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G-SHOCKはなぜ壊れない? 品質保証実験室を取材しました

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2019年02月13日 08:01  ヒトメボ

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ヒトメボ

写真G-SHOCKはなぜ壊れない? 品質保証実験室を取材しました
G-SHOCKはなぜ壊れない? 品質保証実験室を取材しました
1983年の発売以来、世界中で愛されている腕時計『G-SHOCK』。1990年代には日本で大ブームとなり、その際に購入したという人も多いでしょう。そんなG-SHOCK最大の特徴は、やはり「耐久性」です。1980年代にアメリカで大ヒットしたのも、この耐久性の高さが要因でした。そこで今回は、G-SHOCKの耐久性や安全性を高めるためにどんな試験が行われているのかを取材してみました。

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●G-SHOCK誕生の歴史は?
今回訪れたのは、東京都羽村市にある「カシオ計算機株式会社」の羽村技術センターです。ここでG-SHOCKをはじめとするカシオのさまざまな製品の技術開発が行われています。そんな羽村技術センターの一角に、腕時計の品質保証試験を行う施設があります。カシオ計算機株式会社品質保証部の小山睦さんと、小川翔平さんに案内してもらいました。

品質保証実験室では、G-SHOCKの歴史やメカニズムについての展示も行っています。どんな試験を行っているのかを見る前に、G-SHOCKの歴史やメカニズムについて伺いました。



G-SHOCKは、1981年に技術部外装設計に所属していた伊部菊雄さんが「落としても壊れない時計」という一文のみの企画書を提出したことがきっかけで開発が始まりました。とはいえ、落としても壊れない時計はそう簡単には作れません。伊部さんは時計をゴムでぐるぐる巻きにして3階のトイレの窓から落とす実験などを行い、壊れない仕組みを考えようとします。しかし、なかなか成果は出なかったといいます。



その後、時計の心臓部を5つのパーツで保護する構造を考えますが、それだけではまだ高い耐久性を得られませんでした。結果が出ないまま月日は流れ、伊部さんは辞表を出そうと決意するまで追い込まれます。しかし辞表を出す直前に、偶然立ち寄った公園で女の子がゴムまりを地面についていたのを見て、「時計の心臓部を浮かせることで衝撃を伝えにくくする構造」を思いつきました。このアイデアが功を奏し、ついにG-SHOCKが誕生。1983年4月に発売されたのです。



展示スペースには、アナログタイプとデジタルタイプのG-SHOCKをパーツごとに分解して並べた資料も展示されていました。








●G-SHOCKの耐久性を支える過酷な試験!
全世界で評価されているG-SHOCKをはじめとするカシオの製品は、厳しい品質評価を受けています。2018年12月17日時点で、評価規格の数は全部で183項目。このうち、一つの製品が受けるのは100項目ほどになるとのこと。試験項目は、見直しによって増減しますが、現在は年に5つ程のペースで増えているそうです。



G-SHOCKの品質評価は、落としたりたたいたりといった衝撃試験の他に、暖かいところから寒いところへと急激に環境を変える温度負荷、泥の中などの過酷な環境下でも動作するかの特殊環境試験など、さまざまな項目で行われています。



また、派手な試験ばかりではなく、衣服を想定した布にずっとこすられることによる部品の摩耗や、人工汗を使った腐食や変色を調べる試験など、地味ながらも重要な試験もあります。

今回は、その一部を見学させてもらいました。まずは「耐泥性試験」からです。

※一部の試験は動画も撮影させていただいたので、合わせてご覧ください。





こちらは「マッドレジスト」という防塵、防泥構造の製品で行われる「泥水の中でボタンを押し続ける試験」です。定められた公的規格を参考にした、さまざまな条件の泥の中で腕時計が正常に機能するかを試験します。試験ですので、何千回とひたすらボタンを押し続けます。ちなみにこの耐泥試験機は2018年の春にデビューした「新入り」なのだそうです。



同じく「ボタンを押し続ける試験」ですが、こちらは普通の水の中で行います。ダイバーズモデルでの水中ボタン耐久試験です。こちらも何千回とひたすらボタンを押し続けますが、昔は人力で行っていたそうです。再現性が確保しづらいことや回数を数え続けることが大変なため、機械化されたとのこと。



これは防水性能を評価するもの。中はつぼ状になっており、製品をこの中に入れて加圧することで深い水中の環境を再現しています。開発段階だけでなく、出荷前の製品でも全て問題ないか試験を行っているそうです。


●ハンマーで容赦なくたたく!


