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中小企業のデジタル変革に向けて複写機が“大変身”――リコーの新戦略とは

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2019年01月15日 11:53  ITmediaエンタープライズ

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ITmediaエンタープライズ

写真中小企業が抱える課題
中小企業が抱える課題

 「これまで“複写機のリコー”といわれてきたが、これからは“ワークプレイスサービスのリコー”といわれるようになりたい」――。リコーの山下良則社長は、同社が先頃開いた新製品の発表会見でこう強調した。



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 新製品とは、「業務プロセスをデジタル化し、中小企業の生産性革新に貢献する」と銘打った「RICOH Intelligent WorkCore」と呼ぶソリューションである。その中身は、新たに発売する複合機「RICOH IM Cシリーズ」の7機種16モデルと、クラウドプラットフォーム「RICOH Smart Integration(RSI)」を介して提供する各種クラウドサービスを組み合わせたものだ。(図1)



 RICOH IM Cシリーズは、複合機本体の導入後も基本性能を最新の状態にアップデートできる「RICOH Always Current Technology」を初めて実装。これにより、さまざまな業種の業務に対応した最新クラウドサービスとの連携によるワークフロー改善や、最先端のセキュリティ機能への対応を実現し、顧客企業が取り組む働き方改革を支援するとしている。



 新ソリューションでは、RSIアプリケーションとして提供するAI(人工知能)を活用したOCR(光学的文字認識)機能により、複合機が紙ドキュメントの情報をデジタルデータ化するための“ゲートウェイ”となり、クラウドサービスとシームレスに連携した効率的なワークフローを実現できる。これにより、中小企業を中心に残っている紙ドキュメントによる業務プロセスをデジタル化して変革することで、企業規模を問わずオフィス業務の生産性向上に貢献するという。



 新ソリューションの詳しい内容については発表資料をご覧いただくとして、ここからはその背景にある同社の思惑を探ってみたい。



 冒頭の発言で、複写機メーカーからワークプレイス(働く場)に関するサービスを提供するプロバイダーへの転身を宣言したリコーの山下氏は、今回の動きの背景として、ユーザー企業が抱える課題が3つあると話した。図2に示すように、「紙と電子データとの壁」「業務と業務との壁」「企業と企業との壁」である。



 そのうえで同氏は、その3つの壁に対処するとともに、利用が広がるクラウドサービスを柔軟かつ容易に取り込めるようにしたいと考えたのが、新ソリューションの発想につながったと説明した。



●スマートフォンに例えられる新型複合機、RPAも可能に



 山下氏の説明でユニークだったのは、今回の新しい複合機をスマートフォンに例えたことだ。どういうことか。



 同氏によると、人々のライフスタイルを変えたスマートフォンの魅力は、アプリもインタフェースも好みに合わせていつでも変えられる「パーソナライズ」、購入した後も常に最新の状態にアップデートできる「いつでも最新」、ユーザーが導入障壁を感じずにITが生活の一部になる「ITが身近に」と、3つのキーワードを挙げることができる。



 これに対し、今回の新しい複合機も、個々の企業の好みに合わせて変わる「パーソナライズ」、導入後も進化し続ける「いつでも最新」、企業のクラウド利用を後押しする「ITが身近に」といったように、スマートフォンと同様の価値を提供することができるという。



 具体的には、「パーソナライズ」では2019年3月末に100種類の品ぞろえを予定しているアプリケーション群や月単位の契約が可能な料金体系(サブスクリプションモデル)、「いつでも最新」ではユーザーによる作業でアップデートが可能なことや常に強固なセキュリティ、「ITが身近に」では新しい複合機がクラウドサービスのポータルとなって企業のIT利用を促進する、といったところだ。



 先に紹介した図1をあらためて見て、複合機をスマートフォンに置き換えても、さほど違和感がないということだろう。イメージとしては分かりやすい説明である。



 実は、IT分野で同じようにスマートフォンに例えられた製品がある。サーバやストレージ、ネットワーク機能を1つの筐体に集約したハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品だ。数年前、HCI分野の草分けである米Nutanixの首脳が会見で「HCIのコンセプトはスマートフォンと同じ」と説明していた。



 今回の新しい複合機がHCI製品と共通するところがあるとすれば、オンプレミスながらパブリッククラウドサービスと容易に連携を図ることができる「ハイブリッドクラウド機」である点ではないだろうか。



 もう1つ気になったのは、今回の新しい複合機はまさしくRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)機能を搭載しているが、同社はほとんどRPAという言葉を使っていなかった点だ。おそらく何らかの事業戦略上のすみ分けがあるのだろう。そんな勘繰りは別として、できることは間違いなくRPAである。



 同社が新ソリューションによって促進したいのは、主に中小企業のデジタル変革である。既に複写機あるいは複合機は、ほとんどの中小企業で利用されている。そう考えると、複写機の“大変身”が中小企業のデジタル変革の原動力になるかもしれない。


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