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「ナチスの犯罪と同様のことが起これば私たちの責任」 考える人間を育てるドイツの歴史教育

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2019年02月15日 05:22  Excite Bit コネタ

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Excite Bit コネタ

写真書店に並ぶ高校卒業資格試験の参考書
書店に並ぶ高校卒業資格試験の参考書
6年前にドイツに来た当初、ナチスの残虐行為をためらいなく罪として扱うのに私は衝撃を受けた。第二次世界大戦の加害の歴史に向き合う姿勢に目を見張る一方で、ドイツ人は過去のことで常に罪を問われている気持ちにならないのかと気を揉んだ。

何度かこうした心配を口にした中で、特に驚いたのはある友人からの言葉。彼女は「過去の犯罪に対して私たちに直接の責任はないため、ナチスの行為を自分たちの罪とは感じない。しかし、もし将来同じようなことが起これば、それは私たちの責任」と言い、過去についての捉え方の違いを実感した。

この友人は、当時高校を卒業したばかりの18歳。彼女がそれまでの時間を過ごした主な場所は学校だ。ドイツの教育、特に歴史教育は彼女のような人間を育てるのかとずっと関心があった。そこで今回、ドイツ南西部、シュトゥットガルトが州都のバーデン・ビュルテンベルク州のキムナジウム(ドイツの進学を目的とした高校の総称)で歴史を教える教師に話を聞いて、ドイツの歴史教育について調べてみた。

自ら考える人間を育てる ドイツの歴史教育が目指すこと


バーデン・ビュルテンベルク州が掲げる目標や現場で働く教師らによると、同州の歴史教育では「歴史を未来への指針として役立てる力」が特に重視されている。これは過去と現在のつながりを理解した上で、自ら考えて行動できる力を指す。歴史上のできごとに関する情報は、生徒の価値基準の形成に役立って初めて意味を持つのだ。

ドイツの歴史教育の意義や目的の背景には第二次世界大戦での敗戦経験がある。戦後、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連の連合国は、ドイツの学校制度がナチスの温床になったとみなし、その改革に乗り出した。元々は外からの圧力だったとはいえ、教育が無抵抗で権力に従う市民を育てたという自覚、こうした市民がナチスの犯罪を許したという認識が広まり、現在のドイツの教育においては「自分の意見を持つこと」「自分の行動に責任を持つこと」が重要視されている。


ドイツの歴史教育で重要なのは年号より考える力


実際の歴史の授業は、こうした目的に沿って、自ら考える人間を育成することを目指して構成されている。扱う歴史の内容は日本の歴史の授業と比べて少なく、多くの時間がフランス革命以後のヨーロッパでのできごとに割かれる。明確に過去と現在のつながりを見せることで、生徒は「過去から続く時間軸の上にある現在」という概念を理解しやすくなる。

扱う内容が少ない分ひとつのテーマにかけられる時間は長い。ゆえに生徒は各テーマにじっくりと取り組める。例えば、「19世紀以降の経済、政治、社会における近代化」というテーマがある。ここでは基礎的な用語やできごとの時系列を学ぶだけではない。社会史、経済史的変革として産業革命を分析したり、産業革命が社会にもたらした影響をプラスとマイナスの面の比較において理解したりすることも求められる。

さらに日本と大きく異なるのはテストの形式だ。生徒たちは設問に対して数ページにわたる記述をしなければならない。「民主政治と独裁政治のはざまにおけるドイツ」という項目では、「ファシズムという言葉の定義を説明し、ナチスの制度と他のヨーロッパ諸国のファシズムとを比較して論じよ」という問いがある。この形式は大学の歴史学科の定期試験と変わらない。こうした学習では、教科書以外の参考文献を読み比べる必要がある。この過程を通して、与えられた情報を吟味する訓練や自らの考えを形成する訓練がなされていく。

ドイツの歴史教育に対しては一部の極右論者から「子どものドイツに対する誇りを損ねる」という声もある。しかし、歴史教育の目的は国に対する誇りを養うことではない。誇りを持つに値する国かどうか、自分で考えて述べる力を養うことだ。冒頭の友人を見ていると、ドイツの目指す教育が実を結んでいると感じられる。
(田中史一)

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このニュースに関するつぶやき

  • ドイツでは、「過去の歴史的事実」に対する責任のひとつとして『戦う民主主義』という考え方があります。
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  • 日支事変まで日本と蒋介石支援のナチスは敵同士。三国同盟を煽り、日米の関係を徹底的に拗らせたのは当時の日本の新聞。笑いが止まらないのはチャーチルとスターリンと毛沢東。朝日毎日の罪を知ろう
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