行使することは極めて難しいでしょう」


それはなぜなのか。


「派遣契約はあくまで派遣先企業と派遣元企業との契約であり、労働契約は派遣社員と派遣元企業の契約です。第三者である妻がその契約を強制的に打ち切らせることはできないでしょう」



妻の要望を受けた会社が動いて、契約の打ち切りになることはないのか。


「事実関係の詳細にもよりますが、不倫相手が極めて悪質な対応であった等、会社の風紀や経営に影響を及ぼさない限り、裁判所の傾向からすれば契約を打ち切ることは難しいでしょう」


もし、派遣社員ではなく、直接雇用の正社員であっても、結論は変わらないのか。


「不倫相手が正社員として直接雇用されていた場合だったとしても、一般論としては解雇が認められるには相当高いハードルをクリアする必要があります。


会社としては事実関係の精査が極めて重要になりますので、当事者からの聴き取り以外にも第三者の証言や客観証拠を丁寧に調査する必要はあると言えます」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
鈴木 謙吾(すずき・けんご)弁護士
慶應義塾大学法科大学院教員。東京弁護士会所属。

事務所名:鈴木謙吾法律事務所
事務所URL:http://www.kengosuzuki.com


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