「長距離ドライバー」にスポットをあてた約3年ぶりのボスCM続編 再び人の心震わせる

232

2019年02月12日 13:11  おたくま経済新聞

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

おたくま経済新聞

「長距離ドライバー」にスポットをあてた約3年ぶりのボスCM続編 再び人の心震わせる

 トラック運転手の中でも「長距離ドライバー」とよばれる人たちの人生の一瞬にスポットをあてた、サントリーボスTVCM「ヘッドライト・テールライト」篇が、約3年ぶりに続編を放映し、反響を呼んでいます。


【さらに詳しい元の記事はこちら】


 「地球調査シリーズ」の一つとして作られたこの作品は、2015年に前作が放映されています。2015年版では、プライドをもって仕事をしているものの周囲からは簡単な仕事と冷やかされ悩む若手トラックドライバー、思春期の娘との時間を大切にしたいと思いつつもすれ違い多いことで悩むママドライバー、離れて暮らす年老いた母と、母が大切にしている農家を継ぐかで葛藤するベテランドライバー、三者三様の人生模様をわずかな時間でうつしだし、さりげない描写を通じて多くの人の心を震わせました。


 その続編が、2月2日から放映されている「ヘッドライト・テールライト2019」篇。テレビCMとして放映されているほか、ネット配信も行われています。見た人からは「(トラック運転手だった)お父さんを思い出した」「いいCM」「これでトラックドライバーのこと少しでも理解してくれたら……」といったコメントが続々。再び様々な人の心を震わせているようです。ちなみに動画は約1週間で177万再生を突破しています。


 2019年篇で主人公を演じているのは、お笑い芸人の木村祐一さん。深夜高速道路を走らせながら、ふと先日参加した同窓会での出来事を思い出します。バックに流れるのは、中島みゆきさんの名曲「ヘッドライト・テールライト」。


 同窓会の回想シーンで、木村さんは一流企業で出世した同級生たちに囲まれています。するとそのうちの一人が「トラックドライバーか。かっこええなぁ。日本の物流を支えちゃってるってわけや。なぁ?」と話しかけてきました。同級生からしたら何気ない言葉だったのかもしれませんが、木村さんの気持ちには何か引っかかるものが残ってしまいました。


 ムシャクシャした気分で歩いていた同窓会の帰り道、木村さんの前には誰かが忘れていったボールが。そこで転がっていたボールを思いっきり蹴ると、偶然通りかかった見知らぬサラリーマン(尾美としのりさん)を直撃します。「すみません!」と慌てて駆け寄ると、それをきっかけに二人で公園のベンチに腰掛け話込むことに。すると尾美さんから、まるで今の自分を励ますような言葉がかけられます。「へぇ、トラック運転手やってるんだ、ちょっと憧れるなぁ」。


 同級生からの茶化したような言葉と、尾美さんからの言葉。二つの言葉が頭を巡ります。


 次の場面は国道沿いにある、トラックドライバー御用達のラーメン屋。ラーメンに手をつけることも忘れて考え込んでいると、看板娘の小学生のチエちゃん(新井美羽さん)から「はよ食べな」「ボーッとしてたら冷めるで?」と叱られてしまいました。そこでふと、「チエちゃん、オレはなんのために走ってるんやろ」と尋ねる木村さん。するとチエちゃんは「そんなん知らんわ」と言い放つのでした。


 木村さんが店の外でぼんやりボスを飲んでいると、ちょうど通りかかったトラックドライバーの宇宙人ジョーンズ(トミー・リー・ジョーンズさん)。浮かない様子の木村さんに何かを感じたのか、夜空を見上げて軽くウインク。すると、分厚く覆われていた雲間から突如、巨大な満月が姿を現します。それを見て、「うわっ!」と目を丸くする木村さん。笑みがこぼれます。


 トラックに乗り込んで、気分も新たに「もうちょっと走るか……」とつぶやく姿に、「この惑星では、誰もが、長いドライブを続けている」というナレーションが重なるのでした。


 ほんの一瞬一瞬を切り取った、わずか30秒ほどのドラマ。一人の長距離ドライバーを通じた物語には、ストレートな言葉はありませんが、見た人に何かを訴えかけるメッセージ性が感じられます。徳川家康の遺訓「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし、急ぐべからず」にも通じるようなCMですね。


 なお、この物語の途中で出てくるチエちゃん。木村さんが声の出演をしているNHKの某人気番組のパロディでは?とネットでは指摘されていました。それに深刻な木村さんと、あっけらかんとしたチエちゃん。その二人のやりとりの場面が不意打ちででてくるため、思わずふふっとなる人が少なくないようです。


 実は筆者の父も元トレーラーのドライバー。このため3年前のCM放映時もなにげなく目にし……そして思わずみいったことを覚えています。「気楽な仕事」「人間関係きにしなくていいよね」「荷物運ぶだけの簡単な仕事なんでしょ」「仕事で全国旅できるっていいよなー」そんな言葉を親戚や知人等からかけられる父をずっと目にしてきました。子供の頃は、「お父さんってそんな自由人なんかな?」と思ってしまう時もあったけれど、大人になったからわかる。そんなことない「お父さんずっと頑張ってた」。このシリーズを見る度に、ふと当時を思い出し何だか温かいような、子供の頃の私の考えが浅はかだったと恥ずかしくなるような。そんなことを考えさせられるのです。


 日本の物流業界には沢山の人が関わり合っています。日々届く荷物は必ず誰かの手を介したもの。その中の一人である、名も無きヒーロー「長距離ドライバー」にスポットをあてた「ヘッドライト・テールライト」篇。ネットではYouTube「サントリー公式チャンネル」にて15秒版、30秒版が配信されています。


<参考>
サントリー食品インターナショナル株式会社(2月5日プレスリリース)


(宮崎美和子)


このニュースに関するつぶやき

  • どの仕事も、その仕事の大変さや頑張っているかは本人が一番よく知っているし、支える家族はそれをしっかり見ている。
    • イイネ!64
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(163件)

ニュース設定