ホーム > mixiニュース > IT・インターネット > IT総合 > 「新元号」がソフトウェアに与える影響はどのくらい? 弥生のエンジニアに聞いてみた

「新元号」がソフトウェアに与える影響はどのくらい? 弥生のエンジニアに聞いてみた

1

2019年01月16日 10:43  ITmediaエンタープライズ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmediaエンタープライズ

写真現場のプロが語る、新元号の影響とは……?
現場のプロが語る、新元号の影響とは……?

 2019年5月1日、平成が終わり、新たな元号がスタートを切ります。皆さんが普段触れているITの世界では、これを機に一体どんなことが起こるのか、考えたことはありますか?



【その他の画像】



 私は以前にもこのお話を本コラムで取り上げたことがあり、そこでは「2000年問題のようなことは起きない、でも気を付けるべきポイントは別にある」という内容をお伝えしました。新元号が4月1日に発表されるという一報があったからか、その記事が再び注目を集めています。



 実はこのコラム、ITとは関係のないところでよく読まれたようで、筆者もこれまでとは毛色の違う雑誌などにコメントを求められる機会が増え、反響に驚いています。



●新元号を「弥生」はどう捉えている?



 そこで、ITmedia編集部のつながりから、実際にソフトハウス(注)はどのようにこの新元号を捉えているのか、関係者から話を聞いてみることにしました。今回お話を聞いたのは、日本の中堅企業向けに会計処理ソフトウェアを開発する「弥生」のエンジニアです。



注:ソフトハウス(software house):ソフトウェアを開発、販売する企業のこと



 弥生では既に、2018年10月19日の時点で新元号対応へのアナウンスを行っています。この中では、「新元号の正式決定後、対応プログラムをオンラインで提供する」とあります。弥生はクラウドサービスだけでなく、デスクトップアプリでも会計パッケージを提供していますが、その両方でアップデートが行われることになります。また、比較的新しいクラウドサービス「Misoca」では西暦表示のみ、というのも興味深いところですね。



 弥生のエンジニアが予想する「新元号」の影響とは、どのようなことなのでしょうか。開発本部のシニアテクニカルリーダーである黒木進矢氏、そしてマーケティング本部 ビジネス戦略チーム 担当マネジャーの望月悠史氏に聞いてみました。



 すると、黒木氏と望月氏からは、次のような答えが返ってきました。



 「(対応のための)作業は多岐にわたるものの、基本的に大きな影響はないというのが率直な現状です」



 一体どういうことかというと、そもそもコンピュータの中では「UNIX時間」と呼ばれる、UTC(協定世界時)1970年1月1日午前0時0分0秒からの経過秒数をもとにした数値で日付を処理しているため、元号が変わったところで、システム内部での処理には問題ないのです。



 一方、彼らが「作業は多岐にわたるものの」と語った“作業”とは具体的に何か聞いたところ、「(彼らが大量に扱う)国税庁の帳票には元号が含まれているものがあるため、どの帳票や画面に『元号』があるか把握する作業が必要」とのことでした。とはいえ、これは困難な作業というよりも量が多いだけで、「力業で何とかできる」そうです。



 別の視点から見ると、例えば普通自動車免許の有効期限のように、「平成32年」といった“もはや存在しない年”が公式の文書に表示されている場合もあるわけです。新元号の発表がスタートのわずか1ケ月前、ということを考えると、「そのような表記は許されない」などという空気もないでしょう。



 こうした事情を考えると、私たちが今できる新元号への対応は、



・元号表記が存在する画面、帳票を把握する



・元号表記が存在した場合、それが即座に新元号に変更されない場合のリスクがあるかを把握する



・元号対応のアップデートがいつ公開されるかを把握し、テストスケジュールを確保する



 といった内容に集約されるかもしれません。



●Unicode「U+32FF」が新元号のために確保済み



 さて、新元号が4月1日に発表されるという一報を受けて、「その背景には、Windowsの更新プログラム配信時期が関係しているのでは」という見解を示した記事もありました。この記事の論旨を分かりやすく書けば、「定期的なWindows Updateが2019年4月10日、5月8日に行われるため、4月1日に新元号が発表されれば、4月10日配信分の更新に新元号を組み込めるだろう」ということなのです。



 ただし、個人的な立場から言わせてもらえば、この記事の説得力については何ともコメントし難いのが正直なところです。



 私が「コメントし難い」と考えた理由には、こうした大規模なアップデートが予定通りに成功するとは限らないという現状があります。Microsoftは最近、大規模なアップデートである「October 2018 Update(1809)」に1ケ月半ほど遅延を起こしたり、最近も「Excel 2010」に対するアップデートでトラブルを起こしたりしています。また、日本のITに深く根ざしたExcelは、元号の影響を最も大きく受けるシステムかもしれません。



 新元号の発表に合わせたOSのアップデート内容としては、Unicode上に合字用のコードポイントとして確保されている「U+32FF」に、発表された新元号が入ることが含まれます。つまりどういうことかというと、例えば、元号の2文字を1文字分のスペースに表す、いわゆる“合字”で書いた「平成」を検索した場合でも、普通にタイピングした「平成」がヒットするように正規化するようなロジックも必要なため、各種OSやプログラムなどにもアップデートが予定されています。



 今回の新元号対応について、私は個人的に、多くの一般人に大きな影響を及ぼすことなく完了するのではと楽観視しています。しかしそれは、「多くのOSベンダーやソフトウェア開発者の手により作られた未来である」ということも覚えておくべきでしょう。サマータイム問題も含め、この点に関する彼らの技術力の高さや対応の困難さはなかなか伝わりにくいのが実情です。そのため、今回の対応の記録や、過去の事例から学ぶことは大変有用ではないでしょうか。



 その意味では、鈴木正朝氏が取り上げた「コンピュータ西暦2000年問題の概要」を読んでおくと、大変勉強になります。もし、皆さんがITにおける元号問題やサマータイム問題に興味を持ったならば、ぜひご一読をお勧めします。


このニュースに関するつぶやき

  • 混乱の予感… 発表から施行まで1ヶ月しか無いし、年度の途中で元号が変わるし… (∩´﹏`∩)
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

あなたにおすすめ

ランキングIT・インターネット

前日のランキングへ

ニュース設定