“変態紳士” 高嶋政宏と対面して放送作家が感じた「混沌とした魅力」

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2019年01月11日 18:00  週刊女性PRIME

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高嶋政宏

 古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第65回は山名宏和が担当します。

高嶋政宏様 

 今回勝手に表彰させて頂くのは、俳優の高嶋政宏さんである。

 昨年秋に高嶋さんが出した本『変態紳士』にはかなり驚かされた。まずタイトルに驚き、髭面に首輪をした高嶋さんの表紙に驚き、そしてもちろん、中身を読んで驚いた。SM好きという話は、トーク番組で聞いたことはあったが、まさかここまで開けっぴろげに書かれているとは。「心のヘアヌード」を見せられた気がした。

 この本が出た後に、高嶋さんは出演したバラエティー番組をいくつか見たが、やはり「SM」にスポットを当てたものが多かった。そこがもっとも刺激的だからだろう。だが、僕が本書に感じた一番の魅力は、そこではなかった。

 冒頭から綴られるのは「SMとの出会い」、「SM初心者のための基本講座」、あるいは「アングライベントの魅力」。『変態紳士』のタイトルにふさわしい内容だ。そう思って、読み進めていくと、いきなりこんな項目が現れる。

緑茶に救われる男

 緑茶の魅力、効能、オススメの飲み方などが紹介されている。SMから緑茶、なんだ、このギャップは!

 さらにページをめくっていくと、今度はこんな一文に出くわした。

僕は唾液フェチかもしれません

 そうそう、これこそ変態紳士、と一瞬ほっとしたものの、よくよく考えると、すごい告白である。さらに「女の子をエズかせるのがいいんですよ」「そもそも口の中を見るのが好きなんですよ」って。何を堂々と宣言しているのだ、この人は。

 だが、これで驚くのは、まだ早い。強烈なフェチ話の後に語られているのは、

お墓参りの大切さ

 確かにお墓参りは大切だ。僕も歳を重ねるごとに、そう思うようになってきた。しかし、唾液フェチであると告白した、その舌の根も乾かぬうちに、お墓参りの大切さについて説かれてもなあ。いや、ホント、いいことが書いてあるんだけど、ここまで価値観の異なる話が次々と登場すると、なかなか頭が追いついていかない。

 そうかと思ったら、今度はいきなり、

妻・シルビアを愛させていただきます

 最愛の妻への思いを切々と語り始める。

 なんだよ、この展開は!

 実は『変態紳士』を読んだ直後、仕事で高嶋さんにお会いする機会があった。ここに書いたような感想を告げると、高嶋さんが笑顔でひと言、

混沌としてるでしょ

 それだ。僕が『変態紳士』に感じた一番の魅力は、その混沌さにある。そしてそれは同時に、高嶋政宏さんという人物の魅力でもある。

 混沌とした人間は、時として厄介だ。何が出てくるか予想がつかないからである。だが、こちらの心持ち次第では、こんなにおもしろいことはない。何が出てくるかわからない。常にサプライズ感があるからだ。

 そこで今回、高嶋政宏さんには『優秀びっくり芸能人賞』を勝手に差し上げ、勝手に表彰いたします。

 おととしぐらいから、バラエティー番組では長嶋一茂さん、石原良純さんの人気が再燃している。ふたりに共通するのは、二世タレント特有の浮世離れした感覚。しかも、それが嫌味な感じがしない育ちの良さ、口の悪い表現をすれば「ぼんぼん感」だろう。高嶋政宏さんも彼らと同じジャンルに属していると思う。

 現在、『My Anniversary Song』(BS朝日・毎週金曜よる10時24分)の司会者として、音楽に関するマニアックな一面を披露している高嶋さんだが、『変態紳士』を読む限り、バラエティータレントとしても、まだまだ莫大なポテンシャルを秘めている。

 職人の道具に対する思いがテーマの『匠のフェチ』、女性たちのストレス解消番組『僕を罵ってください』……しまった、即興で考えたら偏りすぎた。もっとゴールデンタイム向けに……『高嶋政宏VS50人の健康おたく』はどうだ? 高嶋さん目線で、動物の生態を紹介する番組も面白そうだ。

 一茂さんや良純さんと比べると、高嶋さんは劇薬度が高い。何が出てくるかわからない混沌とした魅力を保ちつつ、いかにその毒性を抑えることができるのか。これはバラエティー番組制作者にとって、2019年の研究課題の1つといえるだろう。

 

<プロフィール>
山名宏和(やまな・ひろかず)
古舘プロジェクト所属。『行列のできる法律相談所』『ダウンタウンDX』といったバラエティー番組から、『ガイアの夜明け』『未来世紀ジパング』といった経済番組まで、よく言えば幅広く、よく言わなければ節操なく、放送作家として活動中。

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  • 先日のテレビでこの人白いブリーフ1枚でムチを打たれていましたよ。
    • イイネ!11
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