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博多っ子のソウルフードを生み出した夫婦の実話! 特許申請はしないこだわり『めんたいぴりり』

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2019年01月20日 00:03  日刊サイゾー

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日刊サイゾー

写真博多華丸、富田靖子ら福岡出身者によるネイティブな博多弁が飛び交う映画『めんたいぴりり』。博多大吉が友情出演しているのも見逃せない。
博多華丸、富田靖子ら福岡出身者によるネイティブな博多弁が飛び交う映画『めんたいぴりり』。博多大吉が友情出演しているのも見逃せない。

 福岡の名産品として人気の「からしめんたいこ」だが、歴史はそう古くはない。「ふくや」の創業者・川原俊夫がめんたいこを売り出したのが昭和24年(1949)。日韓併合時代の釜山で生まれ育った俊夫が、子どもの頃に食べていたタラコのキムチ漬けを独自にアレンジしたものだった。最初はなかなか売れなかったが、北海道産のスケトウダラの新鮮な卵を使うことで食感がグレードアップ。昭和50年(1975)の山陽新幹線の開通によって、全国区へと人気が広まった。B級グルメなれど、熱々の白いご飯の上に乗せたピンク色のめんたいこには、どこか汎アジア的なスケールの大きな風味が漂う。福岡のローカルタレントから全国区の人気タレントとなった博多華丸の初主演映画『めんたいぴりり』は、多くの人に愛されるB級グルメを生み出した“のぼせもん”の男と、その家族を描いた実話ベースの物語だ。

 映画『めんたいぴりり』は2013年に福岡のローカル局・テレビ西日本でオンエアされた連続ドラマ『めんたいぴりり』のその後を描いたものとなっている。DVD化されているので、ぜひ『めんたいぴりり』第1部・釜山編を観てほしい。本作の主人公となる海野俊之(博多華丸)とその妻・千代子(富田靖子)の青春時代から戦争体験を描いたもので、ローカルドラマと思えないほどクオリティーが高い。釜山で生まれ育った俊之と千代子は国籍は日本だが、日本本土には足を踏み入れたことがなかった。海の向こうの福岡には「博多山笠」と呼ばれる伝統の祭りがあることを知り、まだ見ぬ祖国に憧れを抱きながら2人は大人へと成長した。

 結婚した俊之と千代子は満州国で暮らし始めるが、俊之は兵役召集され激戦地となった沖縄戦線へと送られる。満州に残された千代子は、参戦したソ連軍から逃げるように子どもの手を引き、1年がかりで引き揚げ船に乗船。俊之とは終戦後の福岡でようやく再会を果たす。焼け野原状態だった福岡の中洲で、一家は小さな食料品店を営み始める。

 テレビドラマ版『めんたいぴりり』釜山編は波瀾万丈だったが、映画『めんたいぴりり』は俊之たち一家と従業員たちが織り成すほのぼの系ホームドラマとなっている。俊之が試行錯誤しながら開発したからしめんたいは徐々に知られ始め、俊之の味を真似たライバル業者が現われる。特許申請や商標登録すればいいのに、俊之はまったく無頓着だ。「めんたいこは、たかがお総菜ばい」と、同業者の石毛(柄本時生)に製造方法を教えてしまう。周囲の人々は俊之のお人よしぶりを嘆くが、俊之の特許申請はせず、訪ねてきた人には無料で作り方を教えるというオープンソースな姿勢が、後に大きな花を咲かせることになる。次々とめんたいこを売り出す業者が続き、からしめんたいは福岡を代表する名産品へと育つことになる。釜山生まれの俊之は、生粋の博多っ子よりも気っ風のいい博多っ子だった。

 沖縄戦からの帰還兵だった俊之は、戦後の自分の命は拾い物だと考えていた。お金儲けすることよりも、大陸から引き揚げてきた妻と子どもたちも受け入れてくれた福岡という街に役立つことができれば、それが喜びだった。従業員たちを食べさせることでカツカツなのに、台風で家を失った元博多人形師の丸尾(でんでん)たちを家に泊め、朝から酒を呑んでドンチャン騒ぎする。なじみのホステスのキャサリン(中澤裕子)のいるキャバレーでも気前よく散財する。家計をやり繰りする千代子はいつも頭を抱えていた。

「俺のめんたいこを食べた人には、みんな幸せになってほしか」と俊之が願いを込めて作っためんたいこは、キャバレーの客や西鉄ライオンズの選手たちにも知られ、やがて店は大繁盛することに。だが当然ながら、めんたいこを食べた人みんなが幸せな人生を歩めるわけではない。長男・健一(山時聡真)の小学校の同級生・英子(豊嶋花)は両親がおらず、アルコール依存症の叔父に引き取られてビンボー暮らしを強いられている。遠足に参加するための新しい靴もリュックもない。「幸せになる魔法のめんたいこを食べたのに、どうして私は幸せになれないの」と英子は泣く。俊之は自分ひとりの力では、不幸を生み出す社会をどうにもすることができないことを痛感する。

 現実の「ふくや」もかなりユニークな会社だ。「ふくや」の社員はPTAや町内会の役員に選ばれると特別手当てが支給され、授業参観や運動会などの地元のイベントに積極的に参加することが奨励されている。企業として利潤を生み出すだけでなく、従業員たちが暮らしている町そのものを明るく活性化させることを社風としている。創業者の精神を今も受け継いで、からしめんたいこの製造・販売に励んでいる。トヨタ自動車のような大企業ではないものの、博多っ子気質を感じさせる「ふくや」は福岡の人たちから愛されるブランドとなっている。

 劇中の千代子は夫のことを「この、のぼせもんが!」と、たびたび罵倒する。“のぼせもん”とは、目の前のことに熱中しすぎてしまう直情型人間のことを揶揄した福岡のローカルスラング。福岡には前後の見境なく、突っ走ってしまう“のぼせもん”気質の人間が多く、家族や周囲の人間はその尻ぬぐいで苦労するはめになる。ちなみに「ふくや」の包装紙に印刷されている音符のフォルテのような形をした「F」の文字は、創業者・川原俊夫の妻・千鶴子と初代番頭・焼山徳重が50年前に考案したデザインをベースにしたものだ。よき理解者たちに支えられ、俊之はその生涯を“のぼせもん”として過ごすことができた。「みんなを幸せにしたい」と願っていた男は、実はいちばんの幸せものだった。
(文=長野辰次)

映画『めんたいぴりり』
原作/川原健 脚本/東憲司 監督/江口カン
出演/博多華丸、富田靖子、斉藤優(パラシュート部隊)、瀬口寛之、福場俊策、井上佳子、山時聡真、増永成遥、豊嶋花、酒匂美代子、ゴリけん、博多大吉、中澤裕子、眦脹簓А吉本実憂、柄本時生、田中健、でんでん
配給/よしもとクリエイティブ・エージェンシー 1月18日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
C)2019めんたいぴりり製作委員会
http://piriri_movie.official-movie.com/

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