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交渉のプロが伝授。相手を気持ちよくさせる、オウム返しの使い方

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2019年02月18日 19:50  まぐまぐニュース!

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交渉事や商談をしていて、相手側の専門家が難解な話をし始めて、議論が停滞してしまうことはよくあります。交渉のエキスパートとして何度もそういう場面に接し、しっかり渡り合ってきた『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』の著者、島田久仁彦さんが、今回のメルマガで、交渉事や商談をスムーズに進める技や、相手を気持ちよくさせる会話術を授けてくれます。

チームでの交渉や商談で避けたい専門家同士の応酬

交渉や商談に臨む際、通常はチームを組んで行うことが多くなります。そのようなチームでは、私が交渉専門家として担うのが「スピーカー」という役割で、交渉において主に(大体の場合は唯一)話し、全体の議論を組み立てる役目ですが、そのスピーカー以外には、関連する法律の専門家や財務・金融の専門家、そして、話し合う内容を熟知した専門家という「議論を理論やデータでバックアップする」専門家が交渉チームには含まれます。通常は(私が交渉や調停を行う際は)、専門家が発言することはほぼ皆無です。

代わりに、主に話し、議論を組み立てる「スピーカー」である私(交渉官)に対し、法律上のアドバイスを行ったり、財務専門家が、交渉で話し合われている内容が「どのようなfinancial implicationがあるか」を即座に計算して、私に知らせたりするといった、どちらかというと“静かな”しかし“とても重要な”役割を果たしています。

一応、交渉や調停、商談に臨む前に、相手サイドと交渉におけるルールの確認を行うのですが、残念ながらそれが必ずしも徹底されるとは限りません。特に商談であれば、自分の部署に直接的な影響がありそうな内容であれば、自分がスピーカーの役割を担っていない場合でも、どうしても何か言いたくなることがあります。

特に「私がこの問題については、一番よく知っていて、経験もある専門家だ」と自負されている場合は、交渉チームのスピーカーを飛び越して発言される”専門家”が多くいらっしゃいます。私が毎回、交渉テーマや内容に応じて構成するチームの場合、最初にルール確認をするので、基本的にはこの“飛び越し”行為はないのですが、相手サイドでは結構起こります。このような場合、どう対処すればよいでしょうか?

交渉の流れ上、避けたいのは、「こちら側の専門家との専門家間での直接的な応酬」です。お互いに“専門家”という位置付けゆえ、一旦、詳細な中身の議論が白熱すると、交渉全体の流れのバランスが崩れ、交渉結果に悪影響を及ぼすことになります。

役割分担をしている理由は、「流れを止めないこと」であり、そのために、「交渉の場では誰が代表して話すか」をはっきりさせています。ゆえに、仮に相手の専門家が、相手のスピーカーを飛び越して話し出しても、こちらサイドで対応するのは、やはりスピーカーです。私のチームでは、もし、専門家同士の応酬になりそうなら、スピーカーは一旦交渉を止め、“相手のスピーカーに向かって”、「この問題は、では互いの専門家同士で案を練ってもらうことにして、次のトピックに移りましょう」と提案し、交渉のフローを止めない努力が必要になります。

専門家と対峙し「押し黙ること」の2つの意味

しかし、もし、こちらはスピーカーで、相手側の専門家やエキスパートと交渉の場で対峙しないといけない場合はどうすればいいのでしょうか。その場合の最良と考えられる対策は、「押し黙ること」です。これには2つの意味があります。

一つ目は、「あなたのご説はごもっともですが、交渉の場ではあなたを直接相手にはしません」というメッセージとしての沈黙です。これはうまく使うことが出来れば、相手側の専門家がエキサイトするのを制するために効果的な方法なのですが、その“専門家”の性格によっては、「侮辱された」と騒ぎ出し、場をかき乱す要因になるかもしれません。私のモットーとしては、参加者全員に対して敬意を示して仕事を行うというものがありますので、この相手を無視するような「黙る」はとても気を付けて用います。

二つ目の「黙る」は、相手が言っている内容が理解できない時の手段です。相手が言っていることが「わーーーー、なんだこれ?」と話の途中で全く理解できなくなり、少しパニックになってきたと感じたら、変に知ったかぶりをして何か発言するよりは、黙ってしまいましょう。その上で、その専門家に「私の勉強不足で、仰っている内容がよく理解できませんでした」と素直に認め、その上で、まず、相手がどう考えるかなんて考えずに、分からないことは、いちいち尋ねましょう。

以前にも述べましたが、いちいち質問することで、「あ、分からないなりに理解しようとしているんだな」という“前向きの感情”を相手に植え付けることが出来ます。相手からの回答や説明を一通り聞いたら、そこで一旦休憩を提案し、こちらサイドの“専門家”に内容と理解度の確認を取ります。

物理的に交渉の場に同席している場合は、相手もその話を聞いていますので、相手の提案内容をシンクロすることはさほど難しくはないはずですが、専門家が物理的にその場にいない場合は、電話やメールなどでの確認になります。その場合は、ちゃんと「どのようなことを相手は披歴していて、自分は何が分からないのか」をこちらサイドの専門家に説明できないといけません。

会話術「応用編オウム返し」の嬉しい効果

ゆえに、ここで「応用編オウム返し」を実施すると有効です。相手の用いている専門用語などを用いつつ、「それはどういうことか?」相手に説明してもらうきっかけをどんどん提供します。その上で「要するに、XXはこういうことなんですね?!」と確認を“いちいち”取ります。

実は、この「応用編オウム返し」のもう一つの強力な側面は、「専門家に対する“褒め殺し”効果」です。相手が毎回行う説明内容に対し、「なるほど。それは非常に深いですね」とか「それはXXということなんですね。今まで考えたことがなかったです。さすが!本当に勉強になります」といちいち同意して、あえて「ということは、先生がおっしゃっていることは、こういう風に言うこともできますよね?」とちょっと自分の内容を加えて言い直してみることで、面白い現象が起きます。それは、「いつの間にか相手の専門家がこちらの味方になる」のです。

「自分が頑張って極めてきたことを、素直にすごい!と認め、おまけに自分なりに理解しようとしてくれている」というとても前向きな感情が生まれ、おまけにrapport(心と心の絆)まで感じていただき、「最初は、ああこのことについては、素人なのね!?」と感じていたのが、「ちゃんと私が研究している内容を理解しようとしている。なかなかやるじゃないか」と感じるようになるそうです。

そうなると、交渉の場でも、相手側の専門家で参加しているにもかかわらず、交渉の席で「いや、島田氏の言うことにも一理ある」という思いもしないバックアップが入りだすという状況を何度も経験してきました。休憩時間などにさらに親交を深め、お話を伺うことで、その方の専門分野の理解も深まりますが、何よりも私の「困ったときに教えを請うエキスパートリスト」がより充実し、次回の交渉からは私サイドの専門家になっていただけることも少なくありません。

この話をすると、「黒い交渉術だ!」とか「ずるい!」と批判される方もいらっしゃいますが、あくまでも相手に敬意を表し、教えを請い、交渉における内容をよりよく理解するという努力を行っているだけです。そう、ちょっと行動心理学のテクニックを駆使しながら(笑)

いかがだったでしょうか?ぜひ、これを読まれたら、ご家族や同僚、お友達などを相手に、試してみてくださいね。

image by: ESB Professional, shutterstock.com

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