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「僧衣で運転してたら青切符」僧侶たちがネットで反論、判例はどうなっている?

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2019年01月13日 09:52  弁護士ドットコム

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福井県内で昨年9月、40代の男性僧侶が僧衣で軽乗用車を運転していたところ、警察に「運転操作に支障がある衣服」と判断され、青切符(交通反則告知書)を切られていたと、読売新聞などが12月末に報じた。


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これに対し、「僧衣は仕事着だ」と仏教界から反論が相次いだ。ネットでは僧侶たちが「#僧衣でできるもん」というハッシュタグを使い、僧衣のまま縄跳びの二重跳びをしたり、体操選手さながらの回転技を見せたりと、縦横無尽に動ける様子を動画でアップ。ネットでは現在も盛り上がり続けている。



スニーカーを履いていれば大体なんでも出来ますよ。あけましておめでとうございます。#僧衣でできるもん pic.twitter.com/5iWW87OB6q


— その他の坊主 (@bayashi567) 2019年1月4日

僧侶が僧衣で運転する姿はどの地方でもみられるが、今回のケースは、福井県の道路交通法施行細則にある「運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物または衣服を着用して車両を運転しないこと」(第16条3項)にあたると現場で判断されたようだ。


僧衣によく似ているもので、着物もあるが、これらの法的な線引きはどこにあるのだろうか。僧侶で弁護士の本間久雄弁護士に聞いた。


●岩手県では「和服で運転禁止」、なぜ各地でルールが違う?

まず、今回は、「福井県道路交通法施行細則」による青切符だった、各都道府県によっては岩手県のように「裾等によって運転の障害となるような和服等を着用して運転すること」と明記した上で禁じているところもある(岩手県道路交通法施行細則14条1号)。なぜ、各地でルールが違う?


「道路交通法71条各号は、運転者の遵守事項について規定をしています。ただ、交通の状況は、各地域で状況が異なっていることから、道路交通法71条6号は、都道府県の道路又は交通の状況から、都道府県公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認める事項については、これを定めることができることとしています。


道路交通法は、地域性に配慮して、各地の都道府県公安委員会に規律を委ねている条文が多くあります。各地の公安委員会が道路交通法の委任を受けて策定した規則が、『道路交通法施行細則』なのです。それゆえ、運転するときの履物・衣服の禁止事項についても各都道府県で異なっているのは、道路交通法が予定しているところなのです。


例えば、今回問題となっている福井県道路交通法施行細則16条3号は、『下駄、スリッパその他運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物または衣服を着用して車両(足踏自転車を除く。)を運転しないこと。』と規定し、履物のみならず衣服も規制対象としていますが、大分県道路交通法施行細則14条6号は、『げた、スリッパその他運転操作を妨げるおそれのある履物を履いて車両(軽車両を除く。)を運転しないこと。』と履物のみを規制対象としています」


●運転操作を妨げるおそれのある履物・衣服、昔から問題

今回、「僧衣は仕事着である」として仏教界から批判が強かったが、線引きはどこにある?



「今回問題となっている『運転操作を妨げるおそれのある』履物・衣服の要件該当性については、昔から問題となってきました。


例えば、札幌高裁昭和37年8月21日判決は、下駄やスリッパとともにサンダルも『運転操作を妨げるおそれのある』履物に該当するとしましたが、東京高裁昭和39年6月29日判決は、草履は『運転操作を妨げるおそれのある』履物ではないとしています。裁判実務上、『運転操作を妨げるおそれがある』か否かは、具体的事案における履物・衣服の形状から判断して、運転操作の妨げとなるものに該当するかどうかで決定すべきであるとされています。



全国的に見て履物のみならず衣服までも規制対象としている都道府県は少ないようですが(東京都、大阪府、神奈川県は、履物のみを規制対象としています)、衣服が規制対象となっている都道府県の場合は、衣服が運転の際に注意を奪うようなものであるか、ハンドル、ブレーキペダル、変速ペダル等の操作に支障をきたすものであるかどうかに気を付けるべきです。例えば、振袖のような袖が長い衣服などは、『運転操作を妨げるおそれがある』と見られる場合もあるでしょう。


今回問題となっている事案の場合、反則金の支払を拒否されているようですので、場合によっては、起訴されて最終的には裁判所の判断が示されることになると思います(なお、道路交通法71条6号違反の罰則は、5万円以下の罰金です)。どのような結論になるか引き続き注目していきたいと思いますが、実情に見合った常識的な結論に落ち着いて欲しいものです」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
本間 久雄(ほんま・ひさお)弁護士
平成20年弁護士登録。東京大学法学部卒業・慶應義塾大学法科大学院卒業。宗教法人及び僧侶・寺族関係者に関する事件を多数取り扱う。近著に「寺院法務の実務と書式−基礎知識から運営・管理・税務まで−」(民事法研究会)がある。
事務所名:横浜関内法律事務所
事務所URL:http://jiinhoumu.com/


このニュースに関するつぶやき

  • 坊主憎けりゃ袈裟まで憎し。 坊さんが棒を持ったら少林寺。
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  • これが、福井県警管轄じゃなく京都府警管轄での話だったら大騒ぎもんだろうな。
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