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皮膚にしこり「痛くないからがんではない」は間違い 皮膚科医が考える五つの症状とは?

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2019年01月18日 07:02  AERA dot.

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写真大塚篤司/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
大塚篤司/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
 皮膚にしこりができると「皮膚がん」ではないかと心配になります。京都大学医学部特定准教授で皮膚科医の大塚篤司医師が、皮膚のしこりについて解説します。

*  *  *
 医学生だったある日、私は首のしこりに気がつき心配になりました。

 臆病者の私はそれから1カ月間しこりを放置。がん告知を覚悟のうえ病院を受診しました。

 触診と血液検査をしてもらった後、担当医師は言いました。

「たぶん大丈夫です。もし大きくなってきたらまた受診してください」

 さいわい、私の首のしこりは炎症をおこしたリンパ節。がんではありませんでした。

 皮膚科医は、しこりを心配する患者さんをしばしば診察します。医学生の頃の私と同じように、がんを心配しての受診。皮膚がんは早期発見で治癒することが多く、セルフチェックが大事です。では、しこりに触れた場合、医師は何を考えどう判断しているのでしょうか? 今回は皮膚のしこりに気がついたとき、考えるべき五つの症状について解説します。

■「痛くありません」

 患者さんから聞くことが最も多い言葉です。痛くないので悪いものではない。がんであってほしくない。不安を自ら打ち消すように「痛くありません」と言って受診する患者さんが多いように感じます。しかし、痛いか痛くないかは悪性かどうかと全く関係がありません。痛みの感覚は、皮膚の末梢(まっしょう)神経を介して起こります。痛みを感じるということは、末梢神経を刺激しているということ。多くは、細菌感染などにより炎症が起きた場合に痛みを感じます。がんの場合、痛みが出ないものがほとんどです。まれにがんが大きくなって神経を巻きこんだり、がんの部分が感染を起こしたりすると痛みが出ます。痛くないからといってがんではないと自己判断するのは大変危険です。

■「しこりが増えてきました」

 しこりの数が増えてきた場合は、注意が必要です。悪性のものが転移している可能性があります。皮膚がんが転移したもの以外に、内臓にできたがんが皮膚に転移したもの、脂肪組織や筋肉にできたがんが増えたなど、いくつかの可能性が考えられます。また、リンパ腫(白血球の中のリンパ球ががん化したもの)などは複数のリンパ節が腫れてきます。しこりが増えてきたときは、良性の場合もありますが、検査をしっかり受けることをおすすめします。

■「しこりの部分が臭います」

 しこりの部分が臭う場合、感染を起こしている可能性があります。白いドロッとした膿(うみ)が中から出てくる場合の多くは、粉瘤(ふんりゅう)という良性腫瘍(しゅよう)。脂肪のかたまりと呼ばれることもありますが、中身は脂肪ではありません。別名アテローマともいい、ニキビが大きく育ったものとイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。しこりは袋になっており、その中にはあかがたまります。少しずつ大きくなり、いずれ破裂します。しこりの中身は汚いため、漏れ出れば炎症を起こします。袋を取り除かない限りは再発を繰り返すのが粉瘤です。臭うしこりの多くは粉瘤ですが、がんが感染を起こした場合も、膿が出て臭います。臭うから良性で安心というわけではありません。

■「しこりの部分がかゆいです」

 皮膚がんでかゆくなることはまずありません。かゆかった部分をかき続けてしこりになることがあります。ぽこっと大きくなったかゆみのあるできものを痒疹(ようしん)といいます。虫刺されのあとに似たできものです。痒疹はアトピー患者さん以外にもできます。湿疹を長期間かきむしると痒疹へと変化し、治りにくいことが知られています。痒疹に変化する前の湿疹の段階で早めに治療することが大切です。

■「黒いしこり(ほくろ)が気になります」

 黒いできもので多いのが、脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)という良性腫瘍。紫外線の影響が考えられています。年齢とともに顔や首に増えてくる黒色のできもののほとんどがこの脂漏性角化症です。

 黒い皮膚がんで有名なのはメラノーマ(悪性黒色腫、あくせいこくしょくしゅ)。ほくろのがんといわれるものです。メラノーマの場合、平坦に広がっていくものもあれば、しこりになって増大していくものもあります。このメラノーマ、皮膚の奥深くにがんが進展していくほど予後が悪いと言われています。しこりを感じるということは厚みがあるということで注意が必要です。ほくろかメラノーマかを判別するにはABCDルールというものがあります(ABCDルールについては過去の記事を参照してください)。

 基底(きてい)細胞がんという皮膚腫瘍もあります。これも黒く、進行するとしこりになります。脂漏性角化症と同じく、高齢者の顔にできることが多い皮膚がんです。さいわい、基底細胞がんは皮膚がんの中でも悪くないタイプのがんです。転移することはほとんどありません。しかし、放置しておけば必ず大きくなり、がんが進行すると骨まで溶かします。早期発見、早期治療が大切です。

■まとめ

 大事なので繰り返しますが「痛くないから悪性ではない」、これは間違いです。がんは痛くないことのほうが多い。また、痛みが出る場合は感染を起こしている可能性を考えます。

 私たち皮膚科医はしこりを触り、硬さ、動きやすさを確認します。外来で超音波(エコー)検査をすることもありますし、しこりが深い場合はCTやMRIの画像検査をします。

 しかし、最終的に診断するには、手術をして病理検査を行う必要があります。私が医学生の頃に首のしこりで相談した医師が「たぶん大丈夫」と言った「たぶん」は、病理検査の確認までしていなかったためです。触診や血液検査、画像検査である程度の予想はつきますが、最終診断は病理組織検査です。皮膚にしこりができた場合、素人判断は避け、皮膚科専門医を受診することをお勧めします。

◯大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医。がん薬物治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

【おすすめ記事】ほくろと思っていたら皮膚のがんだった! 医師が教える見分け方「ABCDルール」


このニュースに関するつぶやき

  • …右の首筋にアテローム出来て化膿したなー、切開手術した際に麻酔効いてない部分まで切られたが歯ァ食いしばって耐えた。
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  • 逆に「痛いから癌じゃない」と言われ、癌だった私が通りますよっと!
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