【海外出産奮闘記#2】「誰かのお母さん」になりつつある不安…。〜夫とのアメリカ・マタニティライフ編〜

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2019年01月20日 22:02  &Mama

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大学卒業後、まともに就職活動もせず、ふと見つけた広告に応募し採用され、現代美術ギャラリーで楽しく働いていた私に向かって、ある日母はこう言放ちました。


「あんたはきっと“いきおくれ”て、30過ぎで猫と一緒に1人暮らしするんでしょうね」と……。


しかし、人生には時に天変地異の如き出来事が降り掛かります。25歳で出会った彼と、次の日からおつきあいをスタート。半年後に妊娠、入籍する事に!


突然のおめでた、両親からの嫌味、そして怒涛の渡米までをお届けした前回


まるで牢獄のようなアメリカへのフライトの後、待ちわびた夢の様なドキドキ新婚生活!


「夫とのアメリカ・マタニティライフ編」をお届けします。



ドキドキワクワク!新婚生活

私たちはおつきあいを始めて約半年で妊娠、結婚を決めました。


ですから週末毎に会っていたとしても、トータルで会った日数はそれほど多くありません。多くて50日程度。


ですから、「もう今日からは、デートの後に別々の家に帰らなくてもいいんだ!」という事実が嬉しく、ワクワクしている私でしたが、新婚生活はそれほど甘いものでは無かったのです……。



日系スーパーでの「夫の失言」に愕然としたある日の出来事

ボストンは、公共交通機関が充実している便利な街です。それでも週に1度の買い物は、当時は画期的だった“カーシェアリング”を利用して、大量に買い込んだものです。


韓国系スーパーでは海苔や牛の薄切り肉を、中国系スーパーでは葉野菜や豚の塊肉などと使い分けるのが常でした。


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ある日、夫と日系スーパーを物色していた時の事です。とある缶ジュースが目に入りました。大きくカタカナで「フキゲン」と書いてあります。


文字と一緒に、仏頂面の表情のキャラクターも描かれていたと思います。


私は横目でそれをちらと見て、「フキゲンだって。ジュースなのに、へんなの」と思い、そのまま通り過ぎようとしました。すると夫がふと足を止め、フフフと笑ったのです。そして私にこう言いました。


「見てこれ、まるでmicaみたいだね」と。 



不満ばかりの新婚生活

新婚生活は驚きの連続でした。全く赤の他人、異なる文化で育った2人が一緒に暮らすのですから、当然と言えば当然です。


しかし、実際に違いを目の当たりにすると、疑問と苛立ちで頭がいっぱいになります。


シャワーの後の毛の飛び散りに仰天し、箸をゆすいだ後もふきんで拭かず、びしょびしょのまま使う様を唖然と眺め、ジーンズが抜け殻のように脱ぎっぱなし、脱いだ靴下がテーブルの上に乗っているのを見て怒りに震える……。


私はいつしか、自分と彼との違い、イライラするポイントばかりを見つけていたように思います。


心躍る新婚生活は、いつのまにか私の“フキゲンな顔”に塗り替えられていました。


その事実を、夫のあの一言でサラリと突きつけられたと言うわけです。



爆発のきっかけは「姑からの布おむつ」

ある日夫から「布おむつは赤ちゃんにいいんだって」という情報とともに、布おむつの束を渡されました。姑が送ってくれたのです。


今でこそ自然派を自負する私ですが、当時は新米で知識は皆無です。


姑からの心遣いは若く未熟な私にとって、純度100%のプレッシャーとなり心に重くのしかかりました。


数日思い悩み続けた私に全く気付いていない夫に向かって、「布おむつは気が重いなあ……」と呟きました。


「気にしなくて良いよ、使わなくて良いよ」と言ってほしかったのです。しかし、夫はそうは言ってはくれませんでした。


「でも、いいことがあるんだってよ、あれも、これも」と言う風に、姑からの受け売りを悪気無く語り始めました。


私の不満は爆発しました。



「誰かのお母さん」になる不安に、初めて気付いた瞬間
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初めての海外生活、仕事をやめて自分の肩書きが無くなり、ただの「夫の奥さん」になったこと、娘だった自分が“誰かのお母さん”になりつつあること、数えきれないほどの不安が静かに降り積もる雪のように私の心を覆い尽くしていました。


そんな私は、新しい事にチャレンジする意欲はありませんでした。


私は家を飛び出していました。涙が後から後から、とめどもなく溢れて止まりません。


大きなお腹を抱えて泣きながら歩いていると、お腹の中で赤ちゃんが落ち着きなく“うごめき”ました。


「ごめんよ、ちゃんとしたお母さんになんて、到底なれないよ……」と情けない気持ちで、お腹をなでながら臆面なく、「えーん、ひーん」と声を出して夕暮れのケンブリッジの街を歩き回っていました。


時は夏の終わり、これからやってくるボストンの冬を予感させる冷たい風が、時折私の頬をヒヤリとなでました。



夫婦として、手をとって歩き出す私たち

どれくらいの時間歩き回っていたのか、気付くと夫が、足早にこちらへ歩いてくるのが見えました。


私の手を取って、「帰ろう」と一言。私たちは手を繋いで、家に向かって歩き始めました。私たちの歴史がスタートした、チャールズ川沿いのアパートに向かって。


私はまだ泣いていました。夫は「布おむつは使わなくていいよ、micaの好きにして良いんだよ」と言ってくれました。


許された安心感で、その夜は泥のように眠りにつきました。私たちは未熟な人間同士です。繰り返し間違え、そして繰り返し許し合って生きていく。


仲直りしたら、手を繋ぐ。それはその時から、10年経った今でも変わらない、夫と私の関係です。



★今回の教訓★


(1)アメリカは人種のサラダ・ボウル。「各民族系スーパー」は特色を抑えて賢く利用すべし


(2)いつのまにか眉間に皺が刻まれていないか、妻は定期的にチェックすべし(ふとした拍子に「フキゲン」と言われるかもしれません)


(3)男性諸君、“姑の受け売り的”態度は絶対に避けるべし


(4)夫婦ゲンカのあとは必ず仲直りすべし




次回は「実母到着!母の気遣いお産扱い編」をお届けします。



(2016年6月14日配信の記事を再掲載しています)


【画像】
※ Africa Studio / NotarYES – Shutterstock


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