G-SHOCKのプロモーションビデオなどでも目にすることの多い「ハンマーでたたく試験」です。「ハンマー衝撃試験」と呼ばれ、およそ5kgのハンマーを使ってさまざまな方向から繰り返したたきます。



ハンマーの角度は製品によって変わりますが、G-SHOCKは一番上までハンマーを持ち上げます。筆者も実際に行わせてもらったのですが、少し引いてしまうほど容赦のない一撃が加えられました。



製品に衝突する部分には白い素材が貼り付けられています。一見軟らかそうに見えますが、これは公的規格を参考にした硬い樹脂です。



「静電気試験」では、銃タイプの機器から発する静電気を製品に当て、正常に作動するかをチェックします。国際規格の他にも、ユーザーからの意見を元にして新たに設けられた独自の規格での静電気試験も行っているそうです。

この独自の規格というのは、セーターを脱いだときなど日常生活の中で起こる静電気の影響を調べるためのものです。現在は試験機器で行っていますが、以前は静電気が起こりやすいようにキンキンに冷やした部屋でセーターを脱ぎ着したり、静電気を発生させる機械を購入して行ったりと、とにかく大変だったとか……。

ちなみにまだまだ人力で行っている試験も数多くあります。例えば「時計を腕に装着して外す」という一連の動作を繰り返す試験はまだ人の手で行われています。テレビ番組で紹介された際は、「これを人力で行っているのか!?」と大きな反響を呼んだそうです。



また試験ルームの一角には電子レンジも……!
これは電子レンジのマイクロ波がG-SHOCKに及ぼす影響を試験するもの。静電気の独自規格試験と同じく、こちらもユーザーからの不具合報告によって新たに設けられた項目なのだとか。


●回して揺らして……
「遠心力試験」は、製品に強い遠心力を加えても針が正しく動作するのかをテストするものです。



このように固定してひたすらグルグルと回します。



製品に掛かる重力がどのくらいなのか詳細は伺えませんでしたが、「エアレースのパイロットに掛かる重力の数倍」とのこと。エアレースはだいたい10Gほどですからその数倍というと……恐ろしいですね。ただ、これだけ強い遠心力を加えても、製品は問題なく動いています。最も小さな力で動いている秒針も問題ありませんでした。



遠心力の次は「振動」です。激しく揺れ動いても問題なく動作するかをテストします。機器のガワの部分はきれいに撮影できていますが、時計は激しく振動しているためブレています。



特別に振動している最中の土台を触らせてもらいました。超高速で振動しているだけあって、触れると指先から体全体に振動が伝わってきます。


●伊部さんも驚いた落下試験


2種類の「落下衝撃試験」です。まずは「通常」の落下衝撃試験で、製品を設置して一定の高さから自由落下させるというもの。ただ、高さはせいぜい天井ほど。考案者の伊部さんが実験していたように「3階から落とす」といった高さではありません。



より高い位置からの落下を再現するための機器を使った試験です。全長は自由落下のものと変わりませんが、上部に取り付けられたスプリングの力で製品をたたきつけるように落とし、より高い位置からの落下を再現しています。



完全に「壊す勢い」で落下させています。下にあるコンクリートには、実験でついた細かい「えぐれた跡」が数え切れないほど残っており、衝撃の強さを物語ります。

このスプリングを使って落下させる機器を作ったのが小山さん。「とにかく壊すこと」をコンセプトにし、実際にできあがったものを伊部さんに見せたときは、腰を抜かすほど驚くと同時に、「これはすごい!」と喜んでくれたそうです。

この機械に限らず、品質試験に用いられる機器の多くがカシオオリジナルのものか、既存の試験機器を独自に改良したもの。汎用的な検査機器では想定する試験に対応できなかったり、より高度な品質を求めるのが難しかったりするためだそうです。カシオでは試験機器にも強いこだわりがあるのですね。そうした試験面での創意工夫が、カシオならではの「攻めの品質保証」につながっているとのことでした。


皆さんの手元にあるG-SHOCKも、こうした数々の品質試験を経て開発されたもの。また店頭に並ぶカシオのG-SHOCKは、全て防水検査をパスしたものです。そう考えると、より頼もしく思えるのではないでしょうか?

取材協力:カシオ計算機株式会社
https://casio.jp/

(中田ボンベ@dcp)

